日本の誇る炊飯器メーカー、タイガーのマイコン式炊飯器です。
標準サイズ5.5合炊きの「JBH-G101」
タイガー魔法瓶(TIGER) 炊飯器 5.5合 ホワイト JBH-G101W
大容量1升炊きの「JBH-G181」
タイガー魔法瓶(TIGER) 炊飯器 1升 JBH-G181-W
もちろん食文化の違いが大きいわけですが、白米を炊くという機能に限れば、世界で右に出るものは無いと思われるのが日本メーカーの炊飯器です。なかでもタイガーは1970年代から電気炊飯器を開発していて、象印と並んで炊飯器の老舗メーカーと言えるでしょう。タイガーの炊飯器の上位モデルは、本物の土から生成した「本土鍋」を内釜として、強力な加熱と多段階の圧力を調整することで「究極」のご飯を炊き上げることを目指す高級モデルとなっていて、現行の最上位モデル「JPL-G100」は8万円を軽く超える本体価格となっています。
しかし、この「JBH-G1型(JBH-G101とJBH-G181)」の本体価格は1万円を下回る水準となっています。
何が違うのでしょうか?
まず加熱方法が「圧力IH」→「IH」→「マイコン」とランクダウンしていて、火力の調整がざっくりとしたものとなっていて、内釜も「土鍋」→「土鍋コーティング」→「金属釜」となり、蓄熱性や加熱効果が劣るものとなっています。機能面でも大きな差があり、上位モデルにある細かな炊き分け機能や多彩な炊飯メニューなどはありません。
まあ当然です。
マイコン式の炊飯器を選ぶ以上、「究極」のおいしさとは別のルートを目指す製品となることはあたり前のことでしょう。
ただ、この「JBH-G1型(JBH-G101とJBH-G181)」の最大のポイントが本体価格の安さにあることは間違いありませんが、内釜は遠赤効果の高い「黒厚釜」を使用して、電気代を抑える「エコ炊きメニュー」や、煮込み料理が出来る炊飯メニューなども備えていて、炊飯器はとりあえず普通にご飯を炊いてくれれば良いよ!という人であれば、別に不都合を感じることはない仕様となっています。
しかし、マイコン式の炊飯器はタイガーだけが製造しているわけではありません。一応、ライバルメーカーのマイコン式炊飯器とは比べてみても損はないでしょう。ちなみに有力な炊飯器メーカーであるパナソニック、三菱電機、日立は低価格モデルでも「IH炊飯器」となっていて、「マイコン式炊飯器」はラインアップに入っていません。
■主要メーカーのマイコン式炊飯器(2021年8月)
メーカー | 製品 | 価格(目安) | 内釜 | 消費電力 | 炊飯時消費電力量 | 保温時消費電力量 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
タイガー | JBH-G101 | 7,500円くらい | 黒遠赤厚釜(1.7mm厚) | 635W | 140Wh | 19.1Wh/時 | 煮込みメニュー付き |
象印 | NL-DS10 | 11,000円くらい | 黒厚釜(4mm厚) | 660W | 162Wh | 16.8Wh/時 | 食感炊き分け機能付き |
アイリスオーヤマ | RC-MD50 | 7,000円くらい | 極厚火釜(3mm厚) | 650W | 129.1Wh | 15.6Wh/時 | 銘柄&食感炊き分け機能付き |
東芝 | RC-10MSL | 8,500円くらい | 金色コート釜(1.7mm厚) | 640W | 177.1Wh | 19.4Wh/時 | パンメニュー付き |
ライバルメーカーのマイコン式炊飯器と比べてみると、改めてこの「JBH-G1型(JBH-G101とJBH-G181)」がそれほど高機能でないというか、かなりシンプルな製品だということが分かります。記載したのは5.5合モデルだけとしましたが、1升モデルは基本的にそれぞれの数字がスケールアップしたものなので、それぞれの立ち位置はそれほど変わりません。
「マイコン式炊飯器」は、どのモデルも各メーカーのラインアップで最低ランクの製品となりますが、同じマイコン式炊飯器で比べたときに圧倒的なスペックとなっているのがアイリスオーヤマの「RC-MD50」です。好みに合わせて炊き上がりの食感を調整出来るだけでなく、お米の銘柄に合わせた炊き分け機能まで備えています。消費電力はこの「JBH-G101」よりも高いにも関わらず、炊飯時の消費電力量や保温時の消費電力は下回っていて省エネ性能も良好です。この「JBH-G101」の「エコ炊き」がスチーム量を30%抑えるだけとなっているのに対し、アイリスオーヤマ「RC-MD50」の省エネ炊飯は、消費電力を約27%抑えると妙にはっきりとした数字まで示されていて、その自信のほどがうかがえます。
機能面でアイリスオーヤマ「RC-MD50」に続くのが象印の「NL-DS10」でしょう。好みの食感で炊き分ける機能を搭載しています。ただ、火力が強いせいか、炊飯時の消費電力量はこの「JBH-G101」よりも高くなっています。
最後の東芝「RC-10MSL」には炊き分け機能は無く、消費電力もこの「JBH-G101」をさらに上回るものとなっていますが、「パンメニュー」を搭載しています。
カタログだけで選ぶのであれば、アイリスオーヤマの「RC-MD50」が有利と言えそうですが、アイリスオーヤマの炊飯器の歴史はそれほど長いものではありません。製品も今のところは低価格モデルが中心となっていて、そもそもメーカーとして「究極」のおいしさを目指している雰囲気すらも無いというところがイメージ的にちょっとマイナスかもしれません。その点、炊飯器の老舗メーカーであるタイガーはたとえ最低ランクの製品でも、最低限の品質は期待出来るだろうというイメージ的な信頼感で有利なところがありそうです。象印「NL-DS10」がこの「JBH-G101」と同じ価格であれば、象印「NL-DS10」を選んだ方が良さそうですが、この「JBH-G101」にとって幸いなことに、象印「NL-DS10」の本体価格は1万円を少し上回る水準となっています。炊飯器でどうしてもパンを作りたいという人にとって、東芝「RC-10MSL」の方が魅力的に映るのは当然でしょうが、何もマイコン式の炊飯器でパンを作らなくても良いかなと思い直す可能性も十分にありそうです。
結果として、価格重視でマイコン式の炊飯器にしようと考えたときに、この「JBH-G1型(JBH-G101とJBH-G181)」が候補として生き残る可能性はそれなりにあるということになりそうです。また、後継モデルとして「JBH-G2型(JBH-G102とJBH-G182)」が既に登場して来ていますが、仕様に違いは無いので、これについては価格の安いモデルを選択した方が良いでしょう。
■JBH-G101のスペック
発売 | 2016年6月 |
炊飯容量 | 5.5合 |
サイズ | 幅252×奥行349×高さ215mm |
重さ | 3.0kg |
消費電力 | 635W |
消費電力量(炊飯時) | 140Wh |
消費電力量(保温時) | 19.1Wh/時 |
内釜 | 黒遠赤厚釜 |
炊飯時間(標準) | 43~55分 |
■JBH-G181のスペック
発売 | 2016年6月 |
炊飯容量 | 1升 |
サイズ | 幅280×奥行385×高さ251mm |
重さ | 3.9kg |
消費電力 | 895W |
消費電力量(炊飯時) | 197Wh |
消費電力量(保温時) | 26.1Wh/時 |
内釜 | 黒遠赤厚釜 |
炊飯時間(標準) | 46~68分 |
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