森を見て木を見ず?満を持して投入されたはずのロボット掃除機の衝撃度が低いという衝撃。エレクトロラックス「PUREi9」

最近、一時と比べると停滞気味な印象のあるロボット掃除機市場に新たなる刺客の登場です。

なんと!

世界で初めて家庭用電気掃除機を作り出し、さらに世界初のロボット掃除機を開発したスウェーデンの雄、エレクトロラックスが捲土重来を期するという新モデルを投入です。

予備のフィルターとブラシが付いてくる「PI91-5SSM」。カラー=ソフトサンド。


Electrolux(エレクトロラックス) PUREi9(ピュア・アイ・ナイン) PI91-5SSM ソフトサンド

予備のフィルターとブラシは付いて来ない「PI91-5SGM」。カラー=シェールグレイ。


エレクトロラックス ピュア・アイ・ナイン PI91-5SGM シェールグレー

日本ではスティッククリーナー「エルゴラピード」で有名なスウェーデンの家電メーカー、エレクトロラックスですが、別に「エルゴ」シリーズだけを作っているわけではなく、会社としての売上額は1兆円を軽く超える世界的な超巨大メーカーです。

歴史上初めて家庭用電気掃除機を販売したのもこのエレクトロラックスなら、世界で初めてロボット掃除機を製品化したのも、このエレクトロラックスだそうです。

エレクトロラックスが初めての家庭用電気掃除機が販売したのは、なんと今から100年以上も前となる1912年なのだそうです。そのころ、日本では大正時代になったばかりで、当時の東京市全域でようやく電灯がほぼ普及したくらいの時期となります。東芝が国産初となる電気掃除機を発売したのは、それから19年後となる1931年だそうです。

さすがノーベルを生み出した北欧パワーです。人口は1千万人に満たず、決して大国とは言えないスウェーデンですが、政治でもスポーツでも経済でも全く侮ることは出来ません。

そのエレクトロラックスが2001年に初めて作った(そして販売的には成功しなかった)ロボット掃除機から、17年という時間を経て作り出したのが、この「PUREi9(ピュア・アイナイン)」です。

何が「ピュア」なのか、何で「ナイン」なのか、今のところ分かりませんが、ともかく期待度がかなり高いということは間違いないでしょう。

まず、この「PUREi9」は、見た目に迫力があります。

別にサイズ自体は特に大きくなく、三角形に近い輪郭はパナソニックの「ルーロ」に似ていますが、よりゴツゴツした印象でメカ感があります。このゴツゴツ感とエレクトロラックスという世界基準ブランドの名前が迫力を後押ししているのかもしれません。

そして、この「PUREi9」の最大の特徴、それは「3Dビジョンテクノロジー」による障害物認識機能です。部屋の状態を立体的に検知して、マッピングをしながら効率的にお掃除をしてくれるのだそうです。

、、、。

えーと、エレクロラックスさん、それは特に目新しい機能じゃないんですけど、、、。

と、言いかけてしまいそうになりますが、認識機能にも色々あります。相手は歴史に冠たる巨大メーカーだけにうかつなことは言えません。

この「PUREi9」の「3Dビジョンテクノロジー」は本体の正面にあるカメラとレーザーを使って人間が物を見るように立体視をしているらしく、その障害物認識能力はかなり高いのだそうです。

その障害物認識能力があまりにも高いので、この「PUREi9」に搭載されているセンサーは、何とこれだけなのだそうです。前方の段差などもきっちり把握出来るので、多くの他社製品の底面に搭載されている段差認識用のセンサーなどは不要なのだそうです。

障害物が分かる。クルクル回れば部屋の様子も分かる。十分でしょ。あと何かある?

という訳です。

、、、。

まあ、そうなのかもしれませんが、どうせなら色々なセンサーを搭載しておいた方が様々な状況に対応できるような気がしてしまうのも確かです。

そして、この「PUREi9」は、アプリを通じてWi-Fi経由で遠隔操作をすることが出来ます。

まあ、これはこの時期になって投入される本格的なロボット掃除機なら、もはや必須とも言える機能でしょう。

ところが、この「PUREi9」のアプリ連携機能は、あまり魅力的なものではありません。

最大の問題は、マッピングされた部屋の様子を確認することが出来ないというところです。

ロボット掃除機のマッピング機能は、ロボット掃除機の稼働状況を部屋のレイアウトと突き合せる形でリアルに確認出来るというところに意味があるという気がしてならないのですが、この「PUREi9」の場合、アプリを経由して出来るのは、本体のスタート&ストップ、リモコン的な操作でのスポットクリーニング、そしてスケジュール設定となっています。

これは、、、完全にひと昔前感のあるWi-Fi連携機能です。

もちろんアプリなので、これからバージョンアップがグイグイと行われていくという可能性はありますが、この段階ではそれほど意味のあるWi-Fi連携機能という感じがありません。

そしてもう1つ気になるのは、この「PUREi9」の清掃能力です。

この「PUREi9」は「3Dビジョンテクノロジー」を使って部屋のレイアウトを把握して、同じ場所を何回も掃除せず、効率的に早く掃除を終えることを特徴としています。

しかし、この「PUREi9」は自慢の「3Dビジョンテクノロジー」に頼り切っているので、ゴミの量を検知するセンサーを搭載していません。

これで本当にゴミを取りきれるのでしょうか?

この「PUREi9」には高性能ファンが搭載されていて、さらに特大サイズの吸引口と業界最大級の幅を持つブラシを使って、高い吸引力でゴミを吸い込むことが出来るようですが、ゴミの多いところと少ないところを同じ吸引力で通過してしまって大丈夫なのでしょうか?

メーカーによると「どんな床面でも一度通るだけで最高水準のダストピックアップ」を実現しているようですが、お馴染みのスティク掃除機「エルゴラピード」では、ダストピックアップ率が98%だと公表されているのに、この「PUREi9」のダストピックアップ率は秘密とされています。

「最高水準のダストピックアップ」と言うからには、何かデータがあるのだと思いますが、そこを秘密にされてしまうと、それほど大したことがないのかもしれない、、、という不安が高まってしまいます。

また、この「PUREi9」は付属品となる「フィルター」「サイドブラシ」そして「バッテリー」の交換費用についても秘密にされています。

、、、。

本体を売り出しておいて、付属品の価格を不透明にしておくのは、かなり不親切だと思うのですが、何しろ相手はグローバル企業です。

「あんまり細かいこと言わず、もう少し世界的な視点で物事を見てみなよ」という、島国根性の染み付いた日本人に向けた何か大きな意図がその背景には隠されているのかもしれません。なるほどマクロ経済的な視点で言えば、サイドブラシ1つの交換費用が何か意味を為すとは考えにくいでしょう。

メーカーはこの「PUREi9」について、「100年以上にわたる専門知識の集大成で、トップクラスのパフォーマンスを発揮するロボット掃除機」だとしています。

もしも、この「PUREi9」が10年前に投入されていれば、「世界初」となる機能がたくさんあったような気がするのですが、2018年時点では「世界初」を名乗る機能は特に見当りません。

しかし、ここは巨大メーカーの大きな視点に合わせて、ロボット掃除機を100年単位で考えてみれば、この「PUREi9」も確かにトップクラスに位置すると言えるような気もして来ます。

ただ、出来ればもう少し細かなところにも目を向けて欲しかったという気がしてなりません。

■PUREi9(PI91-5SSM/PI91-5SGM)のスペック

サイズ幅325×奥行280×高さ85mm
重さ2.5kg
集じん容積700ml
稼働時間通常:約40分・ECO:約60分
稼働面積-
充電時間約3時間
バッテリー寿命-
乗り越え可能な高さ2.2cm

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