もはや絶滅危惧種っぽい空気清浄機能付き掃除機。パナソニック「エアシス MC-SXD430」

空気もお部屋もキレイにしてくれるという一石二鳥感たっぷりな個性派掃除機です。


パナソニック サイクロン掃除機 ホワイト MC-SXD430-W

空気清浄機能が特徴的な「エアシス」シリーズの最新モデルです。

0.08ミクロンの微粒子を99.995%キャッチするという驚異の空気清浄性能は旧モデル「MC-SXD420」と全く変わりません。この「エアシス」君を動かしっ放しにしておけば、もはや空気清浄機なんていらないんじゃないの!?という気もしてきますが、もちろんそんなはずはありません。

この「エアシス」君の空気清浄モード時の消費電力は約300W。
空気清浄機の場合、相当大型の製品でなければ消費電力が100Wを超えることはありません。

そして、運転音が51dB(空気清浄モード)というのは、ハイパワーな空気清浄機の最大騒音レベルとそれほど変わりませんが、「エアシス」君の空気清浄モードは約10分ほどしか続きません。空気清浄は継続的に行う方がベターと言われているので、「エアシス君」でお部屋の空気をキレイにし続けようと思うと、約10分おきにスイッチを入れ直す必要があります。

さらにこの「エアシス」君には、通常の空気清浄機に搭載されている、ホコリセンサーやニオイセンサーなどがありません。

まあ、要するに掃除機に空気清浄機の代わりは務まらない、という至極真っ当な結論に至ります。この「エアシス」君の空気清浄能力は、掃除の時についでに空気も少しキレイにするよ、というレベルを超えるものではないのです。

そして、この「エアシス」君の最大(たぶん)の弱点、ゴミ捨てについては旧モデルからほとんど変わっていません。

驚異のフィルター性能によって微粒子がたくさん含まれているであろうダストボックスをガバッとひっくり返して、バサバサとゴミ袋に捨てればOK!という、微粒子が飛散するという可能性を全く無視したかのような豪快な方法がしっかりと継承されているのです。

、、、。

まあ、ゴミ捨ては外に出てやりなさいということなのでしょう。

かなり高性能な微粒子キャッチ能力と、かなり今イチなゴミ捨て方法というアンバランスな仕様は受け継ぎつつ、本来の役割である掃除機としての仕様は、旧モデルからだいぶ変更されています。

最大の変更点は「ヘッド」です。

旧三洋電機の流れを組む製品である「エアシス」の場合、これまではヘッドもパナソニック純正のものとは異なり、タテヨコに可変するメカニカルなものとなっていましたが、この「MC-SXD430」では他のパナソニック製品と同系となる「親子のノズル」を搭載したヘッドとなっています。このため「子ノズル」にはLEDライトが搭載され、ヘッドの上部には浮遊するチリを吸引する「エアダストキャッチャー」も装備しています。

では、これが確実な進歩なのかというと、ちょっと微妙な感じもします。

従来のメカニカルなヘッドには側面にもブラシが付いていて壁ぎわが吸引しやすかったり、ヘッドをひねって立てることで狭いすき間にもヘッドを差し込むことが出来たりと、これはこれでなかなか個性的な仕様となっていたので、どっちが良いと感じるかは掃除機の使い方にもよりそうです。このヘッドの共通化についてはメーカー側の製造上の都合もあったりするのでしょう。

また、この「エアシス」シリーズは市販のフローリングシートを装着して吸引しながら拭き掃除が出来るという、これまた独特な機能がありました。

これについては、この「MC-SXD430」でも旧モデルと同様にフローリングシートを装着することが出来ますが、旧モデルは使い終わったフローリングシートをボタン1つで吸込んでダストボックス内に取り込むことが出来たのに対し、この「MC-SXD430」はいちいち手で取り外さなければならなくなっています。これは機能的に劣化している感じがしますが、これもヘッドが変わったことによる影響なのかもしれません。

さらに吸込み仕事率を見ると、従来の約60〜最大530Wという数字が、120〜最大300Wと最大の数値は大幅に下方修正されています。消費電力も最大1000W→850Wとなっているので、ヘッドの変更の他、モーターにも大きな変更が加えられているようです。

消費電力の低減は進歩なのでしょうが、吸込仕事率がここまで変わると清掃能力にどれくらい影響するのかちょっと気になるところです。

しかし、このモデルから「ハウスダスト発見センサー」が搭載され、アイドリングオフ機能と合わせて、メーカー得意の「エコナビ」が機能するようになっています。メカ的にも、ソフト的にも、よりパナソニック純正製品に近づいて来たということなのかもしれません。

ただ。

この「エアシス」君、ホームページで見る限り、かなり「日陰者」的な扱いとなっています。

やはり「エアシス」という名前を背負っているせいなのでしょうか?
外観も機能も、パナソニックに染まりたくても染まり切れない、どこかそんな哀愁を感じさせる絶滅危惧種的な製品と言えそうです。

■MC-SXD430のスペック

タイプサイクロン式
集じん容量0.7L
吸込仕事率約120〜300W
消費電力約300〜850W
運転音約55〜58dB
サイズ幅270×奥行415×高さ228mm
重さ(標準使用時)3.9kg(5.8kg)

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