ヘッドがクルクル動くニュースタイルなコードレス掃除機。パナソニック「MC-BU500J」

パナソニック「MC-BU500J」

なかなか斬新な形状をしたコードレス掃除機です。



パナソニック コードレススティッククリーナー イット シルバーブラック MC-BU500J-S

「iT is a new style」

だそうです。

何がニュースタイルなのでしょうか?

縦でも横でも使えるヘッド

この「MC-BU500J」は手元のハンドルをひねるだけで、簡単にヘッドを立てることが出来、ヘッドを立てた状態でもゴミを吸い込むことが出来るようになっています。

ヘッドを立てた状態だと、狭い場所にヘッドを差し込むことが出来るので、いちいちヘッドを隙間ブラシなどに差し替えたりしなくても掃除を続けることが出来る!というわけです。ノズルの幅はわずか5cmということなので、かなり狭いところでもノズルを差し込むことが出来そうです。

仕組み自体は割と単純です。

この「MC-BU500J」のヘッドを立てると、ヘッドの前面(立てた状態だと下面)にあたる部分が開いて、ゴミを吸い取ることが出来るようになっているのです。そして、この構造は壁際でも効果を発揮します。ヘッドを立てず、普通の向きで壁にヘッドを当てると、ヘッドの前面が開くため、普通ならヘッドの先端と壁に挟まれてしまう部分も、しっかりと吸い取ることが出来るというわけです。

通常の吸い込み口の他にもう一つの吸い込み口を持っている、このニュースタイルなヘッドのお名前は「くるっとパワーノズル」というのだそうです。

メーカーによると、

すき間も壁際も一つのノズルで。
気づいたときにサッと使えて、
隅々までしっかりキレイに。

だそうです。

実はニュースタイルではない?

ただ気になるのは、このニュースタイルは本当に優れたスタイルなのか?ということです。

本当にこのニュースタイルが優れているなら、コードレス掃除機にとどまらず、通常タイプの掃除機にもこのニュースタイルが広まっていって、このニュースタイルがスタンダードスタイルとなっても良さそうなものです。

少なくとも、メーカーであるパナソニック自身が「このヘッドがこれからのスタンダードスタイルでしょ」と信じていれば、パナソニックの製品にはどんどんこのニュースタイルヘッド(=くるっとパワーノズル)が採用されていっても全く不思議ではありません。

しかし、メーカーのパナソニックがこの「MC-BU500J」以降に発表した通常タイプの掃除機には、この「くるっとパワーノズル」が採用されていません。

、、、なぜなのでしょうか?

これはやはり、ヘッドの性能を考えたとき、メーカーは「くるっとパワーノズル」を最高のものとは考えていないということなのだと思います。

パナソニックの通常タイプの掃除機のトップモデルには「小型軽量パワーノズル」という大変素っ気ない名称のヘッドが採用されています。

しかし、たとえ名前は素っ気なくとも、この「小型軽量パワーノズル」の性能が侮れないのです。

拭き取り効果があったり、LEDライトが付いていたり、何よりも「親子のノズル」というワンタッチで床用ブラシから延長管を外し、狭い隙間をサッと掃除することが出来るパナソニックお馴染みの機能が組み込まれています。

あれ?

狭いところを掃除しやすくするという「親子のノズル」の機能は「くるっとパワーノズル」の守備範囲にニアミスし過ぎてはいないでしょうか?

「くるっとパワーノズル」は狭いところだけでなく、壁際にも吸引部を密着させることが出来ます。壁際の掃除を考えれば「くるっとパワーノズル」が有利かもしれません。しかし、「くるっとパワーノズル」は、ヘッドそのものがタテ横に回転してしまうので、「親子のノズル」にあるようなLEDライトを搭載することは難しそうです。また、確かにひねるだけで狭いところにヘッドを差込めますが、ヘッドの大きさ自体は変わらないので、狭いところで細かく動かすのは難しいでしょう。なので、たとえワンタッチの手間があっても、大きなヘッドから延長管を外してしまった方が狭くて細かい場所を掃除するには適しているという「親子のノズル」の考え方も一理ありそうです。

まさに一長一短というわけです。

しかし、ヘッドという掃除機にとってかなり重要と思われるパーツにおいて、なぜこのように大きく異なるコンセプトが同じメーカーの中で共存しているのでしょうか?

実はこの「MC-BU500J」に搭載されたヘッド「くるっとパワーノズル」は、パナソニックに吸収された旧三洋電機系の技術を利用して開発されたようです。というか、ヘッドを立てるとヘッドの側面が開いて、そこからもゴミを吸うことが出来るという「くるっとパワーノズル」とほぼ同じ機能を持つ製品は、旧三洋電機製品としては、だいぶ前にとっくに販売されていたのです。

、、、。

なるほど、元々違う会社が開発していた機能であればコンセプトが異なるのも当然です。ちなみに三洋電機製のヘッドは「逆立ちパワーブラシ」という名前でした。

「くるっとパワーノズル」と「逆立ちパワーブラシ」。

同じコンセプトの機能なので、当然と言えば当然ですが、名前もニアミスな感じです。

しかし、旧三洋電機がとっくに開発していた機能ということになると、この「くるっとパワーノズル」を「ニュースタイル」と呼んでしまって良いものか、微妙な感じもして来ます。

三洋電機の「逆立ちパワーブラシ」は通常タイプのキャニスター掃除機に搭載されていました。パナソニックの類似品「くるっとパワーノズル」は、今のところコードレス掃除機のみの搭載です。

ヘッドがクルクル動くのはコードレスの方が良い!という感じは別にしないのですが、もしかするとコードレス掃除機には「くるっとパワーノズル」で、通常タイプの掃除機には「親子のノズル」という棲み分けをさせることにしたところが、メーカー的には「ニュースタイル」ということなのかもしれません。

まとめ

クルクル動くニュースタイルなヘッドが、この「MC-BU500J」の最大のポイントなのは間違いないのでしょうが、他に特徴が無いというわけではありません。

パナソニック製の掃除機ではお馴染みのハウスダスト発見センサーも搭載していますし、ゴミの量に応じて自動で運転調整もしてくれます。アイドリングストップ機能だって備えています。コードレス掃除機の宿命として、稼働時間が「強」で約10分、「自動」でも約15〜30分と制限があるだけに、こういった省エネ機能には期待したいところです。

延長管を外せば、本体に直接ノズルを装着して、ハンディークリーナーとしても使うことが出来るようになっています。付属のノズルとして「ペタすき間ノズル」、「すき間用ノズル」の2つが付いてきますが、あまり付属ノズルを使い過ぎると、ノズルを交換しないで色々な場所が掃除出来るという、この「MC-BU500J」の特徴を削いでしまいそうな感じがしないでもありません。

外観がスッキリして見えるのも決して錯覚ではなく、ノズルを縦にすれば幅は7.2cmしかありません。自立はしませんが、グリップの裏に滑り止めがついていて、立てかけておいても滑りにくいように工夫されているようです。

カラーリングも、シルバーブラック、ブロンズブラウン、レッドブラックと、いかにもシックな感じで、「ニュースタイル」という言葉には、これらのデザイン要素も含まれていそうな雰囲気を漂わせています。

まあ、普通に使えそうなコードレス掃除機という感じは十分にします。

思い切って、この「MC-BU500J」をオシャレ系コードレス掃除機として考えてみることが出来れば、充実した機能面がより一層際立って、プラス評価となるかもしれません。

しかし、この「MC-BU500J」のクルクルスタイルが、これからのコードレス掃除機の主流となっていきそうな感じは今のところ無さそうです。

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