三菱重工「SHE35MD」
ホワイト↓
三菱重工 roomist スチームファン蒸発式加湿器 ホワイト SHE35MD-W
ピンク↓
三菱重工 roomist スチームファン蒸発式加湿器 ピンク SHE35MD-P
地球レベルで考えられている(かもしれない)超加湿力
小型タイプのスチーム式の加湿器です。最大加湿量は350ml/時、木造6畳、プレハブ10畳の広さが使用スペースの目安です。
スチーム式ということになるとやはり消費電力を気にしないわけにはいきません。
この「SHE35MD」の消費電力は、125〜250Wです。
多い!
当たり前ですが、やっぱり多いです。
なにしろ、最大加湿量が600ml/時とこの「SHE35MD」の1.7倍にも達するパナソニック「FE-KXL05」の消費電力はわずかに10Wしかありません。
まあ、気化式加湿器の消費電力と比べられてしまうのは、スチーム式にしてみればちょっと酷な話なのでしょうが、消費電力に関してはこれが現実です。この消費電力という弱点を上回る魅力がこの「SHE35MD」に求められるのは当然のことでしょう。
スチーム式加湿器の最大の魅力は、周囲の環境に影響されない加湿力です。
気化式はフィルターに風をあてて気化させることで加湿を行っているため、室温が低いときや、部屋の湿度がある程度上がっているときは加湿力が弱まります。しかし、水を加熱して蒸発させるスチーム式にはいわば強制的な加湿力があります。湿度を自然な状態よりも高くしたいという場合には、スチーム式の強制的な加湿力がモノをいうわけです。
強制的な加湿力=部屋の湿度をコントロールする力でもあります。この「SHE35MD」も目標湿度を湿度40%から5%刻みで最高65%まで6段階も設定できます。本当にこんなに細かく調整出来るのか、さすがに気になるところですが、温度&湿度センサーはちゃんと搭載されているので、少なくともその湿度になるように努力はしてくれるのでしょう。
ただ、強制的な加湿力を持つ「SHE35MD」にとって、目標湿度はリミッターに過ぎません。湿度65%じゃまだ足りない!という湿り気大好きな人は「SHE35MD」の運転モードを「連続」にするだけで、簡単にこのリミッターを外してあげることが出来ます。
解き放たれた「SHE35MD」が持てる加湿力を思う存分ふるうと、いったいどうなるのか?
「湿度85%まで連続加湿します」
85%!
ジャングルかよ!
思わず口元に手を添えて叫び声を上げてしまいそうなくらいな驚きの高湿度です。
何もそこまで湿度を上げなくても、、、と凡人は考えてしまいますが、さすが飛行機も手がけるビッグメーカー、三菱重工ともなると物事の見方がひと味違うということなのかもしれません。南の国では湿度80%なんて当たり前なんだよ!と、メーカーサイドが地球レベルの立場に立ってモノづくりを考えている可能性を捨てきることは出来ません。何しろ現在、三菱重工の社名ロゴの下には「この星に、たしかな未来を」という地球感ズバリなキャッチコピーもついているのですから。
一長一短な蒸発布という加湿方式
この「SHE35MD」のジャングルレベルの加湿力は確かにスチーム式ならではのものですが、「SHE35MD」は単純なスチーム式ではなく、加熱部の周りに「蒸発布」を装着し、そこに含まれる水分だけを蒸発させていく方式を採用しています。
これにより、無駄な水分を加熱しないため、実はこの「SHE35MD」はスチーム式の中では比較的消費電力が少なくなっているのです。
この「SHE35MD」と最大加湿量が同じ350ml/時の象印のポット型加湿器「EE-RK35」の場合、スチーム式加湿の本家本流とも言える、水をグツグツ煮立てて蒸気を生み出すクラシカルな方式が採用されています。単純明快で分かりやすい加湿方法ではありますが、「EE-RK35」の消費電力は加湿時でも305W、湯沸かし時にはなんと985Wという、一歩間違えば4ケタの大台にも到達しかねない豪快な消費電力となっています。こうなると最小125W、最大でも250Wという「SHE35MD」の省エネ性が俄然引きたつわけです。
しかし、この「蒸発布」を利用する方式は「蒸発布」のお手入れが定期的に必要になるという当然の事態にもつながります。お手入れといっても1週間に1回、普通に水でもみ洗いするだけなので大したことはないのですが、水道水に含まれる成分がスケールとなって「蒸発布」と本体にこびりつくため、たとえちゃんとお掃除をしていたとしても、2ヶ月に1度は「蒸発布」そのものの交換が必要となってしまいます。
「蒸発布」は2枚で1,100円とびっくりするほど高価なものでないところは良いのですが、さらにこの「SHE35MD」には、タンクのキャップ部分に装着することで水道水のスケールを抑制する「イオンフィルター」というもう1つのアイテムも装着されています。こちらは1シーズン(半年)交換、2個で1,500円となっており、やはり特別高価なものではない上に、この「イオンフィルター」は絶対に装着しなければならないというものではなく、オプション扱いとなっています。
たかが加湿器にオプションの装着品なんていらないよ、と即座に断言してしまいそうになるのが庶民の悲しい習性ですが、オプションとされているものが出荷段階ではわざわざ装着されているというところに、水道水のスケールってよほど手強い相手なんだろうな、、、という見えない圧力を強く感じてしまったりするのも、これまた庶民の習性だったりします。
このちょっとしたお手入れと定期的な部品の交換が必要となる「蒸発布」方式に対し、象印のザ・スチーム式加湿器「EE-RK35」は事実上ほとんどポットなので、お手入れもポットと同じように1〜2ヶ月に1回クエン酸を入れた状態で湯沸かしすることで洗浄すれば良いだけです。
手間を取るか、電気代を取るか、悩ましいところですが、電気代を重視してお手入れと部品交換を行う覚悟を決めたとしても、この「SHE35MD」の消費電力を今度は気化式と比べてしまった場合は、圧倒的に見劣りしてしまうという厳しい現実が選択をさらに悩ましいものとしそうです。
まとめ
お手入れと消費電力の悩ましい問題さえクリアすることが出来れば、この「SHE35MD」にそれほど大きな問題は残されていません。
天然酵素を利用して細菌・カビ・ウイルスの働きを抑制しつつ人体には無害だという魔法のようなフィルターや、苦境に立つシャープのプラズマクラスターと名前も働きもニアミスする「プラズマイオン」というイオン兵器など、効果のほどが今ひとつはっきりしない感じの機能もありますが、あって困るというものでもなさそうです。
たとえ何かを犠牲にしても、ともかく湿度が欲しい!
という場合には候補に上がって来ても、おかしくはない製品と言うことは出来るでしょう。
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