アイリスオーヤマ「IC-FAC2」
アイリスオーヤマ 超吸引 布団クリーナー ホワイト IC-FAC2
最近グイグイと家電市場に進出をして来ているアイリスオーヤマの布団クリーナーです。
ただの布団クリーナーではありません。「超吸引ふとんクリーナー」という触れ込みです。
「超吸引」というくらいなので、もちろん吸引力にはかなりの自信があるのでしょう。実際、従来品と比べると吸引力はなんと約3倍なのだそうです。
3倍!スゴい!
しかしよく見ると、この「3倍」というのは「充電式従来品」と比べた時の数字だそうです。
、、、。
この「IC-FAC2」は普通にコードが付いている掃除機です。電気代と引き換えに無限のエネルギーを得るコード付きの掃除機と、バッテリー容量分しかエネルギーの無い充電式コードレスの掃除機とをパワー面で比較してしまうのは、さすがに無理というか、ちょっと反則気味な感じがするのですが、ともかく「強力バキュームモーター」なるものを搭載していて、ハウスダスト除去率は98%以上というので、ゴミがよく取れることは間違いないのでしょう。もちろん「充電式従来品」と比べた場合の話ではあるのですが。
謎のサイクロン機構
そんな一応強力っぽい吸引力を誇るこの「IC-FAC2」のヘッドには「サイクロンストリームヘッド」という、なるほどそれっぽくて強そうな名前が付いています。
メーカーによる説明を見ると、この「サイクロンストリームヘッド」は、ヘッド内に縦方向のサイクロン気流を発生させ、ハウスダストを強力に巻き上げて吸い取るのだそうです。しかも、一般的なブラシヘッドクリーナーより布団の生地にやさしく吸引出来るというのです。
強くて優しい。
なかなか男前な感じでグッドです。
ただ、男前なはずのこの「サイクロンストリームヘッド」の説明から漂ってくる何とも言えない胡散臭さは何なのでしょうか?
特に目を引くのは「ヘッド内にサイクロン気流を発生させる」というくだりです。
ヘッドの内部でサイクロン。
そんなことは可能なのでしょうか?
世の中にサイクロンを名乗る掃除機は数多いですが、ヘッド内でサイクロン気流を発生させると豪語する掃除機はあまり見かけません。
もともと、紙パック式に対抗する製品として出てきたのが、サイクロン式の掃除機でした。
ゴミが溜まるにつれて空気の通りが悪くなり、どうしても吸引力が落ちてしまうのが紙パック式です。これに対して、吸い込んだ空気をグルグルと回すことで遠心力を発生させ、ゴミと空気とを分離し、ゴミだけをダストボックスに入れ、空気は排出してしまうのがサイクロン式です。ゴミと空気が別になっているので、空気の通りが悪くならない=吸引力が落ちない!
というのが、サイクロン式掃除機のメリットのはずです。
しかし、この「サイクロンストリームヘッド」は、そもそもゴミと空気を分離しません。というか、ヘッドの中には分離したゴミを分けておくスペースもありません。
ムムム、、、。
だいたい、ヘッドの中でゴミを含んだ気流をわざわざ縦回転させる意味もあまり良くわかりません。そんなヒマがあったら、真っ直ぐさっさと本体の中に吸い込んでしまった方が良さそうです。
しかも、この「サイクロンストリームヘッド」の先にある本体の内部では、ヘッドの中でタテ回転していた気流がいきなり横回転に変化して「2つのサイクロン気流で強力に吸引」!ということになっているのです。
タテとヨコの「2つのサイクロン気流を組み合わせ」ているのだそうですが、どうしてこれが「優れた吸引力」につながるのか、という根拠についてメーカーは沈黙を守っています。
「サイクロンストリームヘッド」、果たして大丈夫なのでしょうか?
ただ、まあ冷静に考えれば、「サイクロン」の言葉の定義は、いわゆる「サイクロン式」の掃除機と同じでなければダメ、という決まりは別にありません。
この「サイクロンストリームヘッド」が、触れ込み通り「ハウスダストを強力に巻き上げ」、「布団の生地にやさしく吸引」してくれさえすれば、たとえそこに謎の技術が使われていたとしても、使う側としては一向に構わないのです。
構わないはずなのですが、やっぱりちょっと気になってしまうのは、パッと見、この「IC-FAC2」からはそんな画期的な技術が組み込まれている雰囲気が全く漂って来ないということに原因があるのかもしれません。
機能は山盛り。本体は超軽量
謎のサイクロンを気にしないことにすれば、この「IC-FAC2」は、なかなか機能満載な製品となっています。
毎分6,000回にもなるという、いかにも布団クリーナーらしくトントン叩きしてくれる機能もありますし、衛生的に良いのか悪いのか議論が分かれる可能性はありますが、排気を温風として布団に吹き付けて布団を乾燥させたりしてくれたりもします。
そして何よりも優れているのが、この「IC-FAC2」は約20ミクロンまで感知する「ダニちりセンサー」を搭載しているということでしょう。感知したゴミの量でセンサーのランプの色が変わるので、ゴミの取れる量に関係なく、ゴミが取れた感は増大しそうです。
そしてさらにもう一つ、この「IC-FAC2」の地味ながら重要な特徴が「軽い」ということです。
その重さはなんと、わずか約1.6kgです。
ライバル製品の重さを見てみると、布団クリーナーのパイオニア、レイコップLITE「RE-100」が1.95kgとギリギリ2kgを切っているものの、パナソニック「MC-DF500G」は2kgちょうど、日立「PV-FC100」は、2.4kgとなっています。この「IC-FAC2」がなかなかの軽量モデルだということが分かります。
どんなタイプであれ、掃除機にとって軽さは美徳です。
軽い=何かが足りない
という可能性も否定は出来ませんが、軽ければ操作がしやすいということは間違いありません。
まとめ
なかなか充実している機能面と本体の軽さを考えれば、この「IC-FAC2」は布団クリーナーを選ぼうとする際に、有力な候補となってもおかしくはなさそうなポテンシャルは秘めていそうです。
ただ、掃除機にとって根幹とも言うべきゴミを吸い込む構造が謎のサイクロンというのは、やはり一抹の不安をぬぐえません。
しかし!
2万円を超える布団クリーナーが多い中、この「IC-FAC2」の本体価格が1万円を切ってくるということを知ってしまうとそんな不安も、未知への挑戦!という前向きな姿勢で置き換えることが出来るかもしれません。
もちろん、価格相応だった!というリスクというか、当然の結果となる可能性も受け入れる心の広さは必要となるでしょう。
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