価格も機能も絞り込まれたコンパクトな除湿機。アイリスオーヤマ「IJC-H65」

独創的だったり、個性的とは言い辛いですが、まあシンプルな形状をしています。

ブルー↓

アイリスオーヤマ 衣類乾燥除湿機 コンプレッサー方式 ブルー IJC-H65

モデル名の頭に「K」が付きますが、つまるところ色違いモデルとなるシャンパンゴールド↓

アイリスオーヤマ 衣類乾燥除湿機 コンプレッサー方式 シャンパンゴールド KIJC-H65

洗濯物と言えば外に干すのが当たり前だった旧時代の昭和と比べて、花粉対策だったり、住環境のためだったり、 平成から令和と進むにつれて、部屋干しの需要が増えていることは間違いないでしょう。

そんなときに役に立つのが、衣類乾燥機能付きの除湿機です。

この「IJC-H65」も、単に部屋の湿気を吸収するだけでなく、自動でスイングするルーバーを備えていて、効率良く衣類を乾かすことが出来ます。

2kg相当衣類を乾燥した時の目安時間は約108分だそうです。これはなかなか優れた数値と言って良いでしょう。

乾燥方式はエアコンと同じ熱交換器を使用するコンプレッサー式で、消費電力は最大でも184W(60Hz)と、こちらもなかなか優れています。

湿度を検知するセンサーを備えていて、衣類乾燥時に十分湿度が下がる=洗濯物が乾くと、自動で運転を停止するお利口さんだったりもします。また、衣類の乾燥ではなく、部屋の湿度を55%にすることを目指して連続で動かす自動運転もできます。

衣類乾燥でも、自動運転でも、操作の有無に関係なく最長12時間で運転が自動で止まるので、放置プレーも可能です。

アイリスオーヤマの家電製品は機能が絞り込まれることで、分かりやすくなっているモデルが多いですが、この「IJC-H65」も、乾燥と除湿という機能の他、特別な機能は持たないシンプルモデルとなっています。唯一、運転音を控えめ(除湿能力も控えめ)にする「弱モード」を備えているのが、特徴と言えば特徴かもしれません。

衣類乾燥除湿機として、必要十分な機能を備えたモデルと言えるでしょう。

ただ、それはあくまで除湿能力が1日最大で5.5 / 6.5リットル(50/60Hz)というこの「IJC-H65」のパワーを基準にして考えたときの話です。

衣類乾燥除湿機は、除湿能力が10リットルを超えるものも珍しくなく、中には20リットルという強烈パワーを誇るモデルもあります。

実際問題、 最大で5.5 / 6.5リットルという除湿力では、部屋干しされた4人家族の衣類を手早く乾かすなどという芸当は、根本的に難しいでしょう。ある程度の量の衣類を部屋干しをメインにして、しっかり手早く乾かしたい!という場合は、この「IJC-H65」より、もっとパワーのある除湿機が必要となりそうです。

しかし、部屋干しで乾かすけど、除湿機はアシスト程度で良い場合や、別の空調機器などと併用する場合など、乾燥を完全に除湿機に頼るわけじゃないよ!という場合は、この「IJC-H65」クラスの除湿機でも活躍の余地はあります。実際、他のメーカーからもこのクラスの製品が投入されていることが、このクラスの除湿機に需要があることの証明でしょう。

そしてその場合、この「IJC-H65」は有力な候補となる可能性が十分にあるのです。

この「IJC-H65」のライバルとなりそうな製品として、シャープの「CV-L71」、コロナの「CD-S6320」、パナソニックの「F-YZT60」、さらに「F-YHTX90」の4モデルと見比べてみます。

シャープのプラズマクラスター除湿機「CV-L71」は、設置面積がA4サイズというコンパクトモデルです。プラズマクラスターという特殊兵器を持っていますが、そのプラズマクラスターはメーカー最弱となる「プラズマクラスター7000」であることに付け込む余地が無いわけでもなさそうです。2kg相当衣類の乾燥時間も約180分と、この「IJC-H65」よりもだいぶ長く、それでいて消費電力も高いところも、この「IJC-H65」にとって有利な点と言えるでしょう。

コロナのスリムタイプ除湿機「CD-S6320」は、この「IJC-H65」とよく似た5.6 / 6.3リットル(50/60Hz)という除湿力を持ち、センサーを利用した自動運転が可能なところなど、基本コンセプトも似ているモデルです。ただ、2kg相当衣類の乾燥時間目安は約136分と、シャープの「CV-L71」よりは優れていますが、この「IJC-H65」よりはまだ長くなっています。それでいて消費電力もやはり、この「IJC-H65」よりも高くなっています。水タンクの大きさは3リットルと、この「IJC-H65」を上回るサイズとなっていますが、スペック的にこの「IJC-H65」より特別魅力的と言うことはないでしょう。

パナソニックの「F-YZT60」は、上下に160°動くという広角のスイングが出来る除湿機です。この「IJC-H65」も上下スイングがウリですが、その角度は90°しかないので、送風範囲ではパナソニック「F-YZT60」には及びません。この違いのためか、パナソニック「F-YZT60」は除湿力が5.4 / 5.6リットル(50/60Hz)と、この「IJC-H65」 よりも少ないにも関わらず、2kg相当の衣類乾燥時間の目安は108分と全く同じとなっています。しかし、弱点は消費電力です。パナソニック「F-YZT60」はヒーターを使用するデシカント式の除湿機のため、フルで運転したときの消費電力は460Wと跳ね上がってしまうのです。

同じくパナソニックの「F-YHTX90」は、横に長い形状をしていて、部屋干しの洗濯物の真下に置くことで乾燥効率を高めることを狙った新機軸のモデルです。ハイブリッド式ということもあり、2kg相当衣類の乾燥時間目安は約97分というスピードを誇ります。しかしネックは本体価格で、約5万円という、この「IJC-H65」の2倍をはるかに飛び越える水準となっています。

結論として、この「IJC-H65」は、特別な機能は持たないものの、基本的な仕様と本体価格という点でライバル製品に十分対抗できるのです。パワーも、機能も、別に最高の製品でなくても良いや、という場合、小型の除湿機を検討する際に無視できない存在となりそうです。

■IJC-H65のスペック

発売2018年4月
タイプコンプレッサー式
除湿能力(1日)5.5 / 6.5リットル
(50/60Hz)
衣類乾燥時間(2kg相当)約108分
消費電力162/184W
(50/60Hz)
除湿面積(木造)7/8畳
(50/60Hz)
除湿面積(プレハブ)11/12畳
(50/60Hz)
運転モード衣類乾燥/自動/標準/弱
搭載センサー湿度
タンク容量約2.5リットル
サイズ幅319×奥行204×高さ535mm
重さ9.7kg
運転音-

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