動かざること山の如し。ダイキンの加湿空気清浄機、不動のハイグレードタイプ「MCK70S」

ダイキン「MCK70S」

ホワイト↓


DAIKIN 加湿ストリーマ空気清浄機 MCK70S-W

ビターブラウン↓


DAIKIN 加湿ストリーマ空気清浄機 MCK70S-T

世界トップクラスの空調機器メーカー、ダイキンの加湿空気清浄機のハイグレードタイプです。

この製品には「MCK70S」という型番が存在しますが、メーカーのダイキンは型番をあまり前面に出していません。このモデルについてだけのことではなく、ダイキンはモデルチェンジをしても空気清浄機の上位モデルについては「ハイグレードタイプ」と一般名詞的に呼ぶ方式を頑なに守り続けています。

といっても、別に型番を隠しているわけではありません。製品の詳細情報にはちゃんと型番が明記されています。ただ、他のメーカーであれば、もっと型番が製品名っぽく扱われていて、様々なところで型番が登場して来るのですが、ダイキンの型番はさり気なさ過ぎるくらいの控えめさをキープし続けているのです。

当然のことながら、単に「ハイグレードタイプ」というだけでは、今年のモデルなのか、昨年のモデルなのか、そのまた前のモデルなのか判別のしようがなく、メーカー側としても、もし製品について問い合わせがあったときには結局型番を確認することになるのは目に見えています。

なので、やっぱり他のメーカーのように型番を分かりやすく、色々なところに出しておいた方が良いような気がしてしまいます。

しかし、なぜダイキンはそうしないのか?

きっと、これには何か理由があるに違いありません。

仮説1=不毛なやり取りを回避

ダイキンの空気清浄機は流通する経路によって、型番の最初のアルファベットが変わります。「M」から始まるMCKなどの型番は量販店向け、「A」から始まるACKなどの型番はダイキンの特約店(ぴちょんくんのお店)向け、「T」から始まるTCKなどの型番は通販向けのモデルとされています。最初のアルファベット以降のアルファベットと数字が同じ場合は、基本的には同じモデルとなります。

これは複雑です。

さらに、量販店向けモデルや、特約店向けモデルが普通にWEBで販売されていたりするので一層訳が分からなかったりします。

すでに事態がこれだけ複雑なことになっているというのに、さらにしっかりと型番で区分けしようとすると、さすがに悲劇が起こりかねません。

電話で問い合わせを受けた際などに、もしも「エエム」や「エイム」や「テエム」など紛らわしい発音をされてしまうと、型番を区別することが出来なくて、製品を間違えるという初歩的なミスをしてしまう危険性が激増しかねません。これを防ぐためには、7いちいち「エービーシーのエーですか?」とか「エヌ?エム?マミムメモのムですか?」とか「テーのティーですか?」と相手の発音を確かめる不毛なやり取りを繰り広げなければならない可能性が生じてきます。

なので「ハイグレード」に統一してしまおうというわけです。

、、、。

しかし、製品を特定するためには、どうしてもいずれは型番に触れざるをえないでしょう。いずれ型番に触れなければならないなら、初めから触れておいたところで大きな問題はなさそうです。

そして、そもそも間違いやすい型番が心配なら、そんな型番を付けなければ良いだけのことです。

、、、。

残念ながら、この仮説はなさそうです。

仮説2=ズバリ、めんどくさい

この「MCK70S」は「ハイグレードタイプ」と自分で名乗るだけあって、最大風量7.0㎥、最大加湿量630mlとなかなかのパワーを持っています。

センサー類もホコリ、ニオイ、温度、湿度と必要なものはしっかり揃っており、「ストリーマ放電」や「アクティブプラズマイオン」など効果のほどはともかく、アレル物質の働きを抑制するイオン兵器も搭載しています。

加湿空気清浄機として最高に優れているわけではありませんが、必要な性能&機能が過不足なく揃っていると言えるでしょう。

ただ。

この「MCK70S」のそういった性能や機能は、2014年モデル「MCK70R」と変わりません。

それどころか、風量や加湿量などの基本スペックはさらに1年前の2013年モデル「MCK70P」とも変わりません。

そして、なんと実はさらに1年前の2012年モデル「MCK70N」とも変わりません。

、、、。

もちろん、運転モードが追加されていたり、高感度ホコリセンサーが搭載されるようになったり、変わっているところがないわけではないのですが、基本スペックは全く変わっていないのです。

なので、、、

型番なんて気にせず、全部まとめて「ハイグレードタイプ」でいいや!

ということに、、、さすがになるはずもないので、残念なことにこの仮説も違いそうです。

結局、ダイキンが型番を前面に出して来ない理由は今のところ不明のままということになりますが、まあ、型番を前面に出そうが出すまいが、大抵の場合、使う側は型番などいちいち覚えていないので、結局あまり大差ないと言うことをダイキンはよく分かっているということなのかもしれません。

まとめ

この「ハイグレードタイプ」は発売年度型の差が気にならないほど過去のモデルと似通っていることは確かですが、実は空気清浄機の心臓部というべき集塵フィルターがこのモデルから変更となっています。

旧モデルは「高性能フィルター」という、そのもの過ぎて逆に高性能感を感じさせないものとなっていましたが、この「MCK70S」では「静電HEPAフィルター」とHEPAレベルを名乗っています。集塵フィルターにHEPAフィルターを採用している製品が既に相当数あるだけに、今まで違ったんだ!という悪い意味での新鮮さがありますが、もちろん性能がアップしていると思われるので、悪いことではありません。

ただ、フィルターの値段を見ると、旧モデルの5,500円→6,000円へと500円しか上がっていません。値段が全てと言ってしまうと身も蓋もありませんが、基本的にはフィルターは高性能であればあるほど高価格になります。

そうすると、旧モデルと比べたとき、この「MCK70S」の新型「静電HEPAフィルター」の高性能度合いは500円。このフィルターは旧モデル同様、10年交換不要をうたっているので、1年あたりでみると高性能度合いは50円。1ヶ月あたりでみると約4.2円。1日あたりでみると0.14円です。

要するに、やっぱりそんなに性能は変わらなさそうな雰囲気があるわけですが、それを裏付けるようにメーカーはこのフィルターのランクアップについてあまりアピールしていません。前向きに考えれば、HEPAレベルとそれほど大差ない性能を元から備えていたという可能性も考えられますが、今さらHEPAフィルター搭載を大々的に自慢出来ないよ、という理性が働いているだけなのかもしれません。

いずれにしても、これまで通り旧モデルとあまり変わらない新モデルということになるのですが、相変わらずそこそこ優れた能力を期待出来る製品と言うことも出来ます。

一般的な加湿空気清浄機では、加湿+空気清浄をすると、空気清浄の単独運転よりも風量が落ちてしまいますが、この「MCK70S」は「ダブルパスミキシング」という加湿していない空気と混ぜて放出する方式を採用することで、加湿時の風量が空気清浄の単独運転と変わらないという特徴を備えています。

どんな時も空気清浄と同時に加湿も行いたいという加湿マニアな人にとっては魅力的な特徴ですが、もちろんこの特徴も2012年モデル以降のダイキンの「ハイグレードタイプ」は全て備えています。

この「ハイグレードタイプ」の伝統がいつまで守られるのか興味深いところですが、「コンパクトタイプ」として同じように伝統を守っていたダイキンの加湿空気清浄機の下位モデルシリーズが2015年モデルからは「スリムタワータイプ」としてデザインが一新されてしまっただけに、この「ハイグレードタイプ」の牙城が揺らぐのも、ひょっとするとそう遠いことではないのかもしれません。

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