バルミューダ「JetClean」



バルミューダ JetClean ( ジェットクリーン )

「グリーンファン」で扇風機市場に文字通り旋風を巻き起こしたバルミューダの製品が、空気清浄機市場にも襲来です。

その名も「ジェットクリーン」。

「最高レベルの清浄能力を持つ、最も美しい空気清浄機」

だそうです。

来ました、来ました。
ガツンと来ました。

「最も美しい」なんてキリッと断言されてしまうと、正直ちょっとまごついてしまうわけですが、確かにシンプルですっきりとした外観をしているのは間違いありません。
だからといって、このシンプルな外観が本当に最も美しいのかどうかを決めることは容易ではありません。まあ、「この世で一番美しいのはだ〜れ?」みたいなオドロオドロしさとは無縁であるということは言えそうです。

そのうえ「最高レベルの清浄能力」を持っているというのだから、まったく罪な製品です。

ただ、清浄能力について「最も優れている」と断言してこないのは、なぜなのでしょうか?

「JetCleanは毎分10,000リットルもの風で部屋中から浮遊物をフィルターに吸引」するそうです。

10,000リットル=10㎥
な訳ですが、これはどれくらいスゴいのでしょうか?

今年投入された空気清浄機の主要メーカーの最上位モデルの最大風量は以下となっています。
ダイキン「ACK/MCK70N」→7.0㎥/分
シャープ「KI-BX85」→7.1㎥/分
パナソニック「F-VHX80」→7.7㎥/分

これを見るかぎり、10㎥/分は圧倒的とも言える数字です。

ただし、国内では。

そう、広い世界にはまだ強敵がいるのです。
そして、その一部は国内にも侵入してきています。

ブルーエア「650E」です。

その最大風量はなんと13.8㎥。
高価格、高コストな上に図体もデカいという庶民には縁もゆかりも無いセレブモデルなわけですが、この「650E」がいる以上、さすがのジェット君もおいそれと「最高性能」を名乗ることは出来ないという可能性があります。

そして毎分10㎥もの風を生み出すジェット君の必殺「ジェットストリーム」じゃなかった「ジェットクリーニングモード」には、1つ秘密があります。

バルミューダが部屋中の空気を清浄するために最も重要視している「循環気流」を生み出すため、ジェット君は風を生み出すファンを2台搭載しています。

1つめのファンで空気を吸込みつつ、フィルターを通してその空気をキレイにします。
そして吹出すときに、もう一つのファンで風量をアップしているのです。

これが総風量1万リットルの「Wファン構造」!!

なワケですが、当然2つ目のファンで追加された空気はフィルターを通過していません。
1万リットルのうち、清浄された空気は6000リットルで、残りの4000リットルは2台目のファンで加算された空気なのです。

つまり清浄化された空気の風量でいうとジェット君の風量は、6.0㎥/分となり、国内においても決して圧倒的という数字ではなくなってしまうのです。

もちろんメーカーはそんなことは百も承知です。
それでも、「圧倒的な花粉対応力」があると自信満々です。

なぜなら花粉は重い粒子だからです。
重いので、弱い風では動きません。
そのため「Wファン」で風量をアップしているというのです。

メーカーによると、他社製品(風量7㎥だそうです)との比較で花粉に近い粒子の吸引実験をしたところ、ジェット君は他社製品の12倍も多く花粉相当粒子を吸引したのだそうです。
細かく言うと、10グラムの花粉相当粒子を16畳相当のクリーンルームに散布したところ、ジェット君は5分で3.8g吸引したのに対し、他社製品はたったの0.3グラムしか吸引出来なかったというのです。

3.8÷0.3=12.6666666666,,,,,

なので、12倍。
四捨五入して13倍としないところは、割と謙虚かもしれません。

他社製品の吸引力不足は見るも無惨ですが、ジェット君にしてもだいぶ取り逃しています。
しかし、ジェット君は言い訳など一切しません。

「床に落ちた花粉まで除去するためには、掃除機を使う事が確実」
「バルミューダでは、JetCleanと掃除機の併用をおすすめします」

もうキッパリです。
「オイラだけじゃ無理だよ」と。

「圧倒的な花粉対応力」があると言いながら、「掃除機も使いなさい」と。

こうなってくると、むしろJetClean及びその他空気清浄機の存在意義の根幹が揺らいでくるような気もしないでもありませんが、花粉を取ることだけが空気清浄機の役割ではないのだと考えれば、JetClean及びその他空気清浄機も救われます。

花粉は基本的に掃除機に任せることとして、ジェット君はHEPA(相当)フィルターを搭載しているので、細かい微粒子だって逃しません。
ダスト、ニオイの2大センサーも搭載しており、それに基づく自動運転も可能な上、空気が清浄な場合は待機モードで消費電力を抑えます。おまけに照度センサーも付いていて、周囲が暗くなると自動で表示も暗くなるというメーカー曰く「気が利く」機能まで搭載しています。

加湿機能やイオン兵器は搭載していませんが、外見通りシンプルな機能となっており、余計な機能が無い分、わかりやすい製品と言えそうです。フィルターの交換コストが年間約7,000円とかなり高めなのがネックですが、ブルーエア「650E」の約2万円と比べると法外とも言えません。

ある程度しっかり部屋の空気をキレイにしたい(けどブルーエア「650E」はムリ)という人なら考慮する価値がありそうです。

ただ「最も美しい空気清浄機」かもしれませんが、アダプターがゴツくて美しくないという噂もあるのは要注意です。

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