疑惑の吸引スピード1.5倍。パナソニックの加湿空気清浄機「F-VXK90」

パナソニック F-VXK90

パナソニックの2014年モデルで最上位となる加湿空気清浄機です。

ハウスダストの吸引スピードが約1.5倍?

この「F-VXK90」ですが、昨年モデル「F-VXJ90」と見た目がかなり似ています。

→昨年モデル「F-VXJ90

かなり似ているというか、正直言って同じに見えます。

仕様を確認すると、やはり本体サイズは同じとなっています。

それどころか、風量(最大8.7㎥/分)、消費電力(最大88W)、加湿量(最大830ml/h)も同じです。最大だけでなく、他の数字も同じです。

というか、運転モードや、搭載されているセンサー類、切タイマーの設定時間も同じです。

、、、。

要するに旧モデルのラベルを貼り替えたということなのですね。

まあ、よくあることです。

、、、ところが!

メーカーによると、この「F-VXK90」は昨年モデル「F-VXJ90」よりも約1.5倍も早くハウスダストを吸引するというのです!

そんなバカな、、、。

本体の形状も、風量も同じだというのに、どうしてそこまで効果を高めることが出来るのでしょうか?

これは、、、まさか、、、ウ、ウソ、、、という疑いが一瞬頭をよぎりますが、家電業界の雄、天下のパナソニック様が虚偽のアピールなどをするはずもありません。パナソニック様が1.5倍と言ったら、とにかく1.5倍に決まっているのです。

そこでその1.5倍の詳細を見てみると、試験は約6畳の試験室と約11畳のリビングの2パターンで行われているようです。

どちらの場合も空気清浄機本体を壁際に設置し、向かいの壁際の床上でハウスダストを発生させ、その吸引スピードを比べた結果、いずれの場合も「F-VXK90」が旧モデル「F-VXJ90」の約1.5倍のスピードでハウスダストを吸引したという結果になったのだそうです。

ほーら、やっぱりパナソニック様の言うとおり。

なのは予想通りなのですが、なぜそこまで違うのかについてはほとんど記載がありません。

しかし細かく見ていくと、この「F-VXK90」では吹き出し口のルーバーにフィンが新たに搭載されているようです。

フィンといっても、幅2cm、長さ5cm程度でそれほど大きいものではありません。それがツインルーバーに4枚ずつ、計8枚付けられています。

まさか、これで1.5倍の吸引スピードが実現出来るということはないと思うので、そこはスルーしたいところですが、昨年モデルとの違いはそれくらいしか見当たりません。

まさか、、、。

さらに細かく見ていくと、新搭載のフィンによって吹き出される風の速度が上がっているという記載があります。

記載によると、旧モデルでは2.3m/秒だったのが、この「F-VXK90」では3.5m/秒に上昇しています。

その差、1.52倍。

これは怪しい、、、。

旧モデルとこの「F-VXK90」の風量が同じだということは間違いありません。

風量が同じなのに、風速が違う。

そうです。

新モデル「F-VXK90」は吹き出す風を絞り込んで吹き出すことで、風速を上げているのです。確かに新搭載のフィンは吹き出し口の風を中央に集めるような向きに設置されています。

風の密度を高めることで風速を上げ、より遠い場所に強い風を到達させることが出来るから、ハウスダストを1.5倍早く集めることが出来るというワケです!

なるほど!

しかし、ここで疑問です。

じゃあ、空気清浄機の吹き出す風はより密度が高く、より速いほど良いのでしょうか?

、、、。

そんなことはなさそうです。

基本的にこの「F-VXK90」も含めて空気清浄機は扇風機のように首を振りません。

例えばレーザー光線のように細くて強力な風を吹き出したところで、同じ一点に当たり続けるだけです。キレイにして欲しいのは部屋全体の空気であって、部屋のある一点ではないのです。

そういえば、このこの「F-VXK90」の「吸引スピード約1.5倍」というキャッチコピーのすぐ下に「使用状況によっても効果が異なります」という注意書きが付いています。

、、、。

まさか、この注意書きの意味は「F-VXK90」から吹き出される風が強力に届く地点にハウスダストを置けば、旧モデルより1.5倍早くハウスダストを吸い込むよ、とそういうことなのでしょうか?!

これはちょっと微妙です。このフィンをもって「汚れをかき集める空気の力の進化」とまで言い切ってしまって良いのかどうか、悩ましい感じがするのですが、これがあらゆるものをソツない感じにまとめてしまうパナソニックマジックということなのでしょう。

しかし、決して悪い空気清浄機ではありません

たとえ「1.5倍」の吸引スピードが限りなく怪しいものだとしても、この「F-VXK90」が悪い製品だということにはなりません。

得意のてんこ盛りセンサーで温度湿度だけでなく、周囲の人の動きに応じて自動で運転を調整してくれます。

メーカー自慢の「エコナビ」も、もちろん搭載していて、なるべく消費電力が少なくなるように運転調整してくれますが、何か設定が出来るわけでもないので「エコナビ」の力を信じる以外は特にすることはありません。

動作の記録を学習して、空気が汚れやすい時間に先回りして空気清浄運転を行ってくれるという、何ともハイテク感のある機能までありますが、電源プラグを抜くと学習記録がリセットされてしまうという、なんだかなー的な機能だったりもします。

話題となった「PM2.5」にもさっそく対応し、「PM2.5」クラスの微粒子を感知しているかどうかという情報もわざわざ知らせてくれます。しかも、PM2.5相当の微粒子を集める能力自体は旧モデルと変わらないので、PM2.5を感知していたとしても慌てる必要は全くありません。落ち着いて空気清浄機に任せましょう。

加湿に関しても、加湿量は最大830ml/hと加湿専用製品をも上回る加湿量を誇ります。

お手入れはもちろん必要ですが、フィルター交換は基本10年不要となっており、なるべく手間が少なくなるような配慮はされています。

ボタン1つでお任せ出来て、勝手に色々調整してくれる。

この「F-VXK90」は多数派だと思われる、そんな空気清浄機の使い方にぴったりなのです。

いったい何をどれくらい調整しているのかについては、実際はブラックボックスなのですが、ともかくハイテク感があり、何となくいい感じという雰囲気はたっぷりです。

おそらく、いや間違いなく、トータルの性能では旧モデルの「1.5倍」はなく、実際のところ、ほぼ「1倍」だと思われますが、旧モデル同様ソツない製品だと言えるでしょう。

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