東芝 トルネオV「VC-MG900」
東芝の誇るサイクロン掃除機シリーズ「トルネオ」の現行最上位モデルとなります。
グランレッド↓
東芝 サイクロン式クリーナー TORNEO V(トルネオV) VC-MG900-R(グランレッド)
ターコイズブルー↓
東芝 サイクロン式クリーナー TORNEO V(トルネオV) VC-MG900-L(ターコイズブルー)
中まで洗えるサイクロン
この「VC-MG900」のサイクロン機構は、旧モデル(VC-SG514)から引き続きとなる「バーティカルトルネードシステム」をベースとしています。
「バーティカルトルネードシステム」は、ダストカップ部の中で遠心分離を行う「デュアルトルネード」と12気筒の小さなサイクロンで構成される「ミクロトルネード」の2つのサイクロン機構を重ね合わせた仕組みです。
「デュアルトルネード」は「遠心分離ゾーン」と「圧縮集塵ゾーン」に分かれていて、「遠心分離ゾーン」でゴミと空気とを分離し、「圧縮集塵ゾーン」で分離したゴミを約1/5サイズに圧縮することで、ゴミ捨て時のホコリの舞い上がりを抑え、簡単にゴミ捨てが出来るのだそうです。
ゴミと空気の「遠心分離」とゴミの「圧縮」という2つの機能が、1つのサイクロン構造の中に収まっていることで「デュアル」と名乗っているのだと思われますが、ダストカップを兼ねてもいる「デュアルトルネード」の見た目は、内部でそんな素晴らしい2つの働きが行われていそうな雰囲気を全く感じさせないほどシンプルな感じです。
正直言って、サイクロン機構というより、単なるダストカップと言ってしまった方が見た目の印象に近い気がして、本当にこのダストカップの中でゴミと空気を分離するだけでなく、ゴミの圧縮まで行うことが出来るのか、ちょっと心配になってしまうくらいです。
もちろんそんな心配は杞憂に決まっているはずですが、「デュアルトルネードシステム」だけを搭載している同じ東芝の小型サイクロン掃除機「トルネオミニ」シリーズは、「デュアルトルネードシステム」で取り残したゴミをキャッチするために、チリ落とし機構の付いたフィルターを搭載しているので、「デュアルトルネードシステム」単体ではゴミと空気の遠心分離が完璧に出来るわけじゃないんだよ、ということはメーカーも意識しているようです。
しかし、この「VC-MG900」の場合は、「デュアルトルネードシステム」で取り残したゴミを第2の壁である「ミクロトルネード」でキャッチすることが出来ます。12気筒もあるこの細かな遠心分離構造のおかげで、この「VC-MG900」は細かなゴミを99.9%分離することが出来るのだそうです。
さらに、この「VC-MG900」に搭載されているサイクロン機構は、旧モデルと同じ単なる「バーティカルトルネードシステム」ではなく「バーティカルトルネードシステムCLEAR(クリア)」となっています。
付け加えられた「CLEAR(クリア)」が何を意味するのか、こと細かな説明は無いのですが、この「VC-MG900」では、従来のダストカップ部=「デュアルサイクロン」だけでなく、「ミクロトルネード」部分の内部まで水洗いが出来るようになっていることとすごく関係がありそうです。
サイクロン部をキレイに出来る=サイクロン部が「クリア」!みたいな感じなのだと思われます。
ただ、本体を細かくキレイに出来るのはありがたいことではあるのですが、キレイに出来る=キレイにしなければならない、というプレッシャーが使う人にのしかかってくるということでもあります。面倒くささがちょっとアップする上に、内部を水洗いするために「ミクロトルネード」のフタがパカッと簡単に開くようになっている構造がちょっと気になるところでもあります。
何しろ「ミクロトルネード」は「デュアルトルネード」で取り逃した細かなゴミを分離するという重要な役目を担っているだけに、密閉性は重要な要素だと思われます。
しっかりフタが閉まっていないために、ミクロのゴミが漏れ出していたり、うまくゴミを吸い込めないのでは、サイクロン機構をいくらキレイに保てたところで、掃除機としては意味がありません。
しっかり洗って、しっかりセット出来れば何の問題もありませんが、本来、部屋の中をキレイにすることが掃除機の役目であって、掃除機の中をキレイにしておくことは、あくまでプラスα的な要素です。
そう考えると、この「VC-MG900」のように本体の主要パーツの内部まで水洗い出来ることが、本当に便利なことなのか、微妙なところのような気もしてきます。
充実した付属品と多彩な機能
この「VC-MG900」はトルネオシリーズの最上位モデルということもあって、付属品も最高に充実しています。
高いところの掃除に使える「ロングアタッチメントセット」の他に、ふとんブラシまで付いてきます。
ふとんブラシはなかなか本格的なものとなっており、ヘッドにはふとんのホコリを吸い込むだけでなく、ふとんをたたく機能まで付いています。ふとんを掃除するツールは最近ブームなだけに、ふとん専用の掃除機が欲しい!と思っていた人にとっては、この「VC-MG900」が一石二鳥となってくれそうな感じがするかもしれません。
「VC-MG900」の本体サイズは幅220×奥行322×高さ276mm、重さは3.2kg、ホースとヘッド込みの重さは4.6kgです。特別小さな掃除機ではありませんが、大きい掃除機ということもなく、まあ今風の小振りなタイプの製品と言えそうです。
グリップは人間工学に基づいたラウンド形状をした「らくわざフリーグリップ」となっており、人間工学が正しいのであればラクに操作が出来そうです。
ヘッドには細かなゴミが残っているのかどうかを教えてくれるセンサーが搭載されていて、ゴミの取り残しを防ぎます。ヘッドにはふき取り効果も期待することが出来、回転ブラシ部分を外したところにはブラシが装着されていて、そのまますき間の掃除が出来る上に、LEDライトも付いているので、すき間が暗くても明るく照らすことが出来ます。延長管のグリップ近くにもブラシがあり、手元の掃除もしやすくなっています。国内メーカーの他の製品と比べて突出したものではありませんが、使い勝手についてはまあ良好と言えるでしょう。
まとめ
トルネオシリーズは国内メーカーの中ではサイクロン機構の完成度が高いことで知られています。ダストカップやフィルターのお手入れなどの手間は、サイクロン界の王様、ダイソンの掃除機と比べると、それでも若干見劣りしますが、途方もない大差をつけられている感じはありません。
この「VC-MG900」はサイクロン機構の内部まで水洗いが出来るようになったことで、細かなお手入れを厭わないキレイ好きの人にとっては、部屋だけでなく、掃除機もキレイにしておけるという、ダイソンには無い魅力があると言えるのかもしれません。もちろん、面倒くさがりの人には、余計なお手入れ箇所が増えただけという残念な変更点ということになるでしょう。
東芝の家電部門は中国家電大手「美的集団(ミデア」)の傘下に入る予定ですが、現行モデルについては、当然国内で開発された製品なので、ヘッド+延長管部分は、国内メーカーならではの細かな使い勝手の良さを保っています。
完成度の高いふとん専用ブラシという付属品もあり、ダイソン以外でサイクロン掃除機を探した場合には、かなりの高確率で候補に上がってくる製品と言えそうです。
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