日立「クリエア EP-LVG110」
日立の空気清浄機シリーズ「クリエア」の最上位モデルとなるのがこの「EP-LVG110」です。
シャンパン↓
ブラウン↓
空気清浄機の各種ランキングを見ると、シャープ、パナソニック、ダイキンの3社が強大な勢力を誇っています。特にシャープは最近のメーカー本体の苦境など感じさせないほど、プラズマクラスターを搭載した空気清浄機が幅を利かせている印象です。もちろん、メーカーとしての規模で考えれば、日立は超が軽く2つ3つ付きそうなほどの巨大企業なわけですが、正直言って空気清浄機でヒットを飛ばしているという印象はあまりありません。
あまり売れてない=大した製品じゃない
という、市場経済の非情な方程式がチラチラと見え隠れしているような気がしてしまうのも致し方ないところでしょう。
しかし!
この日立クリエアのトップモデル「EP-LVG110」は、こちらのそんな勝手な暗い予想を消し飛ばすほどの性能を持っているのです!
びっくり仰天なそのパワー
この「EP-LVG110」の最大風量は11.0㎥/分です。
これはかなりスゴい数字です。
国内の空気清浄機で大きな支持を集めているシャープの最上位モデル(加湿機能付き)である「KI-FX100」の最大風量は10.0㎥/分、国内最強の家電メーカー、パナソニックの最上位モデル(加湿機能付き)「F-VXL90」の最大風量は8.7㎥/分、そして、世界最大の空調機器メーカー、ダイキンの最上位モデル(加湿機能付き)「MCK70S」の最大風量は7.0㎥/分に過ぎません。
日立「EP-LVG110」の圧勝です。
この「EP-LVG110」の旧モデルである「EP-KVG900」も最大風量は9.0㎥/分で、ライバル製品と肩を並べるレベルにありましたが、最新モデルではついにライバル製品を抜き去ったのです!
そして、それだけではありません。
この日立「EP-LVG110」の最大風量時の消費電力は95W、運転音は55dBとなっています。
ライバル製品の最大風量時での同じ数字を見てみると、
シャープ「KI-FX100」→104W、55dB
パナソニック「F-VXL90」→88W、55dB
ダイキン「MCK70S」→73W、54dB
となっています。
もちろん、これらのライバル製品は日立「EP-LVG110」よりも最大風量が小さい状態での数字です。そこで、比較のため仮に各製品の消費電力と運転音を対風量で同じ比率にしたまま、風力を日立「EP-LVG110」と同じ11.0にしてみると、
シャープ「KI-FX100」→114W、60dB
パナソニック「F-VXL90」→111W、69dB
ダイキン「MCK70S」→114W、84dB
となります。
もちろん、風量と消費電力と運転音が同じ比率で変化するわけはないので、あくまで仮の数字でそれほどの意味はないわけですが、この日立「EP-LVG110」は割と効率が良さそうだという感じはして来ます。特に消費電力については、なかなか優秀といえるでしょう。
加湿はだいぶ心もとない
有力なライバル製品を相手に回して一歩も引かない感じのこの「EP-LVG110」ですが、実は加湿に関しては意外なほどのもろさを見せます。
この「EP-LVG110」の最大加湿量は、最大800ml/時です。この数字自体はライバル製品にそれほど見劣りはしません。
ちなみにライバル製品の最大加湿量は、
シャープ「KI-FX100」→930ml/時
パナソニック「F-VXL90」→870ml/時
ダイキン「MCK70S」→630ml/時
となっています。
この「EP-LVG110」が抱えている問題は加湿量とは別に2つあります。
1つ目の問題は、加湿用の水タンクの容量です。
この「EP-LVG110」の水タンクの容量は約2.5リットルとなっています。800ml/時もの加湿量がありながら、2.5リットルというのは、正直言ってかなり小さめのタンクと言えるでしょう。何しろ最大パワーで加湿を続けると、計算上3時間10分で水タンクが空っぽになってしまうのです。
ライバル製品のタンク容量と最大加湿量での加湿可能時間を見てみると、
シャープ「KI-FX100」→約4.3リットル(約4時間37分)
パナソニック「F-VXL90」→約4.0リットル(約4時間35分)
ダイキン「MCK70S」→約3.6リットル(約5時間42分)
となっています。
やはり、加湿の持続時間が3時間台というのは、ちょっと短いのではないでしょうか?この「EP-LVG110」には2時間/4時間の切タイマーが付いていますが、タイマーが切れるより先に水が無くなってしまう可能性がありそうです。
そして、2つ目の問題は、空気清浄単独ではあれほどブイブイ言わせていたはずのパワーが、空気清浄と同時に加湿運転を始めると、影を潜めてしまうのです。
加湿時の最大風量をライバル製品と比べてみると、
シャープ「KI-FX100」→8.9㎥/分
パナソニック「F-VXL90」→7.6㎥/分
ダイキン「MCK70S」→7.0㎥/分
そして、日立「EP-LVG110」→6.7㎥/分
となっているのです。
ライバルと比べて、空気清浄の単独運転では最大の風量を誇っていたこの「EP-LVG110」が、加湿との同時運転となると、いきなり最下位に転落です。加湿フィルターに空気を通す必要があるため、加湿と空気清浄の同時運転は空気清浄の単独運転と比べて風量が落ちるのが普通だとはいえ、これはちょっと落ちすぎじゃないでしょうか。
まあ、加湿との併用運転時には空気清浄よりも加湿に重きを為しているということなのかもしれませんが、ほぼ4割も風量が落ちてしまうとなると、広い部屋で加湿と空気清浄の併用運転をしたときに空気清浄が追いつかないということもありそうです。
まとめ
パワフルな「空気清浄」と控えめな「加湿+空気清浄」というアンバランスさが特徴的なこの「EP-LVG110」ですが、実は最大の特徴はパワーに関することではなく、プレフィルターを自動で掃除してくれる「自動おそうじ」機能が付いているということだったりします。
プレフィルターの表面をブラシが動くことでホコリを集めていくという機能はシャープの豪邸用空気清浄機「FP-140EX」にも搭載されていますが、発売が1ヶ月早かった関係もあるのか、この「EP-LVG110」の方が「業界初」を名乗っています。たまったホコリはダストボックスに収納され、そのゴミ捨ては何と約1年に1回!で良いという、臭いものにはフタをするという方式が採用されています。ダストボックスは抗菌仕様のようですが、1年ホコリを放置することが良いことだとはあまり思われないので、たぶん気が付いたら捨てたほうが良いのでしょう。
HEPAフィルター+脱臭フィルターというフィルター構造や、温度、湿度、ダスト、ニオイのセンサーなど、空気清浄機としての基本的な機能はしっかり備えているうえ、旧モデル(EP-KVG900)と同様に空気の通り道にステンレスを使用することで、抗菌性を高めていたり、操作がタッチパネル式で高級感もあったりするなど、パワー以外でもなかなか充実した製品となっています。
加湿時には最大風量がガクンと低下して、おまけに水タンクの容量も少ないという弱点を抱えており、空気清浄機はいつも加湿とセットで使いたい!という人にとってはハードルの高い仕様となってはいますが、加湿をする場合は少し狭い部屋に移動させて使うという独自ルールを設けることで、その弱点は難なく解消することが出来るでしょう。ただその場合、この「EP-LVG110」の13.7kgという結構な重さの本体を移動させなければならないという新たな問題が生じてくる可能性があるのが要注意なところです。
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