もはや希少種?東芝のスチーム式加湿器「uLOS(KA-P35X)」

東芝のuLOSシリーズといえば、円型をした「中まで洗えるシリーズ」がメインとなっていますが、このuLOS「KA-P35X」はどこからどう見ても四角です。



「四角で何が悪いのか」

と聞かれれば、もちろん何も悪いことはありません。

しかし、せっかく新しい円型の加湿器を登場させたというのに、どうして従来型形状をした「四角ウルオス」君もラインナップされたのでしょうか?

まず、「円型ウルオス」君の加湿方法は「気化式」です。

対する、この「四角ウルオス」君は「スチーム式」なのです。

「気化式」と「スチーム式」の違いといえば、まずは消費電力です。

この「四角ウルオス」君の消費電力は310Wです。そして、加湿量は350ml/h。スチーム式としては可も無く、不可も無くといった消費電力です。

「円型ウルオス」シリーズの中で、この「KA-P35X」に近い加湿量となるのは、加湿量300ml/hの「KA-P30X」です。

そして、その消費電力は20Wです。

310Wと20W、、、。

比べものになりません。

2つのモデルでは加湿量が50ml違いますが、仮に「円型ウルオスKA-P30X」と同じ加湿量300mlにして、消費電力を同じ割合分減らしてみても(実際には減りませんが)約265Wでやはり10倍以上消費電力が多いのです。

消費電力が10倍以上多いということは、当然、電気代も10倍以上多いということです。

金額にすると、どれくらい違うのでしょうか?

毎日8時間ずつ使用したとすると、一ヶ月の電気代目安は、

「円型ウルオスKA-P30X」→約110円
「四角ウルオスKA-P35X」→約1640円

となります。

、、、うーん。

当たり前ですが、確かに10倍以上です。

これはもう「気化式」でいいんじゃないですか?

電気代だけを見ていると、そういう気持ちになります。

しかし、根強く「スチーム式」の加湿器が残っている理由を無視する訳にはいきません。

「スチーム式」には、

水に熱を加えて蒸発させるので、放出される水分が衛生的。
加湿力が強く、さらに加熱することによって、特に乾燥しがちな冬などには室温維持にも役立つ。

という大きなメリットがあります。

「衛生面」については、たとえ「気化式」だとしても、本体やフィルターをよく洗うことで解消出来ます。特に「ウルオス(円型)シリーズ」は分解洗浄出来るので、衛生面の不安を極限まで減らすことが出来ます。

「加湿力」については、「気化式」でも、加湿量の大きなモデルがたくさん存在します。しかし、「気化式」には、力のあるファンが必要なので、本体サイズが大きくなったり、運転音が大きくなったりします。

「円型ウルオスKA-P30X」と「四角ウルオスKA-P35X」の場合、本体サイズはそれほど変わりませんが、運転音はだいぶ異なります。

「円型ウルオスKA-P30X」→最大42dB
「四角ウルオスKA-P35X」→約30dB

42dBは、決して「うるさーい!」というレベルではありませんが、30dBとははっきり違いが感じられるレベルです。

また、この「円型ウルオスKA-P30X」と「四角ウルオスKA-P35X」の場合、本体サイズがそれほど変わらない分、水タンクの大きさがまるで違います。どちらも本体スペースの余白を水タンクとしているような変形タンクを搭載しているのですが、タンクの容量は、

「円型ウルオスKA-P30X」→1.5リットル
「四角ウルオスKA-P35X」→4リットル

となっています。

「四角ウルオス」君は「円型ウルオスKA-P30X」の実に2.6倍以上のタンクを抱えているのです。

これにより「四角ウルオス」は最大加湿量でも、なんと連続11時間20分という、あまり例を見ないほどの長時間運転が可能となっています。

6畳〜10畳の部屋に4リットルもの水分が吸収される余地があるのかどうか、大変微妙なところのような気もしますが、使っている途中で水切れを起こしたりする心配が少ないのは間違いないでしょう。

対する「円型ウルオスKA-P30X」は最大加湿量だと連続で5時間しか持ちません。

掃除と水交換の手間、そして静かさを金(電気代)で買うのが「スチーム式」と言えるのかもしれません。「簡単でラクな加湿器」が必要とされる限り、「スチーム式」加湿器は生き残って行くということなのでしょう。

この「四角ウルオス KA-P30X」は温度・湿度センサーによる自動運転が可能で、目標湿度も設定出来るなど、機能的にはなかなか高性能です。「スチーム式」の特徴を生かして、アロマオイル用のポットを備えているのも、お部屋の香りにこだわる人にはプラス評価かもしれません。

東芝独自の「ピコイオン」放出により、菌や花粉を抑制することが出来ますが、例によって、実生活空間での効果は保証されていません。「ピコイオンなんていらないよ」という人のためには、ちゃんと「ピコイオン非搭載」モデルも用意されています。

4リットルの大型タンクが、かなりイレギュラーな形状をしているので、掃除をするのが少し面倒な感じもしますが、長時間運転と引換えと思えば致し方ないところでしょうか。

総じて、なかなか手堅い仕様の製品と言えそうですが、メーカーの本命はやはり「気化式」の「円型ウルオス」シリーズらしく、「四角ウルオス」は加湿量350ml/hのモデルしかありません。

もしかすると、この製品は「やっぱり加湿はスチームで」という人のために残された希少種と言えるのかもしれません。

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