ついに南部鉄器を卒業した、象印100年目の炊飯器最上位モデル。「炎舞炊き NW-KA10」

象印の炊飯器の最上位モデルと言えば「南部鉄器」の内釜でしたが、創業100周年にして、南部鉄器から別の方向へ進むことを決めたようです。

黒漆


象印 圧力IH炊飯ジャー「炎舞炊き」(5.5合) NW-KA10-BZ

雪白


象印 圧力IH炊飯ジャー「炎舞炊き」(5.5合) NW-KA10-WZ

南部鉄器の内釜をやめて、何の内釜になったのか?

「豪炎かまど釜」です。

豪炎?

辞書には無い言葉ですが、何となく意味は分かります。

豪快な炎。

それが正解だという説明は見当たりませんが、当たらずとも遠からずに違いありません。というか他に解釈が思い浮かびません。

この「豪炎かまど釜」は、鉄素材をアルミとステンレスの間に仕込んだ業界初の構造をしているのだそうです。

、、、。

業界初はスゴイのかもしれませんが、「南部鉄器」の内釜と、「鉄素材が仕込まれた」内釜と、どちらがインパクトがあるかと考えると、「南部鉄器」の方に軍配が上がってしまいそうな感じは否めません。

おそらく、そのことはメーカーもよく分かっているでしょう。そして、その上で内釜の変更を決めたということは、それだけこの「豪炎かまど釜」が優れているということを示していると考えられなくもありません。そして実際、この「豪炎かまど釜」は「南部鉄器」の内釜よりも高い熱伝導性能を持っているのだそうです。

、、、。

まあ、内釜の性能が上がるのは良いことなのでしょうが、これまで、あれだけ特別感を匂わせていた「南部鉄器」の内釜の優位性が、あっさりとひっくり返されてしまうと、どことなく寂しい感じもしてしまいます。

ただ。

今回の大きなモデルチェンジで、メーカーが-力を入れているのは、実は内釜ではなく、加熱構造です。

炊飯器を開発する際に、メーカーがかまど炊きを目標にすることはよく見るパターンですが、今回、メーカーの象印は、かまどでご飯を炊く際の「炎」そのものに着目したのだそうです。

「原点に還ると、新しい炊き方が見えてきた」

のだそうです。

むしろ炊飯器とは関係ない感じさえしてしまう「炎」まで原点回帰してしまうメーカーの姿勢から、100年の歴史の重みを見ることは却って難しくなるわけですが、より良いモノを作ろうという姿勢自体は正しいことです。

そして、メーカーの観察の結果、

なんと!

「炎」はゆらいでいるということが判明したのだそうです。

、、、。

だから、炊飯器の加熱構造も炎のゆらぎを再現するようにするべく、従来1つだった炊飯器の底のIHヒーターを3つに増やし、さらにそれぞれが独立に制御されるようにしたのだそうです。

加熱構造を複雑に制御することで、炊飯のときに激しい対流を起こすことが出来るようになり、その結果、炊きムラが抑えられるようになったのだそうです。「南部鉄器」の内釜を持つ昨年の最上位モデル「NW-AT10」との火力の比較をすると、新しいこの「NW-KT10」の方がなんと4倍以上も優れているという数字も、メーカーの複雑な計算によってはじき出されています。

パチパチパチ。あー、良かった!

「炎」まで原点回帰して、まさか何も見いだせなかったときの徒労感を想像すると、100周年という節目に新しい炊き方が見つかったことに他人事ながら少しホッとしてしまいます。

なにしろ「炎」より前に戻ることはさすがに難しそうなだけに、「後」がないというより「前」がないという状況だったに違いありません。これで、これからは進化することを考えるだけで良さそうです。

「炎」のように激しいゆらぎを起こしてご飯を炊くので「炎舞炊き」、そして「炎舞炊き」に適した内釜だから「豪炎かまど釜」というわけです。

なるほど。

そして、この「NW-KT10」は、新しい加熱構造以外の部分に関しては、従来モデルからそれほど大きな変化はありません。

炊きあがったご飯を食べた際の感想を入力することで、最大121通りもの炊き分けが可能となる「わが家炊き」は引き続き継続されていますし、毎回のお手入れは内フタ2点と内釜の合計3点だけでOKという使い勝手の良さも変わりません。内釜が南部鉄器でなくなっても、おこげや湯の子メニューも搭載されています。

内釜が「南部鉄器」でなくなったことで、大きな個性を失ってしまったような気もしないでもありませんが、その分本体が3kgも軽くなっていたり、消費電力が低くなっていたりして、細かな面での恩恵もありそうです。

業界初の構造が、業界最高の構造とは一概に言い切れないわけですが、普通に使える高級炊飯器として新しい歴史を踏み出した意欲作と言うことは出来るでしょう。

■NW-KA10のスペック

炊飯容量0.09~1.0L
サイズ幅275×奥行345×高さ235mm
重さ約8.5kg
炊飯時消費電力1240W
消費電力量(炊飯時)154Wh
消費電力量(保温時)16.2Wh
内釜豪炎かまど釜
炊飯時間(ふつう)約51~57分

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