シャープ加湿空気清浄機の最上位モデル。デジャヴな「KI-FX100」と上級者向け「KI-WF100」

シャープ「KI-FX100」



シャープ 加湿空気清浄機 プレミアムモデル KI-FX100-N(ゴールド)

昨年モデルとほぼ同じ

この「KI-FX100」はシャープの家庭向け加湿空気清浄機の最上位モデルとなります。

最大風量は10㎥/分、最大加湿量は930ml/時となっていて、なかなかのハイパワーです。

ただ。

この「KI-FX100」は昨年モデル「KI-EX100」とあまり違いがありません。

メーカー秘伝のプラズマクラスター頼みという基本姿勢が変わらないというだけではありません。

加湿量をみると、昨年モデルの850ml/時から、930ml/時へと1割近くも増大しているので、加湿力を重視している人にとってはより魅力的になったのかもしれませんが、実は加湿量に差が出るのは、最大風量である「強」のときだけで、1段下の「中」になると新旧どちらのモデルも同じ650ml/時です。ちなみに「弱」も330ml/時で同じです。もちろん、水タンクの容量も約4.3リットルで変わりません。

そして、新モデル「KI-FX100」の加湿運転の「強」は、加湿量については確かに増えていますが、消費電力も60W→75W(25%アップ)、運転音も50dB→54dB(8%アップ)増えており、もしかすると単に加湿空気清浄の「強」のときだけ、モーターの回転数の設定を上げてみただけなんじゃないだろうか、という感じさえしてきます。

なにしろ、加湿をしない空気清浄単体での風量、消費電力、運転音は、旧モデルと比べて何も変わっていないのです。

そして、この新旧の2モデルは見た目が似ていることはもちろん、本体サイズも重さも同じです。

使っている集塵フィルターも、脱臭フィルターも、加湿フィルターも同じです。

搭載しているセンサーの種類も同じです。

運転モードでは、新しく「掃除アシスト運転」、表示機能では「雑菌予測モニター」が追加されています。

しかし「掃除アシスト運転」は「ホコリの落下を抑えながら吸じん」するというだけで、これまでの「スピード循環気流」とどれほどの違いがあるのか良く分からず、「雑菌予測モニター」に至っては、雑菌の量を計測しているわけではなく、温度と湿度が高いと雑菌が発生しやすいですよ、ということをランプで教えてくれるだけの機能です。炎天下にお弁当を放置したらいけませんよレベルの話なので、このランプに一喜一憂する必要は全くなさそうです。

要するに、やっぱりこの「KI-FX100」は昨年モデル「KI-EX100」とあまり変わらないということなのです。

シャープ「KI-WF100」

これが先進機能?な「ともだち家電」

「KI-FX100」の姉妹モデルとして「ともだち家電」対応モデルの「KI-WF100」があります。

空気清浄機としての性能は「KI-FX100」と全く同じで、スマート家電としての機能が追加されたモデルです。

スマート家電を含む「IoT」が将来的に家電その他に重要な機能として組み込まれていく可能性は高そうです。

ただ。

現在、シャープの「ともだち家電」で出来ることを見てみると、

ひとつ、空気の状態を教えてくれる。

部屋の空気だけではなく、外の空気についても花粉が多いとか、教えてくれるのだそうです。正直言って天気予報を見れば済むことですが、まあ一応あっても困ることではありません。

ふたつ、外からスマホで操作が出来る。

今のところ、これがスマート家電に現実的に最も期待するところではないでしょうか。むしろ、クラウドを経由しているスマート家電において、外部から操作や確認が出来ない仕様となっているのでは不良品と言われても仕方ないという気すらします。本当は一々操作をしなくても自分の判断で起動してくれた方がもっと良いのでしょうが、勝手に間違った運転をされても困るので、まずは人間によるリモート操作からというのは仕方のないところでしょう。

みっつ、スマホ経由で送った録音メッセージの再生が出来る。

、、、コレいらない感が濃厚に漂って来ます。

「家族の声でお部屋の空気が和む」のだそうですが、本当でしょうか?

ホームページでは、かわいい孫からのメッセージがおばあちゃんに届く、みたいなイメージとなっています。もしかすると最初の1、2回は和むのかもしれません。しかし、3回目、4回目、1ヶ月後、1年後となるとどうなのでしょう?同じメッセージでは和むのにも限界があります。そうならないためには、手を替え品を替え斬新なメッセージを送り続ける必要があります。空気清浄機にいきなり届くメッセージは「電話とは違うさりげない一言」なのだそうですが、これは相当ハイレベルなコミュニケーション手段じゃないでしょうか。相手の反応が見えないところで、一言メッセージを送るというのは一発芸的な難しさがありそうです。

「今回のメッセージどうだった?」みたいなことを結局電話で確認してしまったりする悲劇的な事態を避けるために、メッセージを送る方も送られた方も、巧みに空気を読んだやり取りを強いられることになりそうです。どうしてメッセージを空気清浄機経由で送らなければならないのか、その答えをメーカーの代わりに導き出せるような革新的なライフスタイルのイメージが持てる人向けの上級機能なのかもしれません。

これらの機能をもつ「ともだち家電」について、すごく魅力的かと聞かれたら、ついつい「別に」と口走ってしまいそうな感じは否めません。

ましてや「ともだち家電」無しの通常モデル「KI-FX100」の価格が75,000円くらいと、これだけでも十分ハイクラスなところに「ともだち家電」付きモデル「KI-WF100」となると、本体価格は95,000円くらいになるということを知ってしまうと、なおさらのことです。

ただ、この「KI-WF100」が通常モデルとは別の「ともだち家電」用モデルとなったことで、ラインアップとしては分かりやすくなった感じはします。「ともだち家電」用モデルとなったおかげで、旧モデル「KI-EX100」で「ともだち家電」を始める際に必要だった2万円弱する専用アダプターが不要になったと思いきや、しっかり本体価格もその分上げてくるところなど、価格的にも分かりやすさが追求されているようです。分かりにくいのはその使い道だけかもしれません。

まとめ

通常版最上位モデル「KI-FX100」は旧モデル「KI-EX100」と確かにほとんど変わりません。しかし、では悪い製品かというと、まあそんなこともありません。

HEPAフィルターと脱臭フィルターというベーシックな構造に、ホコリ、ニオイ、温度、湿度、照度という5つものセンサーを基にした自動運転が可能です。基本的にフィルターは10年交換不要でお手入れの手間も最小化されています。さらに加湿量は最大930ml/時と、普通の加湿器を一蹴してしまうほどパワフルなのです。

さらに、必殺プラズマクラスターもついていて、どれだけ役に立つかは不明ですが人工知能ココロエンジンも搭載しており、言葉を発することさえもできます。これで、この「KI-FX100」のことを空気清浄機として不十分だ!なんてことを言ったらバチがあたりそうです。間違いなく使える製品でしょう。ただ、もし旧モデルを見つけたら、自信をもってそちらを選択しても、ほぼ同じレベルで間違いはないでしょう。

「ともだち家電」モデル「KI-WF100」については、どうしても自宅もしくは祖父母宅の空気清浄機と「ともだち」付き合いしたい、しなければならない、という極めて深刻な事態の場合のみ要検討ということで良さそうな気がしてなりません。

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