パワーは十分!だけど、それほど魅力は感じられない日立の掃除機「CV-SE900」

日立の2017年掃除機の最上位モデルです。

ルビーレッド↓


日立 サイクロン式クリーナー パワーブーストサイクロン CV-SE900-Rルビーレッド

シャンパンゴールド↓


日立 サイクロン式クリーナー パワーブーストサイクロン CV-SE900-Nシャンパンゴールド

この「CV-SE900」も、他の多くの掃除機と同じように吸引力の強さをウリとしています。

珍しいのは、この「CV-SE900」が吸込仕事率の高さをウリとしていることです。この「CV-SE900」の吸込仕事率は「440W」です。

ひと昔前なら、それほど高くもない数字ですが、最近はダイソンを筆頭にそれほど吸込仕事率を重視しないタイプの掃除機が増えていることもあり、「440W」という数字は比較的高いと言えるでしょう。実際、パナソニックのキャニスタータイプの最上位モデル「MC-SR560G」、東芝「トルネオV VC-MG920」、シャープ「EC-G8X」の吸込仕事率は、いずれも最大でも200Wとなっています。

吸込仕事率は空気を吸い込む力であって、ブラシやゴミの種類、床の状態などは考慮してないので、実際に床のゴミを吸い込む力とは異なるという問題はありますが、ともかく吸込仕事率が高ければ、吸い込む力自体は強いということは確かです。

そして、この「CV-SE900」の吸引力の源となっているのが「小型・軽量ハイパワーファンモーター」です。

なんか、そのままの感じのネーミングですが、「小型」で「軽量」で「ハイパワー」なんだから文句ないでしょ!という、ある種の開き直りに似たスゴみを感じ取るべきなのかもしれません。

そのハイパワーなモーターでもって、吸い込んだ空気とゴミを力強くグルグルとブン回すことで、ゴミと空気が遠心分離されるのだそうです。だから「パワーブーストサイクロン」なのですたぶん。

それだけでゴミと空気ってキチンと分離できるのかしら?有名なダイソンの掃除機は、本体にもっとゴチャゴチャと色々なパーツが付いているみたいだけど?

という疑問を持つ人がいても不思議はありませんが、実際のところ、この「パワーブーストサイクロン」の場合、サイクロン機構の先に強力なフィルターが待ち構えているので、たとえサイクロンでゴミを分離できなくても問題はないのです。

ダイソンのサイクロン掃除機にしたところでフィルターはあります。サイクロン+フィルターでゴミ(と微粒子)をキャッチしようというコンセプト自体は同じです。

違うのは、主に排気処理的な意味合いでフィルターを使おうとするダイソンに対して、この「CV-SE900」は、フィルターを使って本気でゴミを取りに来ているということでしょう。

どちらの方が掃除機として優れているのか、というのは使う人の価値観によって左右されるので、なかなか難しいところですが、どちらのサイクロン機構が優れているのか、ということであれば、なるべくサイクロン機構でゴミを取ろうという姿勢を見せているダイソンの方が間違いなく優れているということになるでしょう。

何しろ、この「CV-SE900」は、当然のことながらフィルターに多くのゴミが付着するため、しっかりとフィルターのチリ落としを行わなければならないという手間が増えてしまうのです。

ただ、その代わりというワケでもないでしょうが、この「CV-SE900」はフィルターはもちろん、ダストカップ周りは全て水洗いが出来るようになっています。

なので掃除機本体も含めて、徹底的に掃除がしたい!という潔癖気味な人にとっては、汚れてしまう場所を洗えるこの「CV-SE900」のようなタイプの方が良いという可能性もゼロではないでしょう。まあ、潔癖気味な人が、細かなホコリがびっしりと付いているフィルターの掃除を頻繁に行うことに耐えられるかどうかという別の問題が発生するかもしれませんが。

フィルター重視のサイクロン機構に納得できれば、この「CV-SE900」は小ワザがふんだんに盛り込まれた使い勝手の良いモデルとなっています。

まず、床用ヘッドを押し出すとヘッド前方のフラップが物理的に開く構造になっていて、ヘッドを持ち上げることなく、大きなゴミを吸い取ることが出来るようになっています。ヘッドを引くと、前方のフラップが閉まり、ヘッドの内部を密封することでしっかりとゴミを吸引するのだそうです。

押すだけではなく、押した後に引くことで吸い込みが完了するというのは、引き忘れによる吸い残しが発生してしまいそうな懸念がありますが、メーカーの綿密な実験により、その可能性は無視出来るほど少ないか、最悪の場合、もう一度ヘッドを押し引きすれば、無事に吸い込むことが出来るはず!という結論に達したのでしょう。

また、ヘッドにはLEDライトが付いていて、暗い場所でもゴミを確認しながら吸い取りやすくなっています。ふき取り効果のあるブラシも搭載されており、床の種類に応じてパワーをコントロールする床質感知機能も付いています。

さらに、ヘッドとホースを床に限りなく水平に近く出来るので、わずか8cmの隙間でもヘッドを差し入れて掃除をすることも出来るようになっています。

運転音も小さく、最大でも54dB(最小49dB)となっています。

そして、シリーズの上位モデルであるこの「CV-SE900」は付属品が充実しています。

高いところや狭いところの掃除に適した「曲がるロング吸口」と「ワイドブラシ」も便利そうですが、この「CV-SE900」には、たたき機能を搭載した本格的な布団掃除用のノズルが付いてくるので、布団掃除機や布団掃除用のノズルが他に無い場合は、少し魅力がアップするかもしれません。

しかし、いくぶん気になるのは、この「CV-SE900」は「コンパクト・軽量」をうたっているにもかかわらず、それほど「コンパクト」でも「軽量」でもないというところです。

サイズは飛び抜けて大きいというほどではありませんが、本体質量3.5kg、標準使用時の重さが5.1kgというのは、どちらかというとズッシリ感のある重さとなるので、この「CV-SE900」に軽さを期待するのはあまり得策ではないでしょう。

トータル的にみて、どうしてもこの「CV-SE900」が良い!という魅力を見つけにくい印象がありますが、いわゆる普通の掃除機の延長線上にある製品なので、あまり凝った個性的なモデルは合わないかな、という保守派思考の人にとっては、普通に使える掃除機ということで一定の支持は得られるのかもしれません。

■CV-SE900のスペック

タイプサイクロン式
集じん容量0.4L
吸込仕事率約60〜440W
消費電力約190〜960W
運転音約49〜54dB
サイズ長さ336×幅240×高さ290mm
重さ(使用時標準)本体3.5kg(5.1kg)

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