おなじみポット型加湿器の2020年モデル。象印「EE-RQ50」と「EE-RQ35」

ポットと見間違いかねない素っ気ない外観を頑なに守り続けています。


よりパワフルな「EE-RQ50」↓

象印 加湿器 3.0L 木造和室8畳・プレハブ洋室13畳対応 スチーム式 EE-RQ50-WA


よりコンパクトな「EE-RQ35」↓

象印 加湿器 2.2L 木造和室6畳・プレハブ洋室10畳対応 スチーム式 EE-RQ35-WA


象印のポット型スチーム式加湿器は、もしも加湿器の世界に殿堂入りがあるとすれば、その有力候補となる可能性が高い名作です。

なので、快適に加湿をしてくれる手堅いモデルをざっくりと探している場合は、その最新モデルであるこの「EE-RQ50」、あるいは「EE-RQ35」を選んでおけば、大きな失敗はないでしょう。

しかし、加湿性能、そしてそのコストにもこだわりがあるという場合は、安易に選択して良い製品ではありません。

まず、この「EE-RQ50」と「EE-RQ35」は、旧モデルである「EE-RP50」と「EE-RP35」から仕様に変更がありません。

毎年新しいモデルが投入されている象印のスチーム式加湿器ですが、もはや製品としてほとんど完成してしまっているためか、基本的にその仕様は前年モデルから変化がありません。

もちろん本来は、仕様が同じなら新しいモデルの方が良いのですが、この「EE-RQ50」と「EE-RQ35」は決して加湿器として安価とされるモデルではないので、購入時の本体価格を少しでも抑えたい場合は、価格が下がっているかもしれない旧モデルをチェックしておいた方が良いでしょう。

また、この「EE-RQ50」と「EE-RQ35」の加湿力は、サイズの大きな「EE-RQ50」で最大480ml/時、コンパクトな「EE-RQ35」で最大350ml/時と、それほどパワフルではありません。

適用畳数を見ると、サイズの大きな「EE-RQ50」でも木造家屋8畳、プレハブ13畳となっていて、パナソニックの気化式加湿器や、シャープのハイブリッド式加湿器の上位モデルの適用畳数が木造で10畳以上、プレハブだと20畳近くになっているのと比べると、だいぶ見劣りしてしまいます。

そして、タンク内の水を一度沸騰させるという仕組みのため、加湿量が少ない割に消費電力は高いです。

タンク内の水を沸かす湯沸かし時には985W、蒸気を維持する運転時には410W(「EE-RQ35」は305W)となっており、50Wも消費せずにそれなりの加湿力を発揮してしまう、超音波式や気化式の加湿機の製品と比べると、まさにケタ違いの電気を必要とします。

本体価格が高く、加湿力が低く、消費電力も高い。

改めてこうしてみると、この「EE-RQ50」と「EE-RQ35」は購入へのハードルが低い製品では決してないということが分かります。

これほど分かりやすい弱点を抱えていながら、型番を変えつつ、長く支持され続ける象印のポット型スチーム式加湿器の最大の魅力、それは何をおいても、準備とお手入れの簡単さにあるでしょう。

象印のポット型スチーム式加湿器の準備は、誰もが見慣れているポット型の本体に、ポットと同じように水を入れたあと、スイッチをONするだけです。そしてお手入れも、ポットと同じように汚れが気になって来たときに、市販のクエン酸を入れて洗浄するだけです。

ほとんど説明不要の簡単さです。

また本来、加湿器はタンクに貯めた水を使用するため、衛生面の配慮が欠かせません。水分をそのまま放出する超音波式の加湿器はもちろんのこと、フィルターに水を含ませる気化式の加湿機の場合でも、タンクやトレー、そしてフィルターなど水回りの部品をキレイに保つ機能、またはマメな洗浄が必要とされます。 
 
しかし、このポット型スチーム式加湿器の場合、タンクの水を完全に煮沸してしまうので、雑菌が繁殖する心配がなく、そもそもフィルターも存在しないのです。準備もお手入れも簡単で、衛生面にも心配が少ないというのは、かなり大きな長所と言えるでしょう。 

そして、加湿力については確かにパワフルではないものの、温度&湿度センサーを搭載していて、部屋の湿度に合わせて自動で加湿力を調整してくれるので、基本的におまかせで使うことが出来ます。

また、スチーム式の加湿器は気化式の加湿器が苦手とする寒い冬の加湿も問題としないという長所もあります。世間で加湿が意識されるのは気温と湿度が下がり、空気が乾燥しがちな冬の場合が多いため、室温より少し温度の低い風を吹き出すことになる気化式の加湿器と比べて、室温より暖かい蒸気を出すスチーム式加湿器の方が好ましく思われる場合も多いでしょう。

つまるところ、この「EE-RQ50」と「EE-RQ35」は、弱点も長所もはっきりしているので、弱点を理解した上で長所に魅力を感じたのであれば、使用する上で不都合はほとんどありません。そして、象印のポット型スチーム式加湿器がこれだけ長く支持されているのは、魅力を感じている人がそれだけ多いということなのでしょう。


■EE-RQ50のスペック

発売2020年8月
加湿タイプスチーム式
適用床面積木造8畳・プレハブ13畳
加湿量480ml/h
連続加湿時間約6時間(強)・約24時間(弱)
消費電力985W(加湿時最大410W)
運転音-
サイズ幅240×奥行260×高さ315mm
重さ約2.4kg
タンク容量3.0L
フィルター交換不要


■EE-RQ35のスペック
発売2020年8月
加湿タイプスチーム式
適用床面積木造6畳・プレハブ10畳
加湿量350ml/h
連続加湿時間約6時間(強)・約27時間(弱)
消費電力985W(加湿時最大305W)
運転音-
サイズ幅240×奥行260×高さ275mm
重さ約2.3kg
タンク容量2.2L
フィルター交換不要

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