「驚愕の吸引力」がよく分からないコードレス掃除機「Orage C33」

ストレートにダイソンを彷彿とさせるド派手なカラーのスティッククリーナーです。



掃除機 コードレス 2in1 コードレス掃除機 サイクロン式 Orage C33 オラージュ 充電式 22.2V 超強力吸引 20000Pa 小型 コンパクト 軽量 ハンディクリーナー スティッククリーナー サイクロンクリーナー コードレスクリーナー【送料無料】


魅力はなんと言っても、15,000円を切る本体価格の安さでしょう。

見た目は似ていますが、コードレスクリーナーの最強ブランドであるダイソンと比べると、その価格差は歴然としています。何しろ、ダイソンの現行モデルでは最も安価な「V7」でも3万円は超え、上位モデルとなる「Dyson Digital Slim」となると6万円オーバー、付属品が充実したモデルでは9万円を超えて来るのです。

価格がこれだけ安いんだから、それなりに掃除が出来れば、もう十分だよ。こう考える人は決して少なくないでしょう。

そして、現にそう考える人が多いからこそ、この「Orage C33」が人気の製品となっているわけですが、この「Orage C33」は「それなりに掃除が出来る」ことをウリにしている製品ではありません。

この「Orage C33」が自らの最大の特徴としているのは「驚愕の吸引力」です。

掃除機として一歩も引かない真っ向勝負です。

価格も安く、性能も高いのであれば、もう言うことはありません。圧倒的な人気製品として国内はもちろん、やがては海外へも波及する大ヒット製品となっていくのかもしれません。

ただ、気になるところもあります。

この「Orage C33」の「驚愕の吸引力」は、正確には「驚愕の吸引力 285%up!! 20000pa」と表現されています。「285%up!!」には※印が付いていて、「当社FV100と比較」と記載があります。

つまり、この「Orage C33」は、「20000Pa」の吸引力があって、それは旧モデルの「FV100」よりも2.85倍もある「驚愕」の数値だよ、というわけです。

確かに旧モデル「FV100(=オラージュV)」の吸引力は7000Paとなっていて、7000の2.85倍=19950≒20000なので、ちゃんと計算も合います。

しかし、ここで問題となるのは、「20000Pa」という数字が、必ずしも掃除機としての吸引力の強さを示しているわけではないということです。

「20000Pa」は「真空度」を表していて、この数字はより高い方がより強くゴミを吸引するポテンシャルがあることを示しています。日本国内でよく用いられている掃除機の吸引力を示す指標として「吸込仕事率」がありますが、この「吸込仕事率」は「真空度」に「風量」と係数を掛け合わせて算出されています。なので「真空度」の数字は高い方が良いことは間違いありません。

しかし、ゴミを吸引する力を示す「真空度」がいくら高くても、ゴミを吸い込む「風量」が小さければ、ものすごい力で少しのゴミを吸い込むだけなので、部屋の掃除を終わらせるためには長い時間が掛かってしまいます。

「真空度」だけでは足りないのです。

ただ、ここにはもう1つ問題があり、たとえ「風量」を明らかにして「吸込仕事率」を明示したとしても、その「吸込仕事率」自体も、掃除機の吸引性能を示す指標として決してパーフェクトなものではありません。「吸込仕事率」は本体内に吸い込む空気の力と量を示していますが、そこにはヘッドやノズルの性能や特徴は考慮されません。効率よくゴミをかき込む高性能な回転ブラシや特殊な素材のブラシなどの効果は反映されないのです。

しかし「吸込仕事率」が万能でないとしても、比較するための参考値とすることは出来ます。充電池を電源とするコードレスクリーナーは「吸込仕事率」を明示する必要はありませんが、パナソニックの「パワーコードレス」シリーズや、マキタのクリーナーなど、数値を明らかにしている製品もあります。

この「Orage C33」もわざわざ「真空度」の数値を持ち出して「真空度」の高さを「吸引力」の強さとしてウリとするのであれば、もう1歩進んで「吸込仕事率」も明らかにした方がスッキリすると思うのですが、そうしないところには確信犯的なものを感じてしまいます。このあたりのウサンくささがあることが、この「Orage C33」が世界的大ヒット商品とならない要因の1つのような気もしますが、秘密のベールに包んでおいた方が良いことがあったり、何らかのポリシーがあったりするのかもしれません。

秘密めいた「吸引力」から離れれば、この「Orage C33」は、標準モードで35分、「20000Pa」のMAXモードでも12分の連続使用が出来るバッテリーを備えていて、ヘッド、パイプを含んでも1.93kgという軽量仕様のクリーナーとなっています。ダイソンをイメージさせる「ソフトローラー」の床用ヘッドに加えて、「ソフトブラシ」や「ミニヘッド」、「ホース」などの付属品も充実しています。爆音に近い75dBの運転音を「静音仕様」と言ってしまうのはいかがなものかと思いますが、それなりに使い勝手の良さそうな仕様となっています。

この「Orage C33」を手掛けているのは、大阪に拠点を置いてネット通販やテレビショッピングなどを行っている「フュージョンマーケティング」で、この「Orage C33」は、中国の工場で生産している「オリジナル製品」のようです。「Orage(オラージュ)」シリーズは、少なくとも5モデルがあり、この「Orage C33」は「ミドルモデル」とされています。よりパワフルな「26000Pa」の吸引力を誇る「Orage X77」という上位モデルも存在するので、何だかよく分からないけど「20000Pa」だと、ともかくまだ不安だ!という場合は、そちらを選択することも可能です。

そして、何しろ魅力的な本体価格です。とりあえず、スティック型のコードレス掃除機が欲しい!という人にとっては、候補として検討せざるを得ない有力モデルということになるのかもしれません。


■Orage C33のスペック

発売2019年6月
集じん容量0.8L
吸込み仕事率-
運転時間MAX:12分、標準:35分
充電時間4~6時間
運転音75dB
サイズ230×210×1080mm
重さ1.93kg
バッテリー寿命充放電1000回以上
バッテリー価格5,500円

コメント