剛と柔。ギャップが激しい三菱電機の扇風機「R30J-HRU」

品揃えを絞り込んでいる三菱電機の扇風機ラインアップで唯一のハイポジション扇となるのが、この「R30J-HRU」です。



三菱 【扇風機】リビング扇(リモコン付)ハイポジションタイプ R30J-HRU-T

この「R30J-HRU」は遠くまで届く「ロング気流」が特徴となっています。

メーカーによると、2012年モデルまでは10m前後までしか、ある程度の風速を保った風は届かなかったようなのですが、この「R30J-HRU」は軽く10mを超えるところまで届くようになっているようです。遠くまで風が届くということは、当然空気を循環させる
力が強いので、サーキュレーター的な使用も出来ますよ、という雰囲気も漂わせています。

けっこう古い感じとなる2012年モデルと比べられても、、、という今さら感と、遠くまで届くといってもどうやら15mまでは届かないようなので、何だかなあという気がしてしまうことも否めません。

しかし、この「ロング気流」が実に侮れません。

この「R30J-HRU」の風速は最高240m/分と、まあ相当なスピードがあります。三菱電機唯一のDCモーター扇風機にして、こちらもサーキュレータ的な使用が想定されているトップモデル「R30J-DU」ですら最高風速は180m/分です。ライバルメーカーの製品と比べても、シャープの「PJ-G3DG」が最高128m/分、日立の「HEF-DC5000」が最高175m/分というのを見ると、なかなかのハイスピードモデルだということが分かります。この風速なら確かにサーキュレーターとして機能してくれそうな感じは十分です。

ただ、この「R30J-HRU」はその風速の速さにもかかわらず、風量はそれほど大きくありません。

最大風量が27㎥/分というのは、シャープ「PJ-G3DG」の最大58㎥/分、日立「HEF-DC5000」の最大42㎥/分と比べると大きく見劣りします。同じ三菱電機の「R30J-DU」の最大風量が24㎥と同じように少ないところを見ると、どちらかというと最近好まれている感じのある風当たりの優しい風より、細くて速い気流の方がベターだとメーカーの三菱電機は考えているのかもしれません。

ところが、この「R30J-HRU」には、単に風が強いだけでなく、「ベビー風」という「それはそれはやさしい微風」とされる超微風の運転モードも搭載されています。

これが問題なのです。

普通に考えれば、強い風はより強く、弱い風はより弱くしてくれた方が、はっきりしていて良いという感じがします。

しかし、この「R30J-HRU」の場合、風量の切り替えが3段階しかないのです。これは最大モードはもちろんのこと、「ベビー風」も含んでの話です。

運転モードは風の強い方から順に、「強」→「中」→「ベビー」です。

、、、。

もう1つ「リズム風」もありますが、これは風量そのものには関係ありません。

「強」→「中」→「ベビー」、、、。

いや、そこにはせめて「弱」が入るでしょ!

という突っ込みは開発時に入らなかったのでしょうか?

この「R30J-HRU」はものすごくシンプルなタイプの扇風機なので、風量の調整は大きなボタンを押して順番に切り替えていく方式となっています。操作手順に従うと、実際の風量変化は「ベビー」→「中」→「強」→「リズム」となっていて、ボタンをもう1度押すと「ベビー」に戻るという設定になっています。

「それはそれはやさしい微風」という「ベビー」を使うシーンがある程度限定されてくるのは当然です。むしろそうでないと意味がありません。つまり大抵の場合は、それでは風が弱いので「中」にします。暑い時にはそれでも足りず「強」へ。すると途端にサーキュレーター仕様の突風が出現するというわけです。

結局、「中」しか使えないじゃん!

となるのは目に見えています。

「ああ、そのベビー風なんですけど、実は本当のベビーには少し厳しいくらいの風量がありましたテヘペロ」みたいなメーカーからのお断りを期待してしまいたくなるような、あまりにも激しいギャップを持った扇風機がこの「R30J-HRU」というわけです。

■R30J-HRUのスペック

サイズ幅390×奥行390×高さ848〜1048mm
重さ約4.8kg
羽根の枚数5枚
消費電力(強)33/37W(50Hz/60Hz)
風量調節3段階
風量最大27㎥/分
風速最高240m/分
首振り(上下は手動)左右→85°、上→35°、下→約10°

コメント