蒸発布でちょっと効率の良いスチーム式の加湿器。三菱重工「SHE60JD」

加湿量は600ml/hとなかなかのハイパワーですが、現在3モデルある三菱重工のスチーム式加湿器の中では、ちょうど真ん中に位置するモデルです。

最上位モデル「SHE120JD」は、加湿量1200ml/hとまさにケタ外れのパワーを誇り、適用面積は木造20畳、プレハブ33畳と豪邸(又はオフィス)仕様となっているため、実質的にはこの「SHE60JD」が三菱重工のスチーム式加湿器のメインモデルといえそうです。

そしてメインモデルである証拠として、この「SHE60JD」には他の2モデルには無い機能が備わっています。

それは、、、

「湿度イルミネーション」です。

これは運転中、湿度が低いときは「赤」、快適な湿度になると「青」のランプが本体の正面で点灯するという機能です。

ただ、この「SHE60JD」は「湿度イルミネーション」とは別に、1%刻みで現在湿度をデジタル表示するモニターもあります。

、、、。

なら、「湿度イルミネーション」は別にいらないのでは?

という気もします。

けれど、パッと見たときに「赤」か「青」かだけで何となくお部屋の乾燥度合いが分かった方が良いかもしれません。

しかし、絶対に「必要な」機能かどうかと言われると、考えるまでもなく「そんなことはありません」と断言出来る機能でもあります。

実際この「湿度イルミネーション」は、以前は最も加湿量が少ないモデルにも搭載されていたのですが、最新モデルからは、この「SHE60JD」独自の機能となってしまったのです。これは、きっと壮絶なコスト削減の対象となってしまったということなのでしょう。

夜景ならぬ「湿度イルミネーション」を見つめながら、そんな滅び行く機能に涙する、、、そんな使い方は、まあ、あっても無くても構わないでしょう。

「イルミネーション」のことはさておき、この「SHE60JD」の加湿器としての機能は、なかなか手堅い感じがします。

蒸発布に水を染み込ませ、その水分だけを加熱する独自の「スチームファン蒸発方式」を採用しており、消費電力が比較的抑えられています。

加湿量は最大600ml/hもありながら、消費電力は最大440Wです。スチーム式加湿器の代表選手である「象印 EE-RD50」が加湿量480ml/hで消費電力が410W(加湿時。立ち上げ時は985W)ということを考えれば、まあまあ頑張っていると言えるのではないでしょうか。

温度・湿度の両センサーを搭載しており、目標湿度を設定して自動運転することも可能なので、この「SHE60JD」があれば、豪邸以外のリビングルームの湿度調整は任せておけるような感じがします。

お手入れは、独自の「蒸発布」を水洗いする必要があり、しかも「蒸発布」は消耗品のため2ヶ月に1度の目安で交換する必要があります。

この交換がちょっと面倒くさいような感じもしますが、加湿器を使うのが冬期だけなのであれば、交換は1度で済むということになるので、それほど気にする必要はないかもしれません。

そして、まるでそれに合わせているかのように、この「蒸発布」は2枚1セット、約1,200円で販売されています。

「蒸発布」の手入れと交換のことさえチェックすれば、この「SHE60JD」を迎え入れる準備はほとんどOKな訳ですが、「効率が良い」消費電力については、ちょっと注意が必要です。

消費電力が低いというのは、あくまで「スチーム式」の加湿器としては、ということです。

スチーム式は消費電力が他の加湿方式よりはるかに高いので、電気代を抑えたいという場合は根本的に対象外となってしまう可能性が高いです。

昨今の電力事情を反映してか、三菱重工も2012年から「ハイブリッド式」の加湿器を投入して来ました。

三菱重工のハイブリッド加湿器「SHK70JR」の場合、最大加湿量は700ml/hもあるにもかかわらず、消費電力は最大で280Wしかありません。

電気代にすると、いったいどれくらい変わってくるのでしょうか?

仮に最大消費電力で同じ1日8時間ずつ30日使用した場合、

スチーム式「SHE60JD」→最大約2,300円
ハイブリッド式「SHK70JR」→最大約1,500円

その差、約800円となります。

それでいて、最大加湿量はハイブリッド式「SHK70JR」の方が100ml/h大きいのです。

さらに言えば、ハイブリッド式「SHK70JR」には、ヒーターをオフにする「エコ運転」というモードがあります。「エコ運転」にすると、加湿量は最大480ml/hまで落ちますが、消費電力は19Wまで一気に急減少します。

ちなみに、この「エコ運転」の場合、電気代は同じ条件で最大100円ちょっとしかかかりません(約101円)。基本的に消費電力だけで見ると「スチーム式」は全く勝負にならないのです。

ホームページを見ると、心なしかメーカーの力の入れ具合も「ハイブリッド式」加湿器の方に傾きつつあるような感じもします。

そんな色々と少し哀愁漂う、スチーム式加湿器「SHE60JD」を救うためには、「やっぱり加湿はスチームでしょう!」という強い気持ちが必要となりそうです。

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