吸うより吹く方が得意なのかもしれない三菱電機のサイクロン掃除機「TC-ZXH30P」

三菱電機のサイクロン掃除機シリーズ「風神」の上位モデルです。



三菱電機サイクロン式掃除機「風神」TC-ZXH30P-W

「キレイ好きな人にふさわしい、フルスペックのサイクロン式掃除機」だそうです。

サイクロン掃除機の「フルスペック」とは何なのか、それを決める議論は難航しそうですが、とりあえずサイクロン式掃除機として大抵のライバル製品にはヒケを取らないよ、という自信がメーカーにはあるということなのでしょう。

そんな、フルスペック掃除機であるこの「TC-ZXH30P」の最大の特徴、それは「強い吸引力」です。

おおー。

まさに王道です。

吸引力、それこそが掃除機にとって最も重要な指標であることを否定する人はあまりいないでしょう。

ただ。

この「TC-ZXH30P」の吸引力が優れているポイントには、実はあまり王道感はないかもしれません。

この「TC-ZXH30P」が最も得意とする掃除箇所、それはズバリ、壁ギワです。

いやいや、床の真ん中の掃除はどちらかと言えば簡単なんだから、難しい壁ギワの掃除が得意なのはかなりの長所でしょ。掃除機の性能を極めようとしたら、避けられない王道の掃除場所なのでは？

という意見は少なくないかもしれません。

確かに、掃除機にとって、壁ギワの掃除能力が重要だということは間違いありません。

しかし、この「TC-ZXH30P」の場合、壁ギワのゴミを取りやすくするために、ヘッドの両サイド部分にもゴミを吸い込むための吸引口が開いているという、ちょっと変わったヘッド構造をしているのです。

なるほど、側面にも吸引口があれば、壁に沿って掃除をした場合に壁ギワのゴミを取りやすくなりそうです。

しかし、果たしてそれは「強い吸引力」によるものと考えて良いのでしょうか？

普通に考えれば、ヘッドに穴が開いていればいるほど、吸引のための圧力は低下します。しかも、両サイドに吸引口があるということは、壁ギワの掃除をする際、片方の吸引口が壁に沿っていたとしても、もう片方の吸引口は、部屋の中の方に向けられているということになります。

一応、旧モデル「TC-ZXG30P」と比べてもより多くのゴミを取れるようになっているらしいので、これを無駄と切って捨ててしまう必要はないかもしれません。しかし、ヘッドのサイドにも吸引口がある掃除機が圧倒的に少数派ということを考えると、このサイド吸引口は「王道」というより、どちらかと言うと「裏ワザ」的な仕様な感じがします。

思えば、この「TC-ZXH30P」を含む三菱電機の「風神」シリーズの上位モデルは、掃除機でありながら吸い込むのではなく、風を吹き出す「エアブロー」機能を搭載していることも大きな特徴となっています。これも結構「裏ワザ」感のある機能かもしれません。

この「TC-ZXH30P」には、幅広の「エアブローノズル」、「ブローはたきノズル」、ブロー時も使用可能な「2WAYロングノズル」と、付属してくるノズルのうち、ふとん用の「アレルパンチふとんクリーンブラシ」を除く全てが、ブローでも使えるようになっているというブロー寄りの仕様となっています。

本当にこれが「フルスペックのサイクロン式掃除機」なの？

という気がしないでもありませんが、ブロー機能自体は掃除の時にあった方が便利な感じもします。

その他にも、HEPAフィルターに加えて、ULPAフィルターまで搭載している排気がキレイだったり、アイドリングストップ機能はもちろん、掃除機を動かす速度に合わせて自動でパワーコントロールしてくれる先進機能も付いています。本体の重さはそこそこ（使用時標準4.6kg）ですが、パイプを本体に差して自立させることが出来たり、床用ヘッドの回転ブラシに絡みついた毛などを簡単に除去できる機能が付いていたりするなど、色々と細かな工夫もされています。

たとえ、最高のサイクロン式掃除機という感じはあまりしなくても、ブロー機能を使いたい！という人にとっては、有力候補となり得るモデルかもしれません。

■TC-ZXH30Pのスペック