パワーも消費電力も破格の加湿器。三菱重工「SHE120JD」

三菱重工空調システムの誇る大容量加湿器です。

一応、スチーム式加湿器「SHE」シリーズの最大モデルという位置付けですが、はっきり言って下位の「SHE60JD」、「SHE35JD」とは見た目も、能力も別物です。

その加湿量は何と1200ml/時に達します。

つまり、1.2リットルです。1時間に1.2リットルもの水分を空気中に放出できるのです。

適用畳数で言うと、木造で20畳、プレハブで33畳となります。「超」のつく豪邸にお住まいの方以外は、これが1台あれば、居住スペースの相当部分で十分快適な湿度を保つことができそうです。

1.2リットルという膨大な加湿量に大いにたじろいでしまいますが、温度・湿度センサーを基に、適度な湿度に保つ「おまかせ運転」というモードがあるので、空気中に毎時1.2リットルの水分を撒き散らし続けるということは無さそうです。

加湿はスチーム式ですが、「蒸発布」を媒介し「蒸発布」の水分だけを蒸発させるという方法を取ることで、かなり省エネとなっています。これは特許技術で、この加湿方法は「スチームファン蒸発方式」というのだそうです。

消費電力は440W〜最大でも880Wとなっており、確かに1.2リットルという加湿量を考えた場合、なかなか効率が良いという感じがします。ただ、もちろん気化式や超音波式に対抗出来る消費電力ではありません。あくまでスチーム式で、この加湿量の場合、という話です。

おまかせ自動運転の他、40〜65%の間で5%刻みに目標湿度を設定して、それに合わせて運転する「湿度設定運転」も可能です。さらに、湿度設定をを50%固定にすることで消費電力を抑える「エコ運転」というモードもあります。

タイマーや、部屋が乾燥した時にアラームで知らせてくれたりするなど、機能面でもなかなか充実している感じがします。

他に、ウイルス抑制効果のある「プラズマイオン」を放出したりもしますが、実証されているのは1㎥の閉鎖空間なので、まあ、「豪邸」レベルの空間が対象のこの加湿器にとって、これは気休め程度かもしれません。まあ無いよりはあった方が良いかな、という程度でしょう。

ちょっと気になるのは、特許技術に関する「蒸発布」のお手入れ(と交換)です。

この三菱重工のスチームファン蒸発方式では、加湿時に水分中に含まれるミネラル分が「蒸発布」にこびりつくため、この汚れを落とす作業が必要となります。

特に大型であるこの「SHE120JD」の場合、本体内に水タンクを2つ搭載しており、蒸発布も2枚ずつ装着されているため、お手入れの際には2枚とも汚れを落とす必要があります。

この「蒸発布」のお手入れ目安は1週間に1度。

「蒸発布」は洗って再利用可能ですが、次第に傷んで来るので、1タンクあたり1シーズンで2枚ほど必要となります。つまりこの「SHE120JD」の場合は、合計4枚です。「蒸発布」は2枚で1,260円となっています。

別売で「イオンフィルター」なるものもあり、これを装着すると「蒸発布」に付着する汚れが緩和されるようです。この「イオンフィルター」が2個で1,575円。

、、、。

「蒸発布」も「イオンフィルター」も特別高価なものではないのですが、やはり部品を入手して交換しなければならなかったりするのは、正直言って面倒くさいという感じがします。

また、この特許技術「スチームファン蒸発方式」の場合、「蒸発布」に水分が浸透するまで加湿が出来ないという弱点もあります。水を入れたタンクを本体にセットした後、電源を入れる前に10分ほど「待つ」ことが必要なのです。

セットしたのに、電源を入れられないというのは、少しイライラしそうですが、電源を入れた後は1〜3分で加湿が始まるようなので、トータルでの加湿開始時間はスチーム式としては特別遅い訳ではありません。ここは我慢の一手です(まあ、他に方法はありませんが)。

基本性能に問題は無さそうなので、しっかりとお手入れや付属品の管理が出来る人、じっと10分待てる人、そして何よりもハイパワーな加湿器を求めている人にとっては、シンプルで良い製品と言えるかもしれません。

ただし、この「SHE120JD」は本体だけで7.4kgあります。水タンクは5リットルが2つなので、満タンにすると10kgです。本体と合わせるとトータルで17.4kgというハンパない重量級の製品なので注意が必要です。

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