ズシリと重たいダイソンキラー。Sharkのコードレス掃除機「EVOFLEX」

掃除機の最強ブランドと言えば「ダイソン」という状態がしばらく続いていますが、イギリス生まれのダイソンに対抗するべく来襲したのが、アメリカからの黒船「シャーク EVOFLEX」です。

ノーマルの「S10」


Shark(シャーク)EVOFLEX (エヴォフレックス)コードレススティック型クリーナー (S10(標準アクセサリー付属))

直販限定で予備バッテリーが1つ付いている「S20」


Shark(シャーク)EVOFLEX (エヴォフレックス)コードレススティック型クリーナー S20 充電式 コードレス掃除機【直販限定モデル】

さらに「ミニモーターヘッド」も付いてくる「S30」


Shark(シャーク) EVOFLEX(エヴォフレックス) コードレススティック型クリーナー S30

ブランド設立時に製造されていたハンディクリーナーの形がサメに似ていたため、「シャーク」というブランドとなったのだそうです。そして当初ユーロ・プロと言った会社の名前も、現在はシャークニンジャとなっています。なんでニンジャが付いているのかについての説明は特にありませんが、まあニンジャという言葉に馴染みの深い日本人の期待に応えられるほどの意味はないよ、という理解で良いのでしょう。

すでに「シャーク」ブランドは、本国アメリカを含む北米では、「ダイソン」よりも高い市場シェアを誇っていて「ダイソンキラー」とも称されているのだそうです。製品も違えば市場も違うので、北米での評価を鵜呑みには出来ないところもありますが、「ダイソン」にとっても侮れない相手ということは確かなのでしょう。

そんな「シャーク」が、ある意味「ダイソン」の牙城とも言える日本市場に嚙みつこうというだけあって、その「ダイソンキラー」感は遠慮なく押し出されて来ています。

「ダイソンキラー」ポイントの1つ目は、この「EVOFLEX」のヘッドです。

最新型ダイソンのヘッド、「ソフトローラークリーナーヘッド」は、その名の通り、ソフト素材で出来ています。ソフト素材で出来たヘッドがむき出しになっているため、大きなゴミをヘッドで弾いてしまうことなく、ソフト素材で押し包むようにようにして吸い込むことが出来るわけです。

そして、この「EVOFLEX」のヘッドも柔らかなローラータイプとなっています。

しかし!

この「EVOFLEX」は、柔らかなローラーの後ろにもう1つ、ブラシ状のローラーも搭載しているのです。

いわゆる従来タイプの回転ブラシという感じのこのブラシロールは、カーペットなどに絡みついたゴミをかき取るのが役目です。

種類の異なる2つのブラシを搭載した、このヘッドは「DuoClean」というのだそうです。

そして、「他のコードレス掃除機のように、床面に合わせてヘッドを交換する必要がありません」と、ここで決めゼリフです。

「他のコードレス掃除機」=ダイソンであることは言うまでもないでしょう。

確かにダイソンはフワフワした「ソフトローラークリーナーヘッド」で全てのゴミを取ることが出来ると言いつつ、それとは別にカーペットに強いヘッドとして、ナイロンブラシでゴミをかき取る「ダイレクトドライブクリーナーヘッド」も用意しています。

なるほど、1つのヘッドで異なる床に対応出来るというのなら、確かに優れているかもしれません。

「ダイソンキラー」ポイントの2つ目は、この「EVOFLEX」のパイプです。

この「EVOFLEX」は、パイプにあるボタンを押すことで、パイプをグニャリと曲げることが出来ます。このため、立ったままでも、家具の下などにヘッドを差し込みやすいのだそうです。

もちろん、「従来のコードレス掃除機では、パイプが邪魔をして、家具の下の奥までヘッドが届きません」と、従来のコードレス掃除機=ダイソンをチクリとやることも忘れません。

このグニャリ構造は、シャーク独自の「マルチフレックス」というらしく、この「EVOFLEX」の名前の由来ともなっている特徴的な機能です。

立ったまま、家具の下にゴシゴシとヘッドを押し込むような掃除の仕方が良いかどうかはさておき、パイプの長さが邪魔になる時にパイプを曲げられるのは便利かもしれません。

「ダイソンキラー」ポイントの3つ目は、この「EVOFLEX」のパイプグニャリ構造とつながっていますが、パイプを曲げることで、折りたたんだ状態で収納することが出来ることです。

「他のコードレス掃除機のように、部屋の壁に穴をあけて専用の壁掛けツールを設置する必要も、ヘッドやパイプを外し、分解して収納する必要もありません」

と、ここでまた他の掃除機=ダイソンをチクリです。しかし実際問題、折りたためた方が収納には便利でしょう。

そして、最後の「ダイソンキラー」ポイントが、操作方法です。

この「EVOFLEX」は、電源のオン/オフ、モードの切り替えをボタン操作で行います。これはまったく独自の機構ではありませんが、「他のコードレス掃除機のように、掃除中にトリガースイッチを引き続ける必要がないので、長時間使っていても疲れません」と、あくまで他のコードレス掃除機=ダイソンを狙い撃ちです。

それほど独創的とも思えないこのボタン操作方式に「SMART RESPONSEテクノロジー」と名付けてしまうほどの熱の入れようです。

このスイッチ方式の違いは、使い方や好みによって評価が別れる可能性もあります。しかし、まあボタン操作型の方が楽なのは間違いないでしょう。

ダイソンより、複数の床への対応力が高く、
ダイソンより、家具下の掃除がしやすく、
ダイソンより、収納がしやすく、
ダイソンより、スイッチ操作がラク。

ダイソンより優れた要素があるのは間違いなさそうですが、「ダイソンキラー」と言われる割には、かなり細かな部分でダイソンを攻撃している感じがします。

それもそのはず。

ダイソンは、もともと「吸引力が落ちない」とか「他のどの掃除機よりもゴミを吸い取ります」とか、「ゴミの吸引力」をウリにして来ました。

しかし、「ダイソンキラー」であるはずのこの「EVOFLEX」は、逆に「吸引力」については素っ気ない感じなのです。

「パワフルな吸引力と独自のヘッドで、すばやく、確実にゴミを吸う」とあるだけです。ダイソンのように独自モーターがどうとか、小型のサイクロンで遠心力がどうとか、テクノロジー面について多くの説明はありません。

ダイソンとの正面衝突は避け、使い勝手で勝負する。

というのが、この「EVOFLEX」の基本方針と考えて良いでしょう。

別にこの基本方針が間違っているということはないでしょう。掃除に必要十分な吸引力さえあれば、あとは使い勝手が良い方がベターです。

そして、この「EVOFLEX」の使い勝手の良さとして、この「EVOFLEX」のバッテリーが着脱式となっていることも上げることが出来るでしょう。

バッテリーは単独でも、本体に差し込んだままの状態でも充電が出来るようになっていて、予備バッテリーさえあれば、掃除中にバッテリーを差し替えて使うことが出来るのです。バッテリーが無限にあれば、無限に掃除を続けることも不可能ではありません。これもダイソンには出来ない芸当です。

この「EVOFLEX」の運転時間は、強モードで12分、標準モードで19分となっていて、強で8分、標準で20分、弱で40分というダイソン「V10」の運転時間と比べると、バッテリーの性能自体では若干不利な感じですが、予備バッテリーが1つあれば運転時間は2倍となります。

そして「EVOFLEX」は、ノーマルの「S10」はもちろんのこと、予備バッテリーの付く「S20」や「S30」にしても「V10」よりは本体価格が安いのです。

価格面でも「EVOFLEX」は「ダイソンキラー」としての役割を忘れてはいません。

ただ。

この「EVOFLEX」は、1つ分かりやすい弱点を抱えています。

それは、本体の重さです。

本体そのものの重さは1.63kgで、ダイソンの最新モデル「V10」の1.54kgと90gしか変わりませんが、本体にグニャリパイプとDuoCleanヘッドを装着した使用時状態では3.33kgとなり、パイプとヘッドを装着した「V10」の2.58kgと比べると、750g重たくなります。

世間には使用時状態で1kg台のモデルもあり、ダイソン「V10」自体が既にどちらかというと重たい方のコードレス掃除機であることを考えると、使用時状態で3kgオーバーという重さは、なかなか重たいコードレス掃除機となります。

「ダイソンキラー」となるべく、ヘッドやパイプに機能を詰め込んだことが、重さでは足かせとなってしまっているということなのでしょう。

この「EVOFLEX」は、日本の暮らしを考えてデザインされた、日本仕様とされていますが、使う際に想定したのは、欧米人並みの腕力なのかもしれません。もちろんそれは、この「EVOFLEX」を軽々と振り回せるような腕力のある人にとっては、「ダイソンキラー」としてこの「EVOFLEX」を活躍させてあげることも決して不可能なことではないということでもあります。

■EVOFLEXのスペック

集じん容量-
吸込み仕事率-
運転時間(モーターヘッド装着時)標:準約19分・強:約11分
充電時間約3.5時間
運転音-
サイズ(収納時)高さ605×幅239×奥行295mm
重さ(標準使用時)1.63kg(3.33kg)
バッテリー寿命-
バッテリー価格9,000円

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