あり余るハイテク感。シャープの加湿空気清浄機「KI-EX100」

高濃度プラズマクラスター25000搭載 KI-EX100

シャープの加湿空気清浄機の最上位モデルです。

「集じんスピード、風量ともにNo.1」とうたわれています。

もちろん「加湿」機能付きの空気清浄機の中では、という限定付きなのですが、それでも国内大手メーカー製品では最大のパワーを誇るということになります。

自慢の集じんスピードは8畳を約6分、風量は最大10㎥に達します。

これはなかなかの数字です。

一部のスーパー空気清浄機を除けば、空気清浄機専用のモデルと比べても全くヒケを取りません。

ちなみに最大のライバルモデル(たぶん)であるパナソニックの最上位モデル「F-VXK90」は集じんスピードが8畳を約9分、風量は最大8.7㎥/分なので、数値の上では完全に圧倒していると言えるでしょう。

ともかくプラズマクラスターで押しまくる

この「KI-EX100」は国内最強クラスのパワーを誇りますが、その最大の特徴はシャープの必殺技「プラズマクラスター」にあるというところは旧モデルとあまり変わっていません。

この「KI-EX100」には、高濃度プラズマクラスター25000ユニットを搭載されていて、ウイルス抑制、消臭、静電気除去、美肌効果などが見込めるのだそうです。

また、プラズマクラスターで部屋の空気をキレイにするだけでなく、空気中に漂う微小な粒子の静電気を除去することで、微小な粒子が壁や天井に付着することを防ぎつつ、吸引することが出来るとなっていて、空気清浄機としての機能のベースにもプラズマクラスターが欠くことの出来ない要素となっています。

さらに、プラズマクラスターを前方向に吹き出すことで、ねらった場所のニオイや菌を消臭、除菌する「プラズマクラスターパワフルショット」というオマケ機能までついています。イオンを本体の前方に吹き出す機能は業界初だそうですが、プラズマクラスターに賭けている雰囲気があるメーカーの姿勢を考えると、そりゃそうでしょ、という感じもします。

これだけプラズマクラスターに全面的に頼っているとなると、プラズマクラスターの効果次第で性能が大きく左右されて来ることになりそうですが、肝心のプラズマクラスターの効果について、疑問視されている点があるというところが非常に気になるところです。

いかにプラズマクラスターに効果があるのかについて、メーカーはホームページその他でかなりの分量を割いて説明しているので、効果があるということはおそらく間違いないのでしょう。

しかし、メーカー自身も「実使用空間での実証結果ではありません」とちゃんと断っているので、実際の生活で目に見えた効果があるのかどうかについては難しいところのようです。

プラズマクラスターについては、無いよりはあった方がマシという程度まで前向きに考えられれば、まさかの時にダメージが少ないかもしれません。

時代を先取りしまくるハイテク機能

もう1つ、この「KI-EX100」の特徴として、圧倒的なハイテク感も見逃すことは出来ません。

ホコリ、ニオイ、温度、湿度、明るさの5つのセンサーを駆使して自動運転を行うというところまでは、まあ通常レベルのハイテク機能ですが、この「KI-EX100」は人口知能「ココロエンジン」を搭載しており、しゃべることが出来ます。

「給水ありがとう」

とか

「お部屋が乾燥しています」

とか

「お部屋が暗くなりました。静かにしますね」

とか

家事をする人を励ましたり、空気の状態や便利な使い方のアドバイスをしてくれるのだそうです。

、、、。

「おしゃべりで暮らしにヒントを与える」のだそうです。

まあ、別に空気清浄機がしゃべってくれても構わないような気はするのです。

しかし、しゃべらなくても全く構わないのです。

メーカーは「ココロ配り」なんてちょっとウマいことを言っていますが、もちろんこの「ココロエンジン」はプログラムに過ぎません。

癒し系ロボットの延長線上という意図なのかもしれませんが、「お手入れランプが点灯しています。加湿フィルターなどの水回りと後ろパネルのホコリをお手入れして下さいね」なんていう具体的な言葉を言われると思うと、空気清浄機が言葉を発したときに注意を向けなければならない感じがしてしまいます。

テレビを見ているとき、会話をしているとき、いきなり空気清浄機が発する言葉を聞き取ろうとするのは、たとえそれがほとんど無意識だったとしても、余計な作業という感じがしてしまうのは気のせいでしょうか。

しかも、隣の部屋で空気清浄機がボソボソ何かしゃべっているのが聞こえて、わざわざ隣の部屋に行ってメッセージを確認したら大した内容じゃなかった、みたいないことが繰り返されたりすると、そのうち普通に聞き流すクセがついてしまいそうです。

しかし、意味のある言葉を話したりする「ココロエンジン」を聞き流すようになってしまったら、あまり意味がありません。

まあ、意味不明な言葉を繰り返し言われるよりは、格段にマシなのは間違いないのですが、現時点では普通に黙って仕事をしてくれるのが無難なのではないでしょうか。

ただ、この「KI-EX100」のハイテク機能は「ココロエンジン」に留まりません。

専用のアダプターを装着することで、「KI-EX100」がクラウドとつながり、天気を教えてくれたり、外出先から操作することが出来たりするのだそうです。

メーカーのシャープはクラウドと接続出来る家電を既に複数揃えており、それらを連携させることで、例えばロボット掃除機が動いている時には、空気清浄機も同時に動かすようにスマホ経由でお勧めしてくれたりするのだそうです。

専用アプリの中で家電がつぶやいたりするこの機能は「ともだち家電」と言うのだそうです。

現在の対応機種は、お掃除ロボット「ココロボ」の他、空気清浄機、エアコン、洗濯機、電子レンジとなっています。

、、、。

これらの家電くん達がいったいどう連携するのか、確かに興味はあります。

連携して無駄無く動いたら、スゴいことが出来るんじゃないかという気もします。

しかし、現時点で「ともだち家電」を使って出来ることを見る限り、まだ時期尚早なのではないでしょうか。

ましてや専用アダプターが17,000円くらいするということを知ってしまうと、時代を先取りしようとするメーカーの姿勢に敬意を払いつつ、ためらいなく切り捨てることが出来そうです。

そして、素っ気ないフィルター部分

独走しているプラズマクラスターとハイテク機能と比べてしまうと、空気清浄機として実際に働く部分であるフィルターについては、あまり力がこもっていない感じがしてしまうのは仕方ないことなのでしょうか。

メインとなるHEPAフィルターは「静電HEPAフィルター」となっていますが、帯電性とか何か特別な機能があるような説明は別にありません。もしかすると普通のHEPAフィルターと変わらないのかもしれません。

HEPAフィルター+脱臭フィルターというフィルター構造、そしてそれらが10年交換不要というところも旧モデルから変更がありません。

まとめ

この「KI-EX100」は空気清浄のパワーだけでなく、加湿量も最大850ml/hとハイパワーです。水タンクも4.2リットルあります。おかげで本体の重さは約13kgと巨大ですが、ストッパー付きの自在キャスターが付いているので、移動は簡単そうです。

空気清浄機のクセにフィルター自体の性能にあまり関心が無さそうなところは幾分気掛かりではありますが、たぶん自分のハイテクぶりをアピールするので一杯一杯なのでしょう。加湿空気清浄機の最上位モデルとして、たとえ大いなる無駄はあったとしても、大きな弱点は無い製品と言えるでしょう。

ちょっと心配なのは、この「KI-EX100」は強力なパワーによって循環してきた気流を本体の裏側で吸い込む構造になっていることです。

ライバル(たぶん)のパナソニックのように本体の全面や側面で吸引した方が理にかなっているような気がするのですが、これはシャープの空気清浄機には共通の構造なので、きっと深い意味があるのでしょう。

ただ、汚れた空気が本体を回り込んで吸い込まれることは間違いないので、メーカー的には壁との間には3cmの隙き間があれば(たぶんギリギリ)OK!ということにされていますが、壁を汚したくない場合は、この「KI-EX100」はなるべく壁から離して設置した方が良さそうです。

ただし、あまり壁から離して置いてしまうと、今度は気流の循環が弱まってしまうという、なかなか悩ましいことになっています。

また、旧モデル同様、必殺のプラズマクラスターユニットは空気清浄機を24時間稼働させている場合、約2年で交換となることは一応注意が必要かもしれません。どうせなら「プラズマ」や「ココロ配り」みたいな目に見えないところよりは、見えるところに力を注いで欲しいという気もしないでもありませんが、どうしてもプラズマで押していきたい事情があるのでしょう。

コメント