丸みを帯びた上部が柔らかな印象を与える外観です。
この「CV-L71」は、おそらく除湿機の開発にはそれほど関心が無いと思われるシャープの製品です。
関心がそれほど無いと思われる根拠は、製品の進化度合いの薄さです。
2020年発売のこの「CV-L71」は、前年モデルである「CV-J71」の後継機ですが、その仕様に違いはありません。マイナーチェンジでもないゼロチェンジの製品です。そしてこの「CV-L71」には2021年に「CV-N71」が後継モデルとして既に登場して来ていますが、このモデルについても仕様に違いの無いゼロチェンジモデルとなっています。
2年前の「CV-J71」のさらに前のモデルとなると、わずかながら仕様に違いがあるので、メーカーとしてすっかり開発を止めてしまったというわけではないようですが、この進化の歩みの遅さからして、除湿機という製品がメーカーのシャープにとって、懸命に技術革新を行い、毎年のように画期的な新モデルを投入していきたいカテゴリーではないことは間違いないでしょう。
逆に考えれば、あえて新しい機能を搭載しなくても、今のままで十分に市場で通用するとメーカーが考えているということでもあるのかもしれません。変化の無さ=完成度の高さ、というわけです。
確かにこの「CV-L71」は、衣類乾燥から除湿まで自動運転でお任せも出来るお利口なモデルではあります。除湿力は1日6.3/7.1リットルと、ものすごくパワフルというわけではなく、メーカーも「狭いスペースでの部屋干し」を推奨しているくらいですが、衣類乾燥が出来るパワーがある時点で、世間的にはそこそこのパワーを備えている部類に入ると言って良いでしょう。たとえ過去のモデルから進化していないとしても、この「CV-L71」がそれなりに計算できる性能を持っていることは間違いありません。
しかし、ものすごく魅力的な製品かと言うとそんなことはないでしょう。
この「CV-L71」よりもパワフルだったり、高機能だったりする製品が他にあることもその理由の1つですが、最大の理由は、この「CV-L71」のほぼ唯一の特徴とも言える、シャープの必殺「プラズマクラスター」の効果の弱さです。
「プラズマクラスター」には消臭効果が期待出来るそうですが、その効果を得るためには、部屋干ししている衣類にプラズマクラスターONした風をしっかりと当てる必要があります。そして生乾き臭ならそのまま約3時間、汗臭なら約6時間そのまま風を当て続けることで臭いの抑制が期待出来るのだそうです。
ちょっと長くないでしょうか?
さらにこの「CV-L71」は、通常の除湿機にはあまり無い下向きの風を吹き出すことで、ずばりバスマットに付着した菌を抑制出来ることも特徴としています。これもプラズマクラスターの効果ではありますが、菌を約90%抑制するまでにかかる時間は、なんと運転開始から1日12時間運転を続けて3日後のことだそうです。
これは長い!
しかもこれは最大風量で運転した上の話で、約90%抑制というのもメーカーが提示しているグラフから読み取れるおおまかな数字であって、実際の数字については明記されていないという曖昧さを残しています。
普通に考えて、3日経つ前にそのバスマットは洗濯されてしまっている可能性が濃厚でしょう。
3日間に渡ってバスマットに付着した菌の検出を続けた開発チームの熱意には敬意を表すほかありませんが、現実的にはその効果をどこまで期待して良いものかちょっと悩ましいところです。
「バスマットに付着した菌を抑制」するとピンポイントに言っておきながら、この効果の弱さでは、この機能目当てでこの「CV-L71」を選択するためには、相当ポジティブな気持ちと、プラズマクラスターの効果が出るまでじっくりと待てる気長な姿勢が必要とされるでしょう。
プラズマクラスターについて、無いよりはマシかな?くらいの気持ちでとらえることが出来るのであれば、そこそこ使える除湿機として、この「CV-L71」を見ることが出来るかもしれません。
■CV-L71のスペック
発売 | 2020年4月 |
タイプ | コンプレッサー式 |
除湿能力(1日) | 6.3/7.1L(50/60Hz) |
衣類乾燥時間(2kg相当) | 約180分 |
消費電力 | 175/190W(50/60Hz) |
除湿面積(木造) | 8/9畳(50/60Hz) |
除湿面積(プレハブ) | 16/18畳(50/60Hz) |
運転モードの種類 | 衣類乾燥/除湿/衣類消臭 |
搭載センサー | 温度/湿度 |
タンク容量 | 約2.5リットル |
サイズ | 幅303×奥行203×高さ524mm |
重さ | 約9.4kg |
運転音 | 38~40dB |
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