決定打が見当たらないシャープのハイブリッド式加湿器「HV-G70」

大半がハイブリッド式となっているシャープの加湿器ラインアップの中で、最大パワーを誇るモデルがこの「HV-G70」です。

ホワイト系↓


ベージュ系↓


加湿量は最大で670ml/時あり、最強クラスからはほど遠いものの、確かにそれなりにパワフルな加湿器と言えるでしょう。

この「HV-G70」は、というか、現行のシャープのハイブリッド加湿器は全てそうですが、気化式の加湿器でありながら、ヒーターも搭載しているというタイプの加湿器です。

これは水分を気化させにくい冬場などの低温時にも、ヒーターを使用することで加湿力を維持することが出来るという優れた仕組みです。日本の場合は気温の低い冬場こそ、乾燥しがちで加湿器が最も活躍を期待される時期だったりするので、ヒーターを搭載してくれていることは部屋の湿度を気にする人にとってはありがたい仕様です。単なる気化式の加湿器の場合、基本的に室温よりも低い風を吹き出してきますが、ヒーター搭載タイプの加湿器から吹き出されるのは温風だというところも、なおのことありがたく感じられるかもしれません。

ただ、ヒーターを使うということは当然のことながら、電気代がそれだけかかるということになります。

この「HV-G70」の場合、ヒーターを使用しない加湿量185ml/時の消費電力が9Wしかないのに対し、ヒーターを使用した最大化質量670ml/時のときの消費電力は310Wに跳ね上がります。気化式の加湿器であるパナソニック「FE-KXP07」の場合、加湿量150ml/時の消費電力は3Wですが、加湿量700ml/時の消費電力もたった13Wまでしか増えません。

まあ、それでも加湿の全てをヒーターを使って行うスチーム式の加湿器と比べれば、ハイブリッド式は格段に消費電力が下がることも確かです。

強力で快適な温風を使いつつ、なるべく気化式に近い能力を追い求めた結果をうまいこと良いとこ取りしているとみるか、ちょっと中途半端とみるかは、使う人次第ということになるでしょう。

この「HV-G70」は温度&湿度センサーを搭載していて、部屋の湿度に合わせてパワーを調整する自動運転が可能となっています。丸洗い出来る上に長寿命なフィルター、お手入れのしやすいタンクやトレーの形状など、使い勝手にも配慮されていて、普通に考えれば特に大きな弱点は見当たりません。

しかし、1点だけ問題があります。

強力なライバル製品の存在です。

本拠地を新潟に置き、ストーブをメイン製品としているダイニチは加湿器にも力を入れていて、その主製品がこの「HV-G70」と同じ気化式+ヒーターという組み合わせのハイブリッド加湿器なのです。企業の規模としてはシャープの方がはるかに巨大ですが、ハイブリッド式の加湿器に限ると、このダイニチの製品は全く侮れません。

ダイニチのハイブリッド加湿器「HD-RX717」は、最大加湿量800ml/時とこの「HV-G70」を大きく上回る加湿量を誇りながら、消費電力は310Wと奇しくもこの「HV-G70」と全く同じ数字となっているのです。同じだけ電気を使って加湿量が多い場合、加湿能力に限ればどちらがベターなのかは言うまでもないでしょう。

さらにダイニチの「HD-RX717」は、ヒーターを使用しない時の加湿量も460ml/時となっていて、この「HV-G70」の185ml/時という加湿量にダブルスコア以上の大差をつけてしまいます。

さすがにその時の消費電力は20Wあり、9Wに過ぎない「HV-G70」の倍以上の電気を使っているので、圧倒的な効率の良さとは言えなさそうですが、ダイニチの「HD-RX717」もこの「HV-G70」と同じく、お部屋の湿度が目標に達すると運転を抑える自動運転が可能なので、さっさと目標湿度に達してしまった場合は、あとは流し運転でそれほど消費電力がかからないというパターンもありそうです。

つまり、加湿能力だけを見てしまうと、同じハイブリッド式を名乗っていることで、余計にこの「HV-G70」がダイニチ製品に対して不利な立場に立たされてしまいそうな雰囲気が否めないのです。

しかも、シャープとダイニチはだいぶ前からハイブリッド式の加湿器を加湿器ラインアップのメインとしていますが、加湿能力におけるダイニチの優位性は保たれ続けています。というか現実問題、シャープの加湿器はこのところほとんど進化していないので、もしかするとシャープはダイニチより強力な加湿器を作ろうとはハナから考えていないのではないだろうか、という疑いを抱いてしまうほどです。

まあ、シャープには必殺のプラズマクラスターがあり、ダイニチの加湿器は類似のイオン兵器を搭載していないので、それだけで十分というのがシャープ側の判断ということなのかもしれません。もちろんこの「HV-G70」にも、安心の標準型プラズマクラスター7000が搭載されています。

家に置く家電製品にはなるべくイオン兵器を搭載していて欲しい!という人にとっては、特に大きな弱点の無い無難なハイブリッド式の加湿器と言うことが出来るかもしれません。

■HV-G70のスペック

加湿タイプハイブリッド(気化式+ヒーター)
適用床面積木造11畳/プレハブ18畳
加湿量185→670ml/h
連続加湿時間約6時間
消費電力9→310W
運転音24→41dB
サイズ幅385×奥行170×高さ372mm
重さ約4.4kg
タンク容量約4.0L
フィルター交換(フィルター価格)約4年(2,200円)

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