東芝のサイクロン式掃除機「トルネオシリーズ」のミドルクラスにあたる「トルネオV」、その最上位モデルとなるのが、この「VC-SG512」です。
グランレッド↓
そしてピンクゴールド↓
「トルネオV」シリーズはミドルクラスではありますが、扱いも製品ラインナップも最上位モデルの「トルネオW VC-SG712」よりも充実しているため、実質的にメインモデルといえるかもしれません。
その最大の特徴は、コンパクトかつ強力なサイクロンシステムです。
「トルネオ」のコンパクトモデルとしては、「トルネオミニ」シリーズがあります。しかし、この「トルネオミニ」シリーズは、サイクロン機構でゴミと空気を十分に分離出来ないため、プリーツフィルターの「チリ落とし」を適宜行う必要がある「チリ落としサイクロン」です。
まあ、「チリ落としサイクロン」でも掃除能力には一向に影響しない訳ですが、サイクロン市場の支配者、ダ◯ソン社の製品が「チリ落とし」を必要としないだけに、どうしても見劣りしてしまう感は否めません。
そのために、対ダ◯ソン社製品の一番手として、「チリ落とし」が不要な、トルネオシリーズ最上位モデル「トルネオW」が存在する訳ですが(たぶん)、この「トルネオW」は標準重量6.1kgと特別大きくはないものの、それなりのサイズがあります。
確かにサイクロン式の掃除機も流行りですが、「小さくて軽い掃除機」というのも、これまた最近の大きな流れの1つであることも間違いありません。
そこで!
強力なサイクロン機構を備えながらも、軽量コンパクトというこの「トルネオV」の登場という訳です!
パチパチパチ!
気になるそのサイズは、幅220×奥行322×高さは267mm!
最上位のトルネオW(幅268×奥行410×高さ280)よりもコンパクトなのは当然ですが、他のメーカーのコンパクトモデルと比較しても十分通用するサイズとなっています。
そして重さは本体が3.3kg。標準重量は4.7kg!
これも確かに最軽量ではありませんが、十分に軽量モデルとして通用する重さです。
そして、そして!忘れてはいけないのが「サイクロン機構」の能力です。
最上位モデル「トルネオW」はその名の通り、W(ダブル)のサイクロン機構を搭載することでミクロのゴミまで集めていた訳ですが、なんとこの「トルネオV」も2つのサイクロン機構を搭載しているのです!当然「チリ落とし」は不要です。
おおー!
まさに良いとこ取りというわけです!
、、、。
しかし、そんなにウマい話があるのでしょうか?
そんな疑いの目を持って、この良いとこ取りモデルである「トルネオV」を見ていくと、確かに気になる点もあります。
まずは、核となるサイクロン機構です。
「バーティカルトルネードシステム」と名付けられたそのサイクロン機構は、最上位「トルネオW」で水平方向に並んで搭載されていた「デュアルトルネード」と「ミクロトルネード」という2つのサイクロン機構を上下タテに並べることでコンパクトサイズを実現しています。
しかし、単純に「トルネオW」と同じサイクロン機構を搭載してるのかというと、当然ながらそうではありません。
まず、「トルネオW」では2つのサイクロン機構にそれぞれダストボックスがあったのが、この「トルネオV」では1つのダストボックスに集約されています。
お手入れの手間を考えると、ダストボックスは2つより1つの方がもちろん良い訳ですが、「トルネオW」の方が「ミクロトルネード」のダストボックスで集めたゴミに対してUV除菌をしてくれたりするので、小さなゴミに対してより注意が払われている感じがするのです。
そして「デュアルトルネード」部分では、吸込んだゴミを圧縮して小さくまとめてくれるという機能があるのですが、「トルネオW」では約1/10に圧縮してくれるのに対し、「トルネオV」では約1/5の圧縮に留まっているのです。
、、、まあ、やはり「トルネオW」は「最上位モデル」ですからね。そう思えば、多少の差くらい我慢も出来ます。
ところが!
上位モデル「トルネオW」のサイクロン機構、「ダブル分離サイクロン」によって分離されるミクロのゴミは99.8%なのに対し、「トルネオV」の「バーティカルトルネードシステム」によって分離されるミクロのゴミは99.9%なのです!
ええー!
わずか0.1%、たった0.1%ではありますが、「トルネオV」のサイクロン機構の方がより多くミクロのゴミを分離している、、、?!
これは、謎です。訳の分からないことになってきました。
単純に後から開発された「バーティカルトルネードシステム」が優れているということなのでしょうか?
それならば良いのです。しかし、ここで気になるのは「排気」です。
当然、よりゴミを分離出来ている「トルネオV」の方が排気もキレイなはずだと想像してしまうのですが、「トルネオV」の排気口部分には、「排気清浄フィルター」に重ねる形で「「プリーツフィルター」なるものが装着されているのです。
そして、お手入れの際にはその「プリーツフィルター」に付いたチリを「手で叩いて落とす」ことになっているのです。
ちなみに、最上位「トルネオW」の排気口部分には「プリーツフィルター」はなく、「排気清浄フィルター」が2枚重ねられています。お手入れで「チリ」を「手で落とす」必要はなく、汚れが気になる場合の水洗いのみとなっています(「トルネオV」の「排気清浄フィルター」も同様)。
、、、。
お手入れに関していえば、「トルネオW」の方が「トルネオV」よりもラクそうです。
そして、なによりも排気口に到達しているゴミ(チリ)の量が少なさそうです。
、、、これは、どういうことなのでしょうか?
実際、最上位「トルネオW」のフィルターセットは、0.3ミクロン以上の微粒子を99.9%以上キャッチするとされているのに対し、「トルネオV」は0.5ミクロン以上の微粒子を99.9%以上キャッチとなっています。
フィルターの性能は「トルネオW」の方がはっきりと優れている訳です。
しかし、フィルターの性能=ゴミを分離する能力、という訳ではないので、これをもって「トルネオV」を断罪することは出来ません。
が、おそらく「トルネオV」の方は0.5ミクロン未満のゴミは度外視しているのではないか、という気がします。最上位モデル「トルネオW」と上位モデル「トルネオV」では「ミクロ」の基準が違うということなのかもしれません。
この「手動チリ落とし」機構については気になるところではあります。
そして、もう1つ気になるのは「騒音」です。
この「トルネオV」の騒音は約58〜64dBとなかなかのボリュームです。
最上位の「トルネオW」は約55〜57dBと比較的静かな掃除機に分類されるだけに、騒音については大きな差があると言えるでしょう。やはりコンパクトモデルで静音性を保つのは難しいようです。
つまり、疑いを持ってみると、この「トルネオV」も完全に「良いとこ取り」とはさすがにいかないようです。
ふ、ふ、ふ、それ見たことか。と言いたいところですが、そんな疑いの目をもってしても、その他の点ではこの「トルネオV」は最上位「トルネオW」にほとんどひけを取りません。
拭き効果や、狭い場所も掃除しやすい高性能のヘッド、操作性の高いグリップやホース、センサー感知によるエコモードと掃除機としての機能面については「トルネオW」とほぼ同様となっています。
さらに、この「VC-SG512」においては、充実した付属品が最上位「トルネオW」と同じとなっています。
排気の問題については、実際のところおそらく微々たるものでしょうし、なにより価格が「トルネオV」の方が「トルネオW」より安いというのも魅力です。
うまく「良いとこ取り」してくる要領の良さが鼻につく感もありますが、騒音さえ我慢出来れば、十分検討の候補となる製品と言えそうです。
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