フィルターレスサイクロン
「フィルターレスサイクロン」と言われて、すぐに意味が通じる人は余程の事情通か、業界関係者なのではないでしょうか。
メーカーの説明によると、「フィルターレスサイクロン」=「目詰まりするサイクロン部のフィルターをなくしたサイクロン」なのだそうです。
もちろん、これの意味するところは、サイクロン部にはフィルターは無いけれど、それ以外の場所にはフィルターはありますよ、ということです。
本来、サイクロン掃除機は、気流の回転の力でゴミと空気とを分離するという触れ込みなので、そもそもフィルターがあること自体、サイクロンの力だけではゴミと空気とをきちんと分離出来ていないということを意味しています。
しかし残念ながら、今のところ、本体内にフィルターを装着していないサイクロン掃除機はサイクロン界の王様、ダイソンも含めてこの世に存在しません。
ただ、その中でもサイクロン部にフィルターがあるタイプのサイクロン掃除機は、ゴミと空気を分離するにあたって、サイクロン機構の性能よりも、かなり本気でフィルターの力に頼ろうとしています。もしもフィルターを装着しないと、たぶん本体が壊れるんだろうな、という切迫感が感じられることすらあります。
それと比べると確かに「フィルターレスサイクロン」は、サイクロン機構でそれなりにゴミと空気を分離する自信があるのだと思われます。
なので、
「フィルターレスサイクロン」=現時点でのいわゆるサイクロン掃除機
「フィルター有りサイクロン」=サイクロン掃除機っぽい掃除機
という認識で良いと思われます。
トルネオV「VC-MG900」
(2015年発売)→詳細ページ
サイクロン機構に定評のある「トルネオ」シリーズの最上位モデルです。フィルターの性能も含めてですが、0.3μm以上のゴミであれば、約99.999%キャッチして見せると豪語するほどの能力を誇ります。
従来モデル同様、高機能で使い勝手の高いヘッド周りに加え、このモデルからは、サイクロン機構の内部まで水洗いが出来るようになっており、もはや配慮が行き届き過ぎて、逆に面倒くさいというレベルに到達しています。
この最上位モデルだけに付属する「ふとんブラシ」は、たたき機能も付いた本格派となっています。
トルネオV「VC-MG800」
(2015年発売)
最上位モデル「VC-MG900」との違いは、付属品に本格派「ふとんブラシ」が付いてこないという1点のみで、本体の性能には全く差がありません。
しかし、最上位モデル「VC-MG900」との価格の差も3,000円程度となっており、まさに「ふとんブラシ」分の違いしかない感じです。
「ふとんブラシ」が必要であれば、最上位モデル「VC-MG900」、そうでなければこの「VC-MG800」でOK、という分かりやすい棲み分けがなされています。
トルネオV「VC-MG600」
(2015年発売)
上位モデル「VC-MG900」「VC-MG800」と大きな差はありません。しかし、上位モデルが「0.3μm以上のゴミを約99.999%キャッチ」するとされているのに対し、この「VC-MG600」は「0.3μm以上のゴミを約99.9%キャッチ」となっており、ケタ2つほど性能が変わっています。これは搭載しているフィルターが異なっていることの影響が大きいのだと思われます。
また、延長管の先にあるLEDライトがカットされ、付属品も「ふとんブラシ」はもちろん、高いところの掃除向きの「ロングアタッチメントセット」もカットされています。
付属品を気にしなければ、普段の掃除で上位モデルとの間に大きな差を感じることは無さそうです。
トルネオV「VC-S500」
(2015年発売)
製品の外観は上位のモデルとそれほど違いはありません。しかし、中身は完全に別物となっているモデルです。
まず、サイクロン機構が上位モデルとは異なり、中は洗えないタイプとなっています。これについては元々お手入れが苦手な人にとってはそれほど大きな影響はないかもしれませんが、ヘッド部分も大きく異なっており、上位モデルのヘッドにある「拭き取り機能」はもちろん、ゴミの残り具合を感知するセンサーまでもカットされています。
さらに上位モデルでは0.3μm以上のゴミを99.999%、又は99.9%キャッチするというようにコンマレベルでの測定がなされていましたが、驚いたことに、この「VC-S500」においては、全く触れられていません。99%なのか、98%なのか、はたまた9.9%なのか、そもそもゴミをキャッチ出来るのかどうか自体も、はっきりとは記載されていないのです。
本体にあるタイヤまでもがランクダウンされており、まさに徹底的にコストカットが図られたモデルという雰囲気を醸し出しています。さすがに本体価格は、すぐ上のモデル「VC-MG600」と比べても1万円弱の価格差が付いており、価格的にも間違いがないように配慮されているようです。
サイクロン式
「フィルターレスサイクロン」=「目詰まりするサイクロン部のフィルターをなくしたサイクロン」というメーカーの定義からもはっきりしていますが、ここに該当する「トルネオミニ」シリーズは、サイクロン機構内部に強力なフィルターを搭載しています。
どのくらい強力かというと、ゴミが付着しまくるために、チリ落としレバーをガチャガチャ動かしてフィルターに付いたゴミを物理的に落としてあげる必要があるくらいのレベルです。
つまり、サイクロン機構はあまり機能していない、と割り切って考えておいた方が精神衛生上はラクかもしれません。
「フィルターレスサイクロン」を名乗る「トルネオV」シリーズが「デュアルトルネード」と「ミクロトルネード」という2つのサイクロン構造を搭載しているのに対し、この「トルネオミニ」シリーズでは、そのうちの「デュアルトルネード」しか搭載していないと知れば、サイクロン機構の性能が低いのも、まあ当然のことという感じがします。
しかし、サイクロン機構が少ないことにより、本体のサイズが小さいというメリットも忘れてはならないでしょう。というか、そこにメリットがなければこの「トルネオミニ」シリーズの存在意義がなくなってしまうのかもしれません。
トルネオミニ「VC-C4」
(2014年発売)
「トルネオミニ」シリーズの上位モデル、といっても2モデルしかないので、プレミアム感はそれほど、というか全くありません。
幅220mm×奥行295mm×高さ255mm、本体の重さ2.2kgというコンパクトなサイズが最大の魅力となると思います。ただ、本体が小さいのは良いのですが、ダストボックスの容量もわずかに0.25リットルしかないということには注意しておく必要があるかもしれません。
トルネオミニ「VC-C4A」
(2014年発売)
型番では上位モデルにあたる「VC-C4」に「A」が付いただけですが、性能については、おそらくそれ以上に差があります。
まず、ヘッドが自走式→エアー式にランクダウンしています。型番の「A」はおそらくこの「エアー式」に由来しているのだと思われます。
また、この「VC-C4A」には、「VC-C4」にある延長管の手前にある手元用ブラシと、ヘッドの手前にあるブラシがありません。わざわざヘッドを付属ブラシに変更しなくとも、延長管周辺にブラシを装着していることで手元やすき間の掃除がしやすいようになっていることは国内メーカーならでは使い勝手の良さにつながっているポイントの一つでしたが、この「VC-C4A」においては、なりふり構わぬコストカットの犠牲となってしまったようです。
さらにこの「VC-C4A」ではエコモードもカットされており、目に見える部分だけでなく、見えない部分もしっかりランクダウンさせておこうという明確な意図をもって設計されているようです。
これで「VC-C4」との価格差が2,000円前後ということを考えると、この「VC-C4A」を選択するためには、かなりの覚悟、あるいは盲目的な勢いが必要なのではないかという気がしてしまいます。
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