ツインバード「YC-T212」



ツインバード YC-T212BL ブルー

ツインバードのサイクロン掃除機です。

様々な製品を市場に投入しているせいか、ツインバード社の製品体系は今ひとつ分かりにくいところがありますが、恐らくこの「YC-T212」がツインバード社の誇る最高性能の掃除機だと思われます。

しかし、それほど力が入っている感じがしません、、、。

キャッチコピーも「吸引力がより持続するサイクロンクリーナー」と極めて素っ気ないのです。

しかし、この「YC-T212」に搭載されているサイクロン機構には「トリプルアクセルサイクロン」という、なかなかそれっぽくて、強力な感じのする名前が付けられています。この「トリプルアクセル」によって「吸引力がより持続する」というわけです。

「トリプルアクセルサイクロン」とは、その名の通り、吸込む気流を3段階に加速することで、細かなゴミを分離するという仕組みです。

吸込み口で時速57kmの気流が、第1サイクロンで時速85kmに加速、さらに第2サイクロンでは時速144kmとなり、第3サイクロンでは時速252kmという、ちょっと昔の新幹線の最高速度並みのスピードにまで到達します。

うひゃー、すごい!

と簡単に驚くわけにはいきません。

気流の速度をウリにしているサイクロン掃除機としては、三菱電気の「風神TC-ZXC30P」を無視することは出来ません。なぜなら、「風神TC-ZXC30P」は「業界最高速の風速90m/s」をウリにしているからです。そして、この「YC-T212」の吸込む気流の速度、252km/hを秒速に直してみると、風速70m/sとなります。

、、、。

まあ、そりゃそうですよね。
業界最高速をうたっていない以上、当然の結果です。

それに決して「YC-T212」の肩を持つわけではありませんが、サイクロン掃除機は風速が速けりゃ良いってものではありません。
ちゃーんとゴミを遠心分離することが大切なわけです。

実際、見てみると「YC-T212」の説明には、「強い遠心力と高速回転により、従来のサイクロンでは取れなかった微細塵を分離」するとはっきり記載されているのです。これで安心、、、なのでしょうか?

、、、。

従来のサイクロン?
これって世の中全てのサイクロン機構を持つ掃除機のことでしょうか?

だとすると、史上最高性能のサイクロン機構ということになります。

これは、、、、

本当でしょうか!?

残念ながら、そんなことは無いと思われます。
その根拠は、この「YC-T212」のサイクロン機構の後方に搭載されているフィルターの重厚なラインナップです。

「トリプルアクセルサイクロン」を通過した後、気流は、まず「アウターフィルター」を通過し、次に「プリーツフィルター」を通過し、最後に「スポンジフィルター」を通過して機外に放出されます。

当たり前のことですが、「トリプルアクセルサイクロン」を通過した時点で全てのゴミが分離されているのであれば、その後のフィルターでゴミを漉しとる必要はありません。ちなみにサイクロン掃除機界で頂点に君臨しているダイソン社の掃除機もフィルターは搭載していますが、その数は1つ、しかもサイズも小さく簡易的なものです。

この「YC-T212」は、実際のところ「トリプルアクセルサイクロン」で猛烈に加速した空気(ゴミ含む)を「トリプルフィルター」でガッチリと捕まえて、そこで本格的にゴミを漉しとるという「サイクロン」+「フィルター」方式(フィルターメイン)の掃除機だということになりそうです。どうやら、気流の速度はあまり関係なさそうです。

せっかくの「トリプルアクセルサイクロン」が驚異的な性能を発揮するという訳でもないところが、メーカーがこの製品にそれほどあまり力を入れてなさそうな感じのする原因かもしれません。もしかすると。

しかし、もちろんこの「YC-T212」にも優れたところがあります。
それは運転音が最高で59dBと小さめだということです。

59dBより静かな製品も他にあるので、運転音が小さいからこの製品に決めた!ということにはならないのが、これまた残念なところですが、1万円前後というサイクロン掃除機としてはかなり安価な製品価格との合わせ技をすれば、候補となりうる製品かもしれません。

しかし、この掃除機が性能を発揮する上で最も重要なのは、ともかくトリプルフィルターの状態だと思われるので、そのお手入れだけはおろそかにするわけにはいかない!ということを肝に銘じておく必要がありそうです。