ECOVACSのロボット掃除機ラインアップ(2016年11月)

ECOVACSは中国のメーカーで、日本ではそれほどメジャーな存在ではありませんが、中国市場では家庭用ロボットのシェア65%を獲得したトップブランドなのだそうです。

正直言って、床を掃除するルンバタイプの「DEEBOT」シリーズには特に目新しいところはあまり無い印象ですが、窓専用のロボット掃除機「WINBOT」シリーズはライバル製品が少ないということもあり、大きな特徴となっています。

しかし、全体的にホームページなどでの製品情報が貧弱な上に分かりにくく、サポートなどの面で不安を感じてしまいます。これが中国のトップブランドなのだろうか、という気もしますが、大国中国的には島国的日本はついつい軽視してしまうということなのかもしれません。

床掃除ロボット「DEEBOT」

人工知能のレベル、運動性能とも、業界の盟主「ルンバ」と比べると普通に見劣りしてしまうような印象がありますが、最新モデル「R95」はマッピング機能があったり、スマホとの連動が出来たりするようになって、大きく様変わりしているので、今後に注目ということなのかもしれません。

DEEBOT R95


“外出先でもお掃除の操作ができるスマホ連動モデル”
2016年11月発売モデル。価格目安99,360円~。
最大の特徴はレーザーを利用したマッピング機能により部屋を効率よく掃除できるところです。専用アプリを使えばスマホで本体を操作することも可能です。部屋をマッピングできているために、充電が必要な場合には一度充電ドックに戻り、充電後に同じ場所から掃除を再開することができます(充電4時間/最大稼働連続90分)。

しかし、掃除方法には取り立てて目新しいところは無く、両サイドのクルクル回るブラシでゴミをかき出し、本体下部のブラシで吸い込む、というよくある方法が採用されています。水拭きと乾拭きを同時に行う専用モップを装着して拭き掃除をすることも可能です。乗り越えられる段差の高さは約1.7センチと微妙に2センチに届きません。

DEEBOT M85


“水拭き機能搭載、床掃除ロボット”
2016年3月発売モデル。価格目安59,800円~。
本体後部にウェット&ドライに対応したモップを搭載しています。

また、吸引口をブラシ有りのものと、ブラシ無しのものとに変更することが可能という変わった特徴を持ちます。乗り越えられる段差の高さは2センチで運転モードは4つありますが、ランダム気味に部屋を掃除していく感じで、すごく賢そうな印象はありません。

バッテリーについては、4-5時間の充電で最大90分稼働し、交換目安は約3年となかなかの性能を持っています。

DEEBOT M82


“強力吸引と静音モードの切り替え機能搭載”
2016年5月発売モデル。価格目安24,479円~。
静音とハイパワーを切り替えられる機能が付いています。人が家にいる時は静音、外出している時に掃除をしてもらう時はハイパワー(MAXモード)と使い分けることが出来そうです。

しかし、MAXモードにすると静音時と具体的にどれくらいパワーが違うのか、そもそもどれくらい騒音が変わるのか、全く情報がありません。使ってみれば分かるでしょ、ということなのかもしれませんが、これはちょっと分かりにくいです。

ロボット掃除機として際立った特徴はなく、ランダムっぽい動きで掃除をしてくれるようですが、取り立てて賢そうな感じはありません。乗り越えられる段差の高さも約1.5センチと並以下の運動能力です。充電4-5時間で最大150分稼働できるという大容量バッテリーがウリと言えばウリですが、MAXモードにした場合、この自慢のバッテリーがどのくらいもつのかは分かりません。

DEEBOT 83


“お掃除シート対応モデル”
2016年3月発売モデル。価格目安38,889円~。
両サイドでクルクル回転するブラシでゴミをかき込み、本体底部中央の吸引口で吸い込むという、とても一般的な感じのする掃除方法を搭載しています。本体後部にモップを取り付けて拭き掃除を行うことも出来ます。専用のマイクロファイバーモップがありますが、市販の床用シートを装着しても別に構わないという懐の広さを持っています。

また、吸引口をブラシ付きのものと、ブラシ無しで単に吸い込むだけのものとに変更することが出来ます。掃除する場所がフローリングだけの場合は、ブラシの無い吸い込むだけのタイプでも良いのかもしれませんが、これから掃除する場所ごとに吸引口を付け替えたりするのはとても面倒くさそうです。

掃除能力にはスゴイ!というところは特に無さそうですが、やらないよりはやった方がキレイになるのは確かだと思われます。

DEEBOT 80


“お掃除シート対応モデル”
「スマートナビゲーションで塵ひとつ残さない」という素晴らしいキャッチコピーが付いている製品ですが、その根拠はあまり明確ではありません。

クルクル回る2つのブラシでゴミをかき込み、本体下の吸引口でゴミを吸い込み、本体後部のモップで拭き掃除をするという方法は、この「DEEBOT」シリーズを含め色々な製品で採用されているので、特別優れた感じはしませんが、まあ無難な仕組みと考えることは出来そうです。しかし、肝心の「スマートナビゲーション」が良く分かりません。「お部屋の床を何度も往復することで、お掃除のやり残しを無くします」という説明が付けられていますが、この「DEEBOT80」には部屋のマッピング機能はありません。まさかやみくもにただ走り回るということは無いのでしょうが、どこがどうスマートなナビゲーションなのかは謎な感じです。これで「塵ひとつ残さない」と言われても途方に暮れてしまうところもあるのですが、ひとつも塵を吸い込まないということはまず無さそうなので、無いよりはマシと前向きにとらえることは不可能ではありません。

DEEBOT 79


“ゴミ自動回収&ハンディ掃除機搭載”
2014年7月発売モデル。価格目安35,300円~。
充電台にダストボックスが搭載されていて、「DEEBOT 79」が充電台に戻ると「DEEBOT 79」内部のゴミを回収してくれるようになっています。充電台にダストボックスを搭載しているロボット掃除機は東芝のトルネオロボなど他に無いわけではありませんが、この「DEEBOT 79」が変わっているのは、充電台のゴミ吸い取り機構を取り外し、小型の掃除機として使用出来るようになっていることです。

まあ、これはこれで便利なのかもしれませんが、小型の掃除機としての性能などは明らかになっていません。電源につなげたりする必要があるようなのですが、このあたりの仕組みも詳細不明です。そもそも主役であるはずの「DEEBOT 79」についても、どのくらいの掃除能力があるのか、今ひとつ分かりにくいのですが、乗り越えられる段差の高さは1.2cmと貧弱であることは確かなようです。

充電台(の一部)が小型の掃除機になる!というコンセプトに深く共感した人向けの製品といえそうです。

DEEBOT MINI


“狭い隙間もお掃除するコンパクトサイズ”
2016年9月発売モデル。価格目安21,373円~
「MINI」という名前が示すとおり、小型だということがウリになっているモデルです。小型であれば狭い場所でもそこにもぐり込んで掃除できるので狭小住宅に暮らす庶民系日本人には向いているモデルでしょ、ということですたぶん。注目のそのサイズはというと、直径270mmで確かにコンパクトです。しかし、厚さは82mmで特別薄いということもなかったりします。

掃除方法は、本体両サイドのクルクル回るブラシでゴミをかき込み、本体中央下にある吸引口でゴゴゴーと吸込み、吸い取り切れないゴミは本体後部の巨大なモップでゴッソリ拭き取ってしまおうという、主にモップに依存した仕組みとなっています。ロボットとしての知能や運動性能はそれほど高くなく、バッテリーが特別長寿命ということもありません。ロボット掃除機として、それなりに働いてくれるのだとは思いますが、どうしてもこのモデルでなければならない理由もそれほど無さそうです。

DEEBOT SLIM


“薄さ57mmで家具と床の隙間もお掃除”
2016年3月発売モデル。価格目安29,700円~。マーベルモデル価格目安24,840円~。
その名が示すとおりのスリムボディのロボット掃除機です。スリムというのは、この場合本体が「薄い」という意味らしく、この「DEEBOTO SLIM」は厚さ57mmと今までのロボット掃除機の常識を覆す「超薄型ボディ」なのだそうです。

しかし、ロボット掃除機としての能力は正直言ってそれほどでも無さそうです。本体底部の吸い込み口には回転ブラシがなく、本体両サイドでクルクル回るブラシでゴミをかき出し、底部の小さな吸込み口で頑張って吸込み、吸い込めなくても本体後部の巨大なモップでガサッと拭き取るという地引網方式が採用されています。乗り越えられる段差の高さも1cmと大変控えめなものとなっていますが、モップ勝負というこの「SLIM」の特徴を考えれば、あまり段差を乗り越えさせることは考えない方が良いのかもしれません。

DEEBOT 35


“超薄型で家具と床の隙間もお掃除”
2014年10月発売モデル。価格目安13,508円~。
”シンプル・スリム・ロープライス”という分かりやすいコンセプトのロボット掃除機です。これくらいはっきりしてもらえると、こちらも余計な期待をしなくて済みます。

本体両サイドのクルクル回るブラシでゴミをかき込み、本体下の吸引口で吸い込むという、なるほどシンプルな掃除方法です。これでランダムっぽい動きで部屋の中を走り回ります。本体の高さは5.7cmと薄いので、狭い隙間があると活躍を見せてくれるかもしれません。ただ、乗り越えられる段差の高さはわずか7mmとかなり頼り無いので、狭い隙間の中で立ち往生という悲劇に対処しなければならない危険性があることも覚悟しておかなければならないでしょう。

DEEBOT 45


“狭い隙間もお掃除するコンパクトサイズ”
2015年8月発売モデル。価格目安19,720円~(現在は生産完了)。
本体の両サイドでクルクル回るブラシでゴミをかき込み、本体下の吸引口でゴミを吸い込み、本体後部のモップで拭き掃除までしてくれる、3段構えの分かりやすい仕組みをしたロボット掃除機です。

惜しいのはこのタイプのロボット掃除機は同じ「DEEBOT」シリーズはもちろん、他のメーカーからも複数発売されていて、この「DEEBOT 45」はそれらのライバルモデルと比べて、ここが優れていると自信をもって言える点が特に見当たらないということでしょう。

窓掃除ロボット「WINBOT」

窓専用のロボット掃除機なんて贅沢!という印象はぬぐえませんが、窓掃除が大変なことは確かです。これまでお金と人の力で窓掃除を済ませていた巨大なガラス張りの大豪邸においても、窓用ロボット掃除機が欠かせないという時代が来るのかもしれません。

WINBOT 950


“凹凸のある窓でも高速清掃”
2016年11月発売モデル。価格目安69,980円~。
現状の最新型となるモデルです。本体の外周にあるクリーニングパッドは動かさず、内側にある駆動部を回転させることで方向転換することが出来る「スマートドライブシステム」が採用されています。これにより最も効率的なルートで掃除を行うことが出来るそうですが、どれくらいの時間でどれくらいの面積のガラスを清掃することが出来るのかは良く分かりません。バッテリーでは無く、電源コードをつないで動く製品のせいか、効率的といってもすごく急ぐタイプではないのかもしれません。

クリーニングパッドが付いた機械が窓を往復しながら動いていくだけなので、掃除方法としては単純ですが、なにしろ相手はツルツルのガラスです。落下防止機構はあるとは言え、ガラスに吸い付いている姿だけでも注目を集めそうです。必要かどうかはまた別かもしれませんが。

WINBOT 930


“スマートドライブで高速清掃”
2016年1月発売モデル。価格目安42,800円~。
効率的な動きが可能な「スマートドライブ」方式の窓掃除ロボットです。方向転換の際に本体全体が回転せず、中央の駆動部部だけを回転させることで、より効率的な窓掃除が出来るようになっています。

ただ、窓ガラスへの吸着方法は真空ポンプ方式で、ここがファン方式となっている新型「WINBOT 950」との違いとなっています。真空ポンプ方式は吸着力の問題からか、傾斜のあるガラス、鏡面や曇りガラス、色付きのガラスを掃除することが出来ないようです。幸い普通の家庭にはどれもそれほど多く使用されているガラスのタイプではないのが救いかもしれませんが、窓ガラス専用のロボット掃除機が必要不可欠かもしれない全面ガラス張りの大豪邸などにとっては、重要な項目となって来るのは間違いないでしょうたぶん。

WINBOT 850


“凹凸のある窓も静かにお掃除”
2016年3月発売モデル。価格目安51,661円~。
効率よく移動が出来る「スマートドライブシステム」ではありませんが、ガラスに強力に吸着するファン方式なので、曇りガラス、傾斜ガラスなど様々なガラスを掃除することが出来ます。
WINBOT 830


“凹凸のある窓にも対応の小型モデル”
2015年2月発売モデル。価格目安34,780円~。
この「WINBOT 830」はシリーズ中で最も小型なモデルとなっていて、小型の窓(50x50㎝)に適合するように設計されているのだそうです。本体のサイズは220x220x厚さ105mmで上位モデルが約250~300mm角のサイズであることと比べると、確かに小型になっています。

ただ、小型になったことで上位モデルに搭載されている汚れを取り除く「スクイージー」が無く、クリーニングパッドのみで掃除をするようです。このことがどれくらい掃除能力に影響するのかは明らかにされてはいませんが、良くなるということは当然無いでしょう。

WINBOT 710


“シンプルで小型設計”
2014年10月発売モデル。価格目安27,799円~。
旧世代に属するモデルです。というか、生産は既に中止されているようです。

外周全体にクリーニングパッドを装着している新しいモデルとは異なり、本体の前後にしかクリーニングパッドがありません。前のパッドで汚れを湿らせ、本体の中央寄りにあるスクイージーで拭き取り、後ろのパッドで乾拭きをする、というステップは分かりやすかったような気もするのですが、採用されなくなったということは、、、まあ、そういうことなのでしょう。

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