ペットがいる家庭のために設計された、とはあまり思えないロボット掃除機。ILIFE「V3s Pro」

いわゆるルンバっぽい外観のロボット掃除機です。



ILIFE V3s Pro ロボット掃除機

販売元のILIFE(アイライフ)は中国に拠点を置く企業です。日本法人は2017年設立と、まだ出来たばかりですが、海外では2010年から研究開発を行っているようです。

この「V3s Pro」はアイライフのロボット掃除機ラインアップの中では最も低価格=低ランクとなるモデルです。ラインアップの最上位モデルである「A6」も3万円を切る本体価格ですが、この「V3s Pro」の価格はさらに低く、2万円を切る価格となっています。

この「V3s Pro」よりも安いロボット掃除機は他にもありますが、低価格のロボット掃除機の中には、無作為に動き回った上で電池が切れたところで掃除終了というモデルもある中、この「V3s Pro」はスイッチ1つで掃除を開始して、終わると自動で充電台に戻ることが出来ます。

衝突や落下を防止するセンサーも搭載しており、さらに単なる自動クリーニングだけでなく、一部分を集中的に掃除する「スポット清掃」や壁際を掃除する「エッジ清掃」、さらに予約した時間になると掃除を始める「予約清掃」など複数の運転モードも備えています。

ロボット掃除機としてそれなりの機能を備えつつ、低価格というところがこの「V3s Pro」の最大の特徴と言えるでしょう。

ただ。

注意点もあります。

この「V3s Pro」の吸い込み口には回転ブラシがありません。本体の底面には吸引口が開いていて、そこからゴミを吸い込むだけです。

メーカーによると「ペットの毛や髪の毛の絡み、もつれを防止できるブラシレス吸引口」とされていて、確かにブラシ自体が無ければ、そこに毛が絡んでしまうということもあり得ない訳ですが、これはまさに物は言いようという感じでしょう。

このため、この「V3s Pro」はフローリングの清掃には向きますが、カーペットなどの清掃には不向きな仕様となっています。全く掃除が出来ないわけではないでしょうが、カーペットの毛に絡んだようなゴミを取ることは恐らく難しいと思われます。

この「V3s Pro」は、「ペットがいる家庭のために設計された」とのことですが、あくまでフローリング限定という条件を付けずにこれを言ってしまうのは、かなりの勇み足という感じがしないでもありません。そしてそもそも「ペットがいる家庭のために設計された」機能が何なのか、実際のところよく分からないということも問題と言えるかもしれません。

また、この「V3s Pro」はランダムな動きをしながら、部屋を掃除していくタイプですが、ロボットの知能については特に記載されていません。

これはアイライフの他のロボット掃除機にも共通していることですが、掃除能力にちょっと不安を感じさせる要因の1つと言えるでしょう。

ルンバのようにある程度実績のあるアルゴリズムが搭載されている可能性もありますが、完全に出たとこ勝負のランダムな動きだったりすると、運が良い場合に限り、部屋の掃除が終わるという事態にもなりかねません。ゴミセンサーも無いので、ゴミの多い場所を念入りに掃除してくれるということもないでしょう。

乗り越え可能な段差の高さも約1.2cmとされていて、メカとしての運動能力もあまり高くはありません。

バッテリーはリチウムイオン電池となっていて、連続使用時間が約2時間と比較的長時間なのは良いのですが、バッテリーの交換時期や価格、ブラシなどの消耗品についてもオフィシャルサイトでは案内がありません。

もともと企業として北米と中国が活動の中心という感じがするので、島国ニッポンは後回しということなのかもしれませんが、島国側からするとあまり良い印象を受けないのは当然のことでしょう。

2万円を切る価格は、ロボット掃除機としては確かにお買い得となるそ可能性はありますが、それはそのロボット掃除機が十分に使用に耐えるという前提があってこそのことです。

国内での実績の少ない新興勢力だけに、この「V3s Pro」にトライしてみよう!と何かの拍子に思い立った場合でも、なるべくなら事前に実機の動きを確認しておきたいところでしょう。

■V3s Proのスペック

サイズ直径306×高さ76mm
重さ2.05kg
集じん容積0.3L
稼働時間約2時間
稼働面積-
充電時間約4時間40分
バッテリー寿命-
乗り越え可能な高さ1.2cm

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