ダイソン「CY24」ダイソンボール フラフィ
ダイソン サイクロン式クリーナー パワーブラシ【掃除機】dyson ball fluffy CY24 フラフィ CY24MH
「ナンバー1」。その根拠はちょっとだけグレー
「ダイソンの掃除機は吸引力の変わらないただひとつの掃除機です」
これまで何度も目にしたり、耳にしたりしているダイソンの決めゼリフです。
「ただひとつ」って、、、ものすごい自信です。
そして、ただ自信があるだけではありません。
「他の掃除機の”99.9%吸引力が変わらない”という主張は事実なのでしょうか」
と、他のメーカー製掃除機の性能に思いっきり疑いの眼差しを向けているのです。
他のメーカーからすれば完全に余計なお世話です。きっとチャンスがあれば、オマエこそどうなんだよ!?と言い返してやりたくてたまらないのではないでしょうか。
そもそも、ダイソンさんがどうしてこれほど他社製品の性能に疑いを抱いているかというと、どうやら第三者機関によって行われたテストで、他社製品の掃除機はゴミの取り残しが多かったり、吸引力が低下していたりするようなのです。
なるほど、テストの結果が悪いんじゃ、ちょっと文句は言いにくいかもしれません。
優秀な子が成績の悪い子に「どうしてそんなにテスト出来ないの?」と真面目っぽく聞いている姿が思い浮かびます。優秀な子は嫌がらせのしかたも優秀だったりします。
実際、他社製品の掃除機は1年間で3リットル以上ものゴミを取り残すのだそうです。
そんなの、掃除する人の問題じゃないの?なんて疑問はテストでは通じません。テストでは結果が全てなのです。
ただ。
テスト内容については、ダイソンさんが決めているのだと思われます。 国際規格IECに基づいたテストのようなので、手順や計測に問題はないのでしょうが、テストの詳細についてはよく分からないところもあります。
1年で3リットル以上取り残されるというゴミについても、4種類の床面において取り残すゴミの平均値に基づいているようですが、4種類の床面(硬い床にある溝/硬い床/カーペット/畳)ごとにそれぞれどれくらい取り残しているのかは不明です。
まあ、それでもダイソンさんの製品がテストの合計では優秀な成績を出しているのは間違いないようです。ダイソンさんがダストカップが空っぽでも、満杯でも平均して93%のゴミを集めるのに対し、他社の製品(国内サイクロン掃除機のプレミアムモデル4製品)はダストカップが空の時でも最高の結果を出した製品で82%(最低の製品は63%)、ダストカップが満杯になると最高の製品で66%(最低51%)なのだそうです。
ダイソンさんの製品が記録した平均して93%という数字は、4種類の床のどれかを苦手にしていたりすると達成することが出来ない数字です。この数字を見る限り、ダイソンさんの製品は、ダストカップに入っているゴミの量に関係なく、高いゴミ収集能力を持っていると言えそうです。
それでも、ダイソンさんの発表しているテスト結果に素直にうなずけない部分があることも確かです。
ダイソンさんのテストでは、他社製品はゴミを吸い始めた直後から吸引力が低下し始め、ダストカップが満杯になるときには50%前後まで吸引力が低下してしまいます。
そして、ダイソンさんの製品(「ダイソンボール フラフィ」)はダストカップが満杯になるまで見事に吸引力が落ちません。ただ、吸引力を表す指標「吸込仕事率」を見ると、160Wしかありません。
これに対し、4つの他社製品の吸込仕事率は、吸引力が半分程度に落ちた状態で、下から並べて84W、131W、140W、163Wとなっています。当然ダストカップが空っぽのときはこの数字の2倍に近い吸引力を持っているということになります。ダイソンさんは確かに吸引力が落ちませんが、他社製品の一部は吸引力が落ちた状態でダイソンさんと同じくらいの吸込仕事率となっているのです。
吸込仕事率=ゴミを集める力、ではありません。しかし、「吸引力が落ちないこと」も「ゴミを集める力」とはまた別の話だということも間違いありません。
またさらに、ダイソンさんは「大きなゴミ」と「小さなゴミ」の集塵率をグラフにして、ダイソンさんの最新モデル「ダイソンボール フラフィ」と他社製品とを比較しています。
グラフによると、「ダイソンボール フラフィ」は「大きいゴミ」はほぼ100%、「小さいゴミ」も90%近くまで吸い取ることが出来ています。これに対し、4つの他社製品が吸い取ることの出来る「大きいゴミ」は最高の機種でも80%以下、最低の機種は50%を下回ります。「小さいゴミ」は4機種とも50〜60%前後に集まっています。
他社製品の4機種は、やはり国内の掃除機売り上げ上位5社の平均価格5万円以上のプレミアム掃除機を対象にセレクトされているそうですが、プレミアムクラスの掃除機が目ではっきり見えているような「大きいゴミ」を半分も集めることが出来ないという事態が本当にあるのでしょうか?だいたい「小さいゴミ」よりも「大きいゴミ」の方が取り残しが多いというのは一体どういうことなのでしょうか?
「ダイソンボール フラフィ」に搭載された「ソフトローラークリーナーヘッド」はフェルト状のヘッドをコロコロと回転させていくので、大きなゴミもローラーに巻き込まれるようにして吸い取られていきます。それに対し、通常のヘッドを持つ掃除機は大きなゴミはヘッドのフチで弾いてしまうのだそうです。このため通常のヘッドを持つ掃除機で大きいゴミを吸込むためには、たびたびヘッドを持ち上げる必要があります。
ダイソンさんの「ソフトローラークリーナーヘッド」は、大きなゴミをうまく吸い取ることの出来ないという従来の掃除機のこの弱点を解消した画期的なヘッドということがウリになっています。
もしかして、ダイソンさんのテストでは掃除機が大きいゴミをヘッドで弾いたときは、ヘッドを持ち上げずそのまま弾き続けて終了、という計測の仕方をするのでしょうか?
それならば、ヘッドと床との密着度が高い一部の掃除機が、大きいゴミの半分以下しか集められないという結果が出る可能性もありそうです。
しかし、掃除機の操作をする際はヘッドを持ち上げないこと、というルールは別にありません。
ヘッドを持ち上げなくて済めば、操作性が良くなるのは間違いありませんが、やはりそれはゴミを集める能力とは直接はつながりません。
ダイソンさんの実施する色々なテストにおいて、ダイソンさんの製品が優秀な成績を収めていることは間違いないのでしょう。しかし、ダイソンさんの分かりやすい自信満々な態度の根拠となっているダイソンさんのテストがよく分からないので、どうしてもスッキリしない部分も残ってしまうのです。
それでもやっぱり魅力的なダイソン印のサイクロン
テストの内容と結果には不透明なところもありますが、「ダイソン」の掃除機が、サイクロン掃除機の王様としていまだに君臨し続けていることは確かです。
ダイソンさんの最新型サイクロン機構「2ティアーラジアル」サイクロンはなんと24個ものサイクロン構造を持っています。サイクロンは数が多ければ多いほど良いということはないのでしょうが、その数に圧倒されてしまいそうな感じもゼロではありません。しかも、ダイソンさんのサイクロン機構は特許技術だなんて言われると、思わずひれ伏してしまいそうな迫力があります。サイクロン=ダイソンという公式をー強力にイメージづけているところがダイソンさんの最大の武器なのかもしれません。
「ナンバー1&オンリー1」と豪語するだけあって、サイクロン機構に絡むフィルター類が少ないのもダイソンさんの掃除機の特徴です。
しかも、清掃が必要なフィルターはサイクロン機構の中心にあるフィルター1つだけで、その頻度は約1年に1度、水ですすぎ洗いして乾燥させるだけという簡単さです。
ダストボックスを水洗いすることはNGなので、細かなホコリを本体から取り除ききるのは至難の技ですが、そこを我慢出来れば、かなり魅力的なお手入れの簡単さと言えるでしょう。
日本式に染まらないのがダイソン流
魅力的なサイクロン機構に比べると、使い勝手の点でダイソンの製品はどうしても見劣りするところがあります。
爆音とも言われる騒音については、過去の製品と比べて抑えられてはいるようですが、相変わらずダイソンさんはその数値を社外秘としたままです。決して静かな掃除機ではないことは、普段自信満々のダイソンさんが静音性については一言も触れてこないことからも明らかでしょう。
この「ダイソンボール フラフィ」は本体についても改良が為されており、旧型となる「DC63シリーズ」と比べて本体サイズが大きくなっています。大きくなったといっても幅で1cm、奥行きで2cm弱、高さは変わらず、なので目に見えて大きくなったというわけではありません。
しかも、本体の重量は2.75Kg→2.72kgから、30gと本当にわずかですが軽くなっています。
ただ、残念なことにヘッドとホースをつけた重量は4.97kg→5.19kgと220g重たくなっています。これは当然のことながら新型ヘッド「ソフトローラークリーナーヘッド」の影響だと思われます。
まあ、新型ヘッドは床でコロコロ転がすタイプなので、それほど影響は無いのかもしれませんが、決して軽量タイプの掃除機とは言えないでしょう。
そして、最も国内メーカーの掃除機と異なるのが、延長管とノズル周りの機能です。
国内メーカーの製品ではよく見かける、手元ですぐに使えるブラシやアイドリングストップ機能などはありません。
また付属品も少なく、標準の「ダイソンボール フラフィ」に付属するのは「コンビネーションノズル」というブラシ付きの短めの隙間ノズルだけです。
ゴミを集める能力を考えず、単に掃除道具として考えたときには、ダイソンさんの掃除機はいかにも無骨な感じがして、細かな機能を色々と取り入れている国内メーカーの掃除機と比べると見劣りしてしまいます。
強力なサイクロン機構と、あまり空気を読まない使い勝手。
これが、ともすれば横並びになりがちな国内メーカーとは一線を画すダイソンさの個性ということなのでしょう。
そして、弱点でもある付属品についてはダイソンさんは付属品を充実させた派生モデルを置くことでカバーする方針をとっています。
ダイソン「CY24MH COM」ダイソンボール フラフィプラス
ダイソン サイクロン式クリーナー パワーブラシ【掃除機】dyson ball fluffy+ CY24 フラフィプラス CY24MHCOM
基本は「ダイソンボール フラフィ」と同じで、付属品が充実しているだけです。
しかし、その充実度はハンパではありません。
「タングルフリータービンツール」
→カーペットや家具から髪の毛やゴミを取り除くためのヘッド
「リーチアンダーツール」
→隙間や届きにくい場所を掃除するための細長いヘッド
「カーボンファイバーソフトブラシツール」
→きめ細かいカーボンファインバーブラシで優しくホコリを取り除くためのヘッド
「フトンツール」
→寝具を掃除するためのヘッド
と、いきなり4つの付属品が付いて来ます。
「タングルフリータービンツール」と「フトンツール」はメーカーのオンラインストアからでも購入することが出来、それぞれ、6,480円と4,320円です。基準モデル「ダイソンボール フラフィ」と付属品充実モデル「ダイソンボール フラフィプラス」の価格差は10,800円なので、ちょうどこの2つの付属品の合計額となります。「フラフィプラス」にはさらに「リーチアンダーツール」と「カーボンファイバーソフトブラシツール」が付属することを考えると、どう考えても「フラフィプラス」の方がお買い得です。
しかし、オフィシャルで「ダイソンボール フラフィ」が91,584円、「フラフィプラス」は102,384円とまさにケタ違いの価格となっていたりするので、少しくらいお買い得なぐらいでは一般庶民の場合、なかなか簡単には身動きは取れません。
そんな迷いが生じ始めた人の耳元で、9万出すなら10万出してもそんなに変わらないんじゃない?
とささやき続けようというのが、付属品充実しているだけのモデルをラインアップに入れたダイソンさんの狙いなのかもしれません。
ダイソン「ダイソンボール フラフィプロ」
ダイソン 掃除機 Dyson Ball Fluffy PRO CY24 MH PRO オンラインストア限定モデル
直販限定となるモデルです。
「ダイソンボール フラフィプラス」と同様に付属品充実タイプで、価格も「フラフィプラス」と同じ10万円オーバーです。
付属品も「フラフィプラス」とほとんど同じですが、唯一「フトンツール」の代わりに「アップトップツール」が付属します。
「アップトップツール」は高い場所の掃除をするためのヘッド。ブラシをひねって角度を変えることが出来ます。オフィシャルでは5,400円なので、「フトンツール」を選ぶよりもさらに1,000円ちょっとお得ということになります。
ただ、もうこの価格となると、さすがに1,000円お得かどうかで製品を決定しようという人は少数派なのではないでしょうか?
なぜ「フトンツール」が「アップトップツール」に変わっただけで「フラフィプラス」→「フラフィプロ」となるのかも不明ですが、高いところを掃除するのは「プロ」向けというのが、ダイソンさんの認識なのでしょう。
予算に余裕があれば、「プラス」又は「プロ」の付属品充実モデルがベターなのは間違いありませんが、付属品無しのノーマル「フラフィ」を選んだとしても、独特な満足感は味わえることでしょう。
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