世界最強を名乗る新興ブランド、Airdogの空気清浄機「X3s」

最近の空気清浄機っぽい特徴の1つとも言える、タテ型柱状タイプの製品です。



このAirdog「X3s」はコンパクトモデルという位置付けですが、使用する部屋の広さの目安は約19畳となっています。日本国内のごく普通の間取りを考えたときにはそれほどコンパクトではない感じもしますが、さすが海外からの舶来品はスケールが違うということでしょう。

その勢いのまま「シリコンバレーで開発された世界最強レベルの空気清浄機」というキャッチコピーにどことなく上から目線を感じてしまうのは島国根性が過ぎるのかもしれませんが、「世界最強」が本当なら、本当にスゴいし、本当でないとすれば、本当ではないのに「世界最強」を名乗ってしまうその度胸がスゴいので、どちらにしてもスゴい製品と言えるかもしれません。

そして、その「世界最強」の根拠となっているのが「微細粒子の除去能力とフィルター性能低下率をもとにした能力」なのだそうです。

特に「微細粒子の除去能力」に関しては、「ウイルスの6分の1、0.0146マイクロメートルの微細粒子まで除去」すると言い切っているので、相当な自信があるのでしょう。これはこのAirdog「X3s」に搭載されている「TPAフィルター」の働きによるものです。

この「TPAフィルター」は特許を取得している独自技術らしく、有害物質を帯電させてフィルターに吸着させることでミクロの汚れをキャッチする能力の高さはもちろんのこと、何と交換が不要という驚きの仕様となっています。フィルターそのものの性能低下率も低いようですが、この「TPAフィルター」は中性洗剤を使って水洗いが出来るそうなので、目詰まりによる性能劣化がほぼ無いという長所も兼ね備えています。

「TPAフィルター」の他にも、光センサーや人感センサーが付いていたり、空気の汚れ具合を間接照明ともなるライトの色で表したり、機能が無いわけではありませんが、やはり「TPAフィルター」がこのAirdog「X3s」の最大の特徴と言って良いでしょう。

最高の性能を誇るフィルターを無交換で使い続けることが出来るのであれば、「世界最強」という言葉にも信憑性が出てきます。

ただ。

Airdogは日本では2020年に初めて市場に製品が登場した、かなり新興のブランドです。

この「X3s」の他にもフラッグシップモデルとされる「X5s」、最大のパワーと機能を誇る「X8Pro」、ミニサイズの「Airdog mini」といくつかの製品を展開していますが、「Airdog」はあくまでブランド名で、メーカーの姿はよく見えません、というか全然見えません。これはなかなかの不安要素です。

日本での販売に関しては東京に本社を置くトゥーコネクトが代理店となっているようですが、あくまで代理店にすぎません。ブランドとしてのAirdogは「シリコンバレーで開発された」という文言をアピールしていますが、メーカーの概要も沿革もよく分からないので、実際のシリコンバレー度合いがどれくらいなのか、全く不明だったりします。ただ、空気清浄能力の性能を示す指標としてCADR(クリーンエア供給率)を使っていながら、アメリカのAHAM規格ではなく、中国の規格に基づいているなど、かなり中国寄りのグループが手掛けているブランドの可能性が高そうです。それならそれで中国系のブランドだということを前面に出してもそれほど問題ではないような気もしますが、日本と中国の関係だったり、世界の中での中国の立ち位置などを考慮すると、現段階では中国の存在をなるべく出さない方がベターだというのが「Airdog」ブランドを手掛けている人たちの判断ということなのでしょう。このあたりもますますグレーな感じがして、不安要素に直結してしまっているかもしれません。

そして、この不安については関係者も意識しているのか、ホームページの「よくある質問」コーナーに、Airdog自身のことについて「信頼できるブランドですか?」という、そのものズバリの質問が用意されています。

そして、これに対する回答は「第三者機関で様々な試験をクリアし確かな技術が証明されております。その技術力は海外で評価されており様々な賞を受賞。信頼できるブランドです」となっています。

ブランドの信頼度に関する話が技術力の高さの話に置き換わっていて、全く不安が解消されていないところが大変悩ましいところですが、あえてこの質問が用意されていることから、ユーザーに向き合おうという姿勢は一応あると好意的に解釈することも出来るかもしれません。

もちろん、不安要素自体は解消されていないので、君子危うきに近寄らずといううことで、製品もしくはブランドの評価がハッキリするまで、ひとまず敬遠しておくという判断もアリでしょう。

何しろAirdogはコンパクトモデルであるこの「X3s」ですら、実勢価格9万円を軽く超えてくるハイクラス寄りの製品です。お試し感覚の軽い気持ちで購入を決断することはそう簡単ではありません。むしろこの価格にたじろがない上級市民の方であれば、コンパクトモデルの「X3s」は飛び越して、最上位モデルの「X8Pro」、少なくとも標準モデルの「X5s」が候補となって来るのかもしれません。

ネットはもちろん、テレビCMも投入されていて積極的な広告展開が目立つAirdogですが、はたして空気清浄機の有力ブランドとして定着することが出来るのか、なかなか注目なところです。


■Airdog「X3s」のスペック

発売2021年4月
サイズ幅260×奥行260×高さ520mm
重さ5.9kg
適用畳数31畳
風量-
運転音22.3〜46dB
消費電力8.7〜27W
センサー空気質指数・光・人感

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