米屋でもあるアイリスオーヤマの”炊き分けられる”炊飯器「KRC-IC50」

「美味しいご飯を炊き分ける」という触れ込みの炊飯器です。



アイリスオーヤマ IHジャー炊飯器(5.5合炊き)IRIS OHYAMA 銘柄量り炊きIH炊飯器 KRC-IC50-B

元々はプラスチック製品などを製造していたはずのアイリスオーヤマが家電事業に参入してからすでに10年弱もの年月が経ちました。

全科目で百点満点を目指すような大手家電メーカーの優等生型製品に対して、ポイントを絞った一発芸で勝負する感じのアイリスオーヤマの製品ですが、もはや無視できない存在感を持っていると言えるでしょう。

この「KRC-IC50」には”米屋の旨み”というキャッチコピーが付けられています。

いくらなんでもアイリスオーヤマは米屋じゃないでしょ。

と思ったとしたら、まだまだアイリスオーヤマ初心者と言わざるを得ません。

アイリスオーヤマのホームページの商品情報を見ると、「LED照明」から始まり、ずらずらと続いたあと、「園芸用品」と「ハードオフィス・資材」の間にしっかりと「お米」と入っているのです。

「低温精米」という、その名の通りお米を低温に保った状態で精米から包装まで行うことで、お米の美味しさを保つ仕組みを工場レベルで導入しているのだそうです。、、、へー、知りませんでした。

そんな、米屋でもあるアイリスオーヤマが作った炊飯器だから、美味しいお米が炊けるのです!

“米屋の旨み”というキャッチコピーには、そういう意図が含まれているというわけですが、まあそれを鵜呑みにする人は、ほとんどいないでしょう。

なにしろ炊飯器といえば、土鍋だったり、鉄器だったり、徹底的にテストされた素材でもって内釜を作り、お米を入れたあとも、グルグルかき混ぜたり、踊らせてみたり、これでもかと火力を加えて、究極のご飯を作り出すという、様々あるガラパゴスジャパン家電の中でも、屈指のガラパゴス度の高さを誇ると思われる家電製品です。

いくら米屋もやるようになったからと言って、高性能炊飯器を作れるかどうかは全く別な話です。

もちろん、メーカーもそんなことは良く分かっているでしょう。

メーカーによると「ご飯の美味しさを決めるのは、炊飯時の水量と火力」だそうです。

食材となるお米そのものの品質については”当たり前”ということで省いているとして、まあ、だいたい合っているような気がします。

ここでアイリスオーヤマが大胆なのは、他のメーカーの多くというか、ほとんど全てが勝負をしている「火力」の方ではなく、「水量」の方に重点を置いているということでしょう。

なんと、この「KRC-IC50」には、お米の銘柄別に適した水量を測るセンサーが搭載されているのだそうです。

え?

水なんて、目盛り通りに入れれば良いんじゃないの?

と思ったとしたら、まだまだ水へのこだわりが足りないと言わざるを得ません。

なにしろ、この「KRC-IC50」はわずか5cc刻みで水量を表示するのです。

5cc=5g=1円玉5枚分の重さです。小さじ1杯分と言った方が早いかもしれません。

お米を炊くときに、そこまでこだわりを持ってお水を測っている人がどれくらいいるのか、正確な統計データはありませんが、皮膚感覚的には、ほぼゼロと断言してしまいたいところです。

つまり、この「KRC-IC50」は厳密に水加減を測ることで、これまで誰も経験したことのない適切な水分量となっているご飯を炊くことが出来るというわけです。

こんなに細かく測定されて炊かれたご飯がおいしくないわけがない!

、、、と不思議にそんな気があまりしてきません。

5ccの水というのは、数合というお米を炊く場合、かなり繊細な水量といって良いでしょう。繊細すぎて、誤差の内に入ってしまうのではないかと思ってしまうほどです。

そもそも、どのお米にどのくらいの水量が適切なのか、炊き上がったご飯の好みには人によって幅があるだけに、5cc刻みで分析結果を出すこと自体、とてつもなく大変な作業のような気がします。

まあ、5ccの水量の違いが炊き上がりにどれほどの違いを生むのかはともかく、この細かな違いに挑戦してきたというメーカーの意気込みというか、思いつきは評価に値するかもしれません。

そしてもちろん、この「KRC-IC50」はご飯の美味しさを決定づけるもう1つの要素である「火力」についても無視しているわけではありません。

水量測定の際にも選択する銘柄ごとに、火力と加熱時間を調整して「極厚銅釜」で一粒一粒をふっくらと炊き上げてくれるそうです。

ただ、何か特別だったり、画期的だったりする加熱方法などは別にありません。

、、、。

まあ、「火力」について無視しているわけではありませんが、それほど力が入っていない感じがしてしまうことは否めないかもしれません。

ただ、「水量」にも「火力」にも全く関係ありませんが、この「KRC-IC50」は、お茶碗によそったご飯のカロリーを教えてくれます。

水量の測定に使っている(たぶん)重量センサーで、内釜に残っているご飯の量を測定することで、よそわれたご飯の量→カロリーを自動で計算してくれるのです。

もちろん測れるのは、内釜に入っているご飯についてだけです。

なので、ご飯のカロリーはだいたい分かるから、おかずのカロリーを測ってよ!

という無茶な要望などには、100%こたえられないでしょう。

まあ、それでも無いよりは良い機能と言うことは出来そうです。

この「KRC-IC50」に、他には取り立てて特殊な機能はありません。

銘柄を指定して水量と火力を調整できるという割には、指定できる銘柄が6種類しかないというところは、ちょっとした弱点かもしれません。一応、全国40銘柄を炊き分けることが可能とされていますが、実際は40銘柄を6種類に分類しているだけなのです。

宮城県を本拠地にしているアイリスオーヤマの精米事業が東北地方の農業との関係を密にしていることに関連しているのか、この「KRC-IC50」で選択できるお米で西日本系の銘柄は「ヒノヒカリ」1種しかないということも、絶対に銘柄指定したい西日本の人にとっては注意点となる可能性もあります。

そしてやはり、「火力」のこだわりの少なさが、他のメーカーのトップモデルと比べると見劣りしてしまうわけですが、この「KRC-IC50」の本体価格が2万円台だということを考えると、10万円近くするモデルと同列に扱うのはもともと無理があるでしょう。

プレミアムな炊飯器を使いたい!という場合は、すぐに圏外となると思われますが、どうせなら何か一芸があるモデルが良いかも。

という場合は、候補に入ってくる可能性が十分ありそうな製品と言えるでしょう。

■KRC-IC50のスペック

炊飯容量1.0L(5.5合)
サイズ幅265×奥行356×高さ約231mm
重さ約4.9kg
消費電力1130W
消費電力量(炊飯時)166.7Wh
消費電力量(保温時)15.9Wh
内釜極厚銅鍋
炊飯時間(標準)47〜63分

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