コンパクトで無難なシャープの加湿器「HV-J30」

適用面積がプレハブ洋室で約8畳、木造なら約5畳と、それほどパワフルとは言えない加湿器です。

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シャープの加湿器には、よりサイズが大きく、よりパワフルなモデルもあり、そちらはヒーターを搭載したハイブリッド式の加湿器となります。

それらのモデルは加湿力が高いのはもちろんのこと、水タンクを取り出すことなく、本体上部から注ぐ形で給水が出来るようになっているなど、この「HV-J30」とは構造的にも全く異なるモデルとなります。正直なところ、この「HV-J30」を選択するメリットは、サイズ、そして価格もコンパクトであるということに尽きるでしょう。

ただ、基本的にシャープの加湿器は、必殺プラズマクラスターを搭載しているということ以外に大きな特徴は無いので、この「HV-J30」を上位モデルと比べても、加湿力の差以外の機能面でそれほど見劣りするところはありません。もちろんこの「HV-J30」の場合、本体上部から注ぐ形で給水は出来ないのですが、上位モデルと比べると加湿力もタンク容量も少ないので、水の入れ換えの手間も想定的に少ないということは言えるでしょう。

そして、あまり特徴が無い加湿器といっても、温度+湿度のWセンサーを搭載していて、湿度の目安に応じた自動運転も可能となっているので、単にコンパクトで低価格モデルというわけではありません。DCモーターを採用していることで、消費電力も最大で9Wしかかかりません。残念ながら別売にはなりますが、タンクの水質を保つ効果のある「Ag+イオンカートリッジ」も用意されていて、衛生面にも配慮されています。

また「お手入れカンタン設計」ということで、お手入れを必要とするパーツが少なく、お手入れそのものも比較的簡単な作業となっています。ただこれについては、どれくらいのお手入れを「カンタン」とするのか、人によって評価が分かれるところかもしれません。

同クラスの加湿力を持つ製品と比べてみても、この「HV-J30」が、他に抜きん出てお手入れが簡単という感じは特にありません。

ほぼポットと同じ構造をしている象印「EE-RP35」の圧倒的なシンプル構造には及びようもありませんし、かといって、三菱重工「SHE35SD」のようにスケールがこびり付くような「蒸発布」などの部材があるわけでもありません。この「HV-J30」のような気化式の加湿器の場合、水を高温で加熱するわけではないので、スチーム式の加湿器のように水分中の汚れが固体となって付着することはあまりありませんが、水タンクとトレー、そして何よりも水分が気化するフィルターに汚れが集中します。

といっても、基本的にはマメな水洗いと、汚れが気になるときには重曹、ニオイが気になる時にはクエン酸などで浸け置き洗いをすれば問題ないのですが、この水回り部分の浸け置きを大きな手間と感じない場合は、超音波式のダイソン「MF01」を含む、ほぼ全ての加湿器のお手入れについて、それほど大きな手間とは感じないかもしれません。

結局のところ「お手入れカンタン設計」というのは、他の加湿器と比べて「カンタン」という訳ではなく、他の加湿器と同様、それほど大変なお手入れは必要ありません、という意味という風に理解しておいた方が良いかもしれません。実際、同じ気化式の加湿器であるパナソニック「FE-KFS03」のお手入れは、この「HV-J30」とほぼ同様のものとなっています。

この「HV-J30」は、それほどパワーも無く、画期的な機能も無いので、この「HV-J30」を手に入れたところで、生活が格段に快適になるという可能性は見込みにくいでしょう。しかし、特に大きな弱点も無いので、この「HV-J30」が邪魔になるということも無さそうです。それほど広くない部屋の湿度をコントロールしたいという場合には、この「HV-J30」はそこそこの活躍を見せてくれることでしょう。

■HV-J30のスペック