ダイキンの異端なスタンダード空気清浄機「MC80S」

ダイキン「MC80S」



ダイキン PM2.5対応空気清浄機(ホワイト)MC80S-W

これが「スタンダード」?

ダイキンの空気清浄機、空気清浄専用モデルです。
「パワフル空気清浄のスタンダードタイプ」だそうです。

不思議です。

「パワフル空気清浄」
これは特に問題ありません。

この「MC80S」の最大風量は8.0㎥/分です。

正確な統計はありませんが、この8.0㎥/分という風量は、まず間違いなく現在日本で販売されている空気清浄機の平均風量を軽く超えているでしょう。なので「パワフル」という言葉に異存はありません。

しかし、「スタンダードタイプ」
これはちょっと解せません。

スタンダード=standard=標準、基準

です。中学生レベルの単語だそうです。

ダイキンの空気清浄機ラインアップを見ると、

スリムタワータイプ」、「プレミアムタイプ」、「ハイグレードタイプ」、そしてこの「スタンダードタイプ」となっています。

「スタンダード」というからには、この「MC80S」がダイキンの空気清浄機の中で何らかの基準となっている製品という感じがするわけですが、そもそもダイキンの空気清浄機ラインアップで空気清浄専用モデルはこの「MC80S」しかありません。他のモデルには加湿機能が付いているのです。

ダイキンのホームーページには「お部屋や生活スタイルにあった選び方」という、空気清浄機の選び方をメーカー自らがアドバイスしてくれるというコーナーがあります。

それによると

「大切な家族のためにテクノロジーでキレイに」というタイプ
→「スリムタワータイプ」「プレミアムタイプ」「ハイグレードタイプ」がお勧め!(つまり「スタンダードタイプ」以外)

「こだわりのインテリアに溶け込む」タイプ
→「スリムタワータイプ」がお勧め!

「乾燥だけじゃない しつどの悩みを解決したい」タイプ
→「プレミアムタイプ」がお勧め!

「キレイな水で空間をうるおす」タイプ
→「スリムタワータイプ」「プレミアムタイプ」「ハイグレードタイプ」がお勧め!(つまり「スタンダードタイプ」以外)

「帰宅したらすぐにキレイなくうきに」するタイプ
→「スリムタワータイプ」「プレミアムタイプ」「ハイグレードタイプ」「スタンダードタイプ」がお勧め!(つまり全タイプ)

「静かな部屋でゆっくり眠る」タイプ
→「スリムタワータイプ」がお勧め!

となっています。

加湿や除湿が必要とされるタイプに「スタンダードタイプ」が入らないのは当然なのですが、それにしても「スリムタワータイプ」が随分お勧めされているのに対し、「スタンダードタイプ」には素っ気無さ過ぎではないでしょうか?「スタンダードタイプ」の扱いの低さを見る限り、メーカーのダイキンは、もともと空気清浄機には加湿機能が付いているのが基本と考えているような感じがしてなりません。

ひょっとして、この「スタンダードタイプ」はスタンダードでは全くなくて、むしろ「異端」なのではないでしょうか?

もちろん、やはり「スタンダードタイプ」があくまでもノーマル(=スタンダード)で、そこにさらに加湿機能を追加しているからこそ、「ハイグレードタイプ」や「プレミアムタイプ」や、はたまた「スリムタワータイプ」へと変化しているという可能性もゼロではありません。

しかし、空気清浄機の能力を測る上での最重要ポイントである「風量」を見てみると、

「スリムタワータイプ」(MCK55S)→5.5㎥
「スリムタワータイプ」(MCK40S)→4.0㎥
「プレミアムタイプ」(MCZ70S)→7.0㎥
「ハイグレードタイプ」(MCK70S)→7.0㎥
「スタンダードタイプ」(MC80S)→8.0㎥

となっていて、なんとこの「スタンダードタイプ」の風量が最も大きいのです。

いや、それは「スタンダードタイプ」は加湿をしないから、、、ということなのかもしれませんが、その場合でも結局、この「スタンダードタイプ」の「スタンダード感」からは遠ざかります。

フィルター10年分まとめ買い

そして、この「スタンダードタイプ MC80S」の異端っぷりはフィルターにも表れています。

最近の国内大手メーカーの空気清浄機の上位モデルはフィルターを10年交換不要とうたっているものが多いです。発売年度から考えても、10年後のフィルターがどういう状態なのか誰も正確に検証出来てはいないと思うのですが、新しいフィルターを買わなくて済んだり、お手入れの手間がなかったりして、使う側からするとお手軽感がアップすることは間違いありません。

ダイキンの空気清浄機の主力製品(たぶん)である加湿機能付きの「ハイグレードタイプ」や「スリムタワータイプ」そして「プレミアムタイプ」もこの流れに乗り、集塵フィルターの交換目安は10年となっています。

しかし、この「MC80S」は違います。

「MC80S」に装着されているフィルターの交換目安は2年です。しかし、初めから5枚セットとなってます。2年交換のフィルター5枚=「10年間買い増し不要」という驚きの先物買い仕様となっているのです。本体の内部に交換用フィルターの収納スペースまでも設けている念の入れようです。

もしも、本体が10年もたなかったらどうするのか?

そんな心配もしてしまう上に、仮に10年間使い切ったとしても、次のフィルターもまた5枚セット=10年分です。10年間使用出来るフィルターと、10年間分のフィルターとは意味が違うと思うのですが、メーカーにとっては同じ扱いのようです。

まとめ

この「スタンダードタイプ MC80S」は、ちっともスタンダードでないうえに、10年間分のフィルターをセットで入手しなければならないという気分的な使い勝手の悪さを備えてはいますが、製品自体の性能に大きな問題はありません。

メーカーの空気清浄機ラインアップで最大となる8.0㎥/分のパワーがあり、ホコリ&ニオイセンサーも搭載していて自動運転でおまかせすることが出来ます。点けっぱなしにする場合はあまり関係ありませんが、一応リモコンも付属しています。

2年おきのフィルター交換はもちろん、ダイキンではお馴染みの苦行に近い電気集塵ユニットのお手入れもへっちゃらだよ!というフットワークの軽い人であれば、たとえメーカーにとっては異端であっても、特に悪い製品とは言えなさそうです。

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