経歴はパッとしないけど、ハイパワーが魅力的なシンプル除湿機「AR-30HC」

ツルっとしたシンプルな外観をしています。


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正面と側面にはほとんど凹凸がなく、幾分のっぺりとした印象を受けます。

操作のためのボタンは本体上部に集中していますが、そのボタンにしても「電源」、「湿度設定」、「切りタイマー」の3つあるだけで、他は表示サインしかないので、本体上部についてもかなりシンプルなものとなっています。

シンプル＝操作がしやすいということなので、特に悪いことではありませんが、搭載されている機能が少ないということでもあります。

実際、この「AR-30HC」には特別な機能はありません。

電源が入れば、周囲の空気を吸い込み、湿気を取って本体上部から吹き出すだけです。見れば分かる操作ボタンの通り、目標湿度や切りタイマーを設定することが出来るほか、吹き出し口にあるルーバーの角度を2段階で調節することは出来ますが、大手メーカー製のトップクラスのモデルのように、吹き出し口のルーバーが自動でスイングしたり、様々な効果のある何とかイオンを放出したりすることはありません。

しかし、除湿力そのものはなかなかパワフルで、1日の除湿量は11.4リットルにもなります。

1日あたり2ケタリットルの除湿力というと、大手メーカーの製品でも基本的には上位のモデルしか備えていないパワーといえるでしょう。そして大手メーカーの上位モデルの除湿機となると、本体価格が3万円前後、モデルによってはそれを軽く上回る金額の製品もザラです。

しかし、この「AR-30HC」の本体価格は、20,000円未満に収まっていることがほとんどです。

この「AR-30HC」は楽天市場の「除湿機」ランキングで長らく上位にランクインしている製品ですが、除湿力が高く、本体価格は低い、ということになれば、有力な候補として浮上して来るのも当然でしょう。

ただ、この「AR-30HC」には気になる点が2つあります。

1つ目は、この「AR-30HC」の水タンクの容量が1.8リットルしか無いということです。大手メーカー製品では、同クラスの多くのモデルが3リットル以上の水タンクを備えています。

1日あたり10リットル以上の除湿力がありながら、タンクの容量が1.8リットルしかないとなると、除湿の進み具合によっては頻繁にタンクの水捨てを行わなければならない心配があります。

まあ実際はよほど極端な環境や使い方をしなければ、1.8リットルがすぐに貯まってしまうということもないでしょうし、運転の前にタンクをきっちりと空にしておいたり、時間を決めてタンクの水を捨てるようにしておけば、使用が困難になるということは無いでしょう。もちろん、タンクの水が満水になれば自動で運転を停止してくれる機能は付いているので、知らない間に水があふれているということもありません。またホースを使って連続排水することも出来るので、連続排水前提で除湿機の設置場所も決まっている場合はタンクの容量を気にする必要はないでしょう。

気になる点の2つ目は、この「AR-30HC」の製造メーカーがはっきりしないということです。

一部の製品については、中国のメーカーが製造して、「ベルソス」という会社が輸入元となっているようですが、別ルートの製品もあるらしく、他にも同じ「ベルソス」ブランドの製品で「VS-540」という、この「AR-30HC」と同等というか、おそらく同じと思われる製品も流通しています。このあたりの訳の分からなさは不安要素と言っても良いかもしれません。

別に流通ルートの全てを明らかにする必要はありませんが、メーカーやブランドがはっきりしないと、製品に何か問題が生じた際には販売店に相談するしかありません。そして販売店も結局はメーカー頼みになるに決まっているので、やはりメーカーがはっきりしていない製品には一定のリスクがあると考えた方が良いでしょう。

色々な形だとしても、ともかく製品が流通し続けているということは、製品自体には大きな問題は無い可能性が高い！とグッと前向きに考えることも、もちろん不可能ではありません。もともと除湿機くらいの家電製品を修理してでも使い続けるという人はそれほど多くないでしょうし、初期不良だけ対応してもらえれば十分だと言えないこともありません。

面倒な機能はいらないから、シンプル＆パワフルに除湿だけしてくれれば良いよ！

という場合、割り切って使う存在として、やはりこの「AR-30HC」が有力な候補となることは十分に考えられそうです。


■AR-30HCのスペック